2020/07/27
「その100,000円は一生を通して享受できる価値につけられた価格」土間コンクリート vs 透水性コンクリート #7

《最もよくある質問》「材料は高いのにどうして安い駐車場になるの?」。最も気になるのはコスト。だからこれまでの施工実績について土間コンクリートと比較して「高い」「安い」を検証する。何でもかんでも値切ればその通りになるというもんでもない。「結局、高い時も安い時もある。要は現場条件次第」。
確実に安くなる時がある一方、高くなるときだってある
今回検証現場となったのはこちら(https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/post_1071.html)。
お施主さんが希望されたのは「水勾配のない平ら」な舗装。
こちらは道路境界に側溝もなく最初に排水が問題となった。
土間コンであればまず間違いなく問題となるのが排水。
大雨が降ればまず間違いなく水浸しは避けられない。
透水性コンクリートにしておけば舗装と路盤で8m2あたりおよそ400リットルの水を一時貯留することができる。
さらに、その水は地盤にゆっくりと浸透していく。
よほどの大雨でない限り排水が問題になることもない。
また、真っ平にしても水の誘導・水勾配や水じまいで悩むこともない。
施主の希望ばかりでなく、施工者にとってもメリットの大きい舗装《透水性コンクリート》は一体通常の土間コンに比べて高いのか安いのか。
土間コンクリートvs透水性コンクリート30m2・100mm厚
⚫︎透水性コンクリート
合計:270,000円(9,000円/m2)
1時間
⚫︎土間コンクリート
150,000円(5,000円/m2)
目地(排水)+化粧砂利6m:18,000円
合計:168,000(5,600円/m2)
今回は透水性コンクリートが100,000円高くついたという結果となった。
施工の様子がわかりやすいタイムラプス動画で今回の施工(1時間)が確認できる。
施工完成写真。
真っ平で排水設備も設置されていない。
駐車場2代分のスペースに追加で100,000円払うことで得られる価値って何?
今回のケースでは残念なことに実際の価格としては土間コンの方が安いということになった。
https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/_vs_5.html
#5でもそうだったが、今回の現場も同様30m2を下回る比較的小規模な駐車場の場合、面積が小さければ小さいほど透水性コンクリートの価格面でのメリットは薄くなるようだ。
逆に大きな面積(例えば140m2など)になればなるほど透水性コンクリートのm2単価は安くなっていく(5,500円とか)。
そうなると、排水を検討せざるを得ない土間コンは逆に割高になっていく。
https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/m2_vs_3.html
だから、排水設備や特別なお施主さんの希望(指定)がない限り、一般的な戸建て住宅の駐車場規模の場合およそ100,000円程度の予算UPが想定されているようだ。
その、「特別なお施主さんの希望」につまりは100000万円の値札がつくことになる。
今回のお施主さんのそれは、
「平ら」
「水浸しは嫌だ」
の2点だった。
100,000万円。
もちろん、安い金額ではない。
宝石も買えるし、家族で旅行にだっていけるだろう。
ただ、その100,000円は一生を通して享受できる価値に付けられた価格。
「一生平らな舗装の上で庭いじり、車いじり」
「どんな雨が降っても庭が一生水浸しにならない」
そんな価値。
今回は生憎通常の土間コンクリートには価格面で後塵を拝した。
「日本の地面の常識を変える」
と常から豪語はしているけれど、だからと言ってアスファルトや通常の土間コンが絶滅することがいいとは思ってはいない。
「水を通しちゃならない場所」があることは現実的にあるし、現時点で現実的に道路に舗装をかける場合はやっぱりアスファルトが有用だ。
ただ、それでも、なるべくならいずれの条件(仮に小面積)であっても土間コンとそれほど変わらない価格体系を実現したいというのはある。
現時点ではまだまだ透水性コンクリートは珍しいもの。
全ての生コン工場で取り組んでいるというわけでもない。
そんな状況で、生コン屋さんに無理をさせて、生コンとそれほど変わらない金額で作ってもらったり、チャレンジ・変化を志向する施工者さんに「やすく施工してください」というわけにはいかない。
ある意味では、新取の気風を尊重した普通の仕事よりも「利益のある」仕事をしてもらいたいというのが生コンポータルの思いでもある。
何でもかんでもどんな条件でも安いことは果たして正解なのか?
それよりも「100,000円払うだけの価値を生み出す」
そちらの方が求められるものづくりのあり方なのではないだろうか。
そのように考え始めている。
宮本充也