2020/07/29
【岐阜】「転圧はいつまでに終わらせればいいの?」凝結・施工・転圧・締め固め

透水性コンクリートに携わる実務者はメッセンジャーグループを通じて日夜情報交換を行っている。そこで共有された施工実績を見ていて感じたことを共有。「ちょっと転圧しすぎのような気がしたんだけどどうなんだろう?」。宇部小型生コンにてその後の様子をチェック!
転圧はいつまでに終わらせればいいのか?
宇部小型チャンネル(米金商店チャンネル)でリリースされた駐車場に施工された透水性コンクリートの動画(ロングバージョン)。
通常均して平坦性を整えてから「それ以上沈まない程度」(十分に締め固められた)までプレートコンパクタで転圧すれば完了。
ただ、今回施工をされた野々建さんはおそらくアスファルトの施工にも通じているのだろう。
動画を見る限りアスファルトの施工要領を意識した丹念な転圧が見て取れる。
一方、透水性コンクリートは「コンクリート」。
アスファルトの硬化メカニズムとは全く異なるため施工を全く同じにすることは避けていた。
コンクリートの場合時間の経過とともに凝結の始発が始まり終結してからしばらく化学的には全く反応を起こさずその後に硬化(強度発現)が始まる。
凝結が始まってしまってからの転圧や振動はご法度。
そのタイミングを図るのはとても難しい。
締め固め(転圧)が時間ではなく温度で規定されているアスファルトとは管理方法が全く異なるべき。
つまり、アスファルトの施工要領をそのまま流用することはセメントの凝結時間から行って問題が発生することも起こりうる。
そのため、動画では転圧はしつこいくらい行われておりその与えた振動がセメントの凝結や硬化に悪影響を及ぼしていないか不安になり施工後の様子の確認を依頼した。
米金商店(旧宇部小型生コン)の深貝さん(代表取締役)によれば僕が抱いた懸念は杞憂だったことがわかる。
わざわざ現地を訪ねていただき「お客様も大満足のようでした!」とお施主さんの反応までヒアリングしてきてくださった。
懸念されていた骨材飛散(剥離)(凝結・硬化不良による)も見られない。
透水性も抜群だったようだ。
「転圧はいつまで(何分以内に)終わらせればいいのか?」根拠を探る
深貝さんによれば「製造から長くとも1時間半以内には転圧は終わってたはずですね」(夏期)とのことだった。
実際、何分以内までなら転圧OKなのだろう。
考えてみるとこれまで明確な基準を設けていなかった。
ポーラスコンクリート舗装の施工実績は通常のJISコンクリート比べて圧倒的にプアーであるためその手の知見が得られづらい状況であることは間違いない。
だからこれまで生コンポータルでは「なるべく早く転圧を終わらせましょう」という曖昧な施工指導を行ってきた。
事実100mmの版厚であればプレートコンパクタで2〜3度転圧してしまえさえすれば「それ以上沈まない」つまりは「十分締め固められた」状態にすることができる。
凝結が始まってしまう前にさっさと終わらせるべき。
ただ、明確に「何分以内に」という基準は設けていなかった。
また、遅延型の混和剤を標準とすることで凝結を遅らせる配慮をすでに標準としているため、なるべく安全側の品質確保を旨としてきた。
そして今回「1時間半以内に転圧は終わってたはず」という現場の体験が寄せられた。
照らし合わせることのできる基準としては、
⚫︎1時間半以内に荷下ろし(1時間半)
⚫︎打ち重ね時間間隔(外気温25度を基準として90分もしくは120分以内)
なるものがある。
いずれも、凝結が始まってしまわないフレッシュな内に施工を完了させることを意識した時間基準。
そう考えると、MAXで90分+120分=3時間半(製造後)という目安が導き出される。
ただ、いかに凝結遅延剤を使用しているからといっても現場経験に照らし合わせると製造後3時間半の時点で転圧をしているのはちょっとやり過ぎな感じもある。
さらに、夏場外気温は25度を上回る場合も多いはずだし、透水性コンクリートはその構造上比表面積が大きく外気温など変数の影響を受けやすいことも想定されるためさらに安全側の基準であるべき。
90分(荷下ろしまで)+90分(外気温25度以上の場合のうち重ね時間間隔)=180分(3時間)のざっくり半分(90分=1時間半)迄はもしかしたらいけるのかもしれない。
この実証は試験室でももちろん確認は可能なのかもしれないけれど現場の経験に勝るものはないはずだ。
生コンポータルではここで仮に「製造後90分1時間半以内での転圧を推奨」としておけば無難かもしれない。
でも、それではちょっと短すぎるようにも思う。
今後この実証に関して各位の知恵をお借りしながら基準を作り上げていきたいと思う。
品質改善に終わりはない。
宮本充也