2020/08/03
【岩手】「アスファルトとの《経年変化》比較実験」展示・寒冷地・凍上

岩手県盛岡市。今回瓜谷様邸駐車場に展示と施工体験とアスファルトとの比較確認のなど複数の目的を兼ねて施工となった。北海道などでの実績があるとはいえ、寒冷地における新しい材料の採用に関しては事前の準備を十分行いたいという杜陵工業の真摯な姿勢による。
製造:遠野レミコン盛岡工場(担当:加藤治)、施工:杜陵工業(担当:瓜谷伸司、32m2、100mm厚、8名、30分、砕石20cm厚、庭コン)
施工動画
砕石200mm厚は寒冷地仕様「凍上(とうじょう)」
寒冷地域では「凍結深度」という目安がそれぞれ報告されている(出典:unconsumed)。
時に1mもの深さまで地盤中の水が凍結してしまうことによって体積膨張を起こし地盤ごと迫り上がってくる現象「凍上」。
時に建築構造物の基礎をも浮き上がらせるほどの力を持つこの「凍上」の前で舗装などひとたまりもなく浮き上がってしまう。
その深さの目安が発表されているため、施工者らにより地下構造物の配置や凍上抑制層と言って改良土で地盤の土を置き換えたりという措置がなされる。
通常地域では「路盤と言ったら100mm程度」である一方、今回の現場(岩手県盛岡市)ではどうやら「路盤と言ったら200mm」というのが常識になっているようだ。
ある程度の深さまで「凍結あるいは膨張しない地盤」にしておくことによって上記現象を防ごうというもの。
この対策はアスファルト舗装だろうが、コンクリート、あるいは透水性コンクリート、いずれの場合でも懸念される。
寒冷地に活躍する施工者でも知らない人がいるくらいなので、その点は十分注意しておきたい。
今回製造に協力してくださったのは遠野レミコン盛岡工場。
「初めての製造」ということで担当者《まさつぐ》が製造・施工に立ち会った(参考記事:https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/post_1221.html)。
施工Before。
路盤の向こう側に見えているのはアスファルト。
今回の施工の目的の1つに「アスファルトとの経年による比較」というものがある。
今はまだいずれも新しい透水性コンクリートとアスファルトは数年後どのように変化して行くのか。
日頃生コンポータルでは以下のような解説をしている。
「アスファルトは石油・樹脂製品。いわば、ポリバケツや輪ゴムの仲間。ポリバケツや輪ゴムは外に30年放置されたらどうなるかイメージしてください。跡形もなくなりますよね?一方、のコンクリートはガラスや石の仲間。さて、西日に30年照らされて溶けたガラス窓って聞いたことありますか?これが、アスファルトとコンクリートの耐久性の違いです」
理屈ではそうだ。
15年の実績でもそれは示されている。
ただ、寒冷地盛岡で、それは本当にその通りなのか。
お客様に勧める以上そこはきちんと自分自身の目と実感で理解をしておきたい。
そんな真摯な姿勢の施工者は多くいるわけではない。
このような施工者に一生に1度の庭づくりを任せられる施主はとても幸せだと思う。
施工スタート。
熱中症対策もバッチリ。
素晴らしい皆さんだ。
また、初めて施工しているようにはとても見えない見事なトンボさばき。
きっとご当地では頼りにされている有名な施工者さんなのだろう。
終盤戦のプレート転圧。
トンボで平坦性を確保したら、仕上げはプレートコンパクタ(30kg)で転圧して終わり。
施工After。
たった30分で32m2(駐車場2台分)の施工が終わってしまった。
これまで施工経験のない方々も入れ替わり立ち替わりその施工について体験することができた。
さあ、盛岡でも始まるアスファルトとの経年比較
透水性コンクリート《ドライテック》は47都道府県全ての地域で施工実績がある。
ただ、このように同時にアスファルトと比較施工をされたというのはとても稀。
化学的にその耐久性を説明できたとしても「百聞は一見に如かず」は誰にとってもわかりやすい。
生コンポータルとしてもこうした見学可能な場所が特に寒冷地のような厳しい条件の場所に設置されることはとてもありがたい。
年中主張し続けていることが言葉ではなく事実としてそこに存在するのだから。
凍上、凍結、紫外線、壁面よりもさらに激しく襲いかかる地面での比較検討。
いよいよ岩手は盛岡でも杜陵工業とともに始まった「日本の地面の常識を変える」取り組み。
梅雨も明け、その普及は急拡大を見せている。
宮本充也