長岡生コンクリート
骨材の再生利用、CO2の削減、コストダウンに

「目に見えない経費を見る|残コンスラッジ処理システム」

「目に見えない経費を見る|残コンスラッジ処理システム」

機械(クラッシャーやブレイカーなど)による破砕処理から薬剤(高分子、急結剤)を用いた残コンスラッジ処理にシフトしたのは茨城県の筑波山麓に操業する大里ブロック。原価管理の魔法とは?



ただでは無い薬剤が目に見えて消費されていく

「社長、なんで金のかかる薬を使うんですか?」

会社を思う従業員の方からの心配を押して大里社長は残コンスラッジ処理システムの稼働を決めた。

たしかにすでに導入してある機械を用いて残コンやスラッジを破砕処理すれば、

「お金がかかっていない」

かのように見える。

一方、残コンスラッジ処理システム(http://www.nr-mix.co.jp/econ/blog/post_274.html)に付属する薬剤(急結剤、高分子)は明確に費用が発生する(残コンスラッジ1tあたり500円)。

これじゃ、薬剤を使えば使うだけ赤字じゃないか。

目に見える現象だけを捉えればたしかにその通りに見える。

大里ブロックさんのように、ブレイカーやクラッシャーがある工場が残コンスラッジ処理システムにシフトしたケースは初めての事例だったため、

MAPEI Giorgioさんの来日に合わせて工場にお邪魔した。

どうしてお金のかかる薬剤をわざわざ使用するのか?


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※飄々と笑顔で説明していただく(大里社長)



目に見えない経費を見る

一見お金がかかっていないかのように見えるブレイカーやクラッシャーによる残コンスラッジ処理。

1日に平均して5〜7m3の残コンが戻ってくるという同社。

それらは20cmほどの厚みで薄く構内に広げられストックされる。

翌日ブレイカーを用いて小割されるたガラはクラッシャーにかけられる。

あまり長く放置してしまえば強度はどんどん増すから否応なしに作業を強いられる。

さらには前日の洗い水から発生するスラッジはガラと混ざりづらく、

難航する作業には応分の人的資源が投入されることとなる。

一連の作業に1〜2名張り付かざるをえない。

(仮に1名15,000/日とするならば、15,000×1.5名で22,500円

これだけでは済まない。

年間600,000円ほどの機械の損耗(部品入れ替え)が発生する。

固まった後のコンクリートを砕くという行為はそれなりの負担がある。

そして、機械そのものの償却。

それらは正確には計算しようがないものであるけれど、

確実に「費用」として会社の財政に影響を与える。

一方、残痕スラッジ処理システムで利用される薬剤の費用は1tの残痕スラッジにつき500円と明白に計算されている。

500円×5〜7m3(6m3 ※比重2.3)=6,900円/日

関わる作業はシステム化されているから1人で1時間もかからない。

(※仮に15,000÷8時間で計算すると、1,875円/日)

人の手間と薬剤を合計してみると、8,775円/日の費用が毎日発生している。

実際に計算してみると薬剤を利用したほうが俄然安く済むことがわかる。


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※薬剤でフレッシュなうちに処理され製造される製品は粒度分布も良好で好評とのこと



残コンスラッジの要諦は「固まらないうちに」

考えてみれば当たり前のことだけど、

生コンは固まる。

当たり前すぎることだが、残コンやスラッジが困るのはこの点だということ。

固まってしまってから処理をするということは、

壊す

という大変労力のかかる作業が伴うということ。

固まったコンクリートを壊すという非生産的な作業に多くの人的・物的資源が割かれる。

さらには、「沈殿させていたスラッジを混ぜる」という行為。

これがなかなか難航を極めるそうだ。

その点薬剤を用いた処理方法であれば、

まだ硬化する前の残コンと水を絞られたスラッジ(搾り残渣)はどちらも流動体。

だから容易に混ぜることができる。

硬くないから機械の損耗もない。

しっかり混ぜたものを高分子と急結剤で製品化する(改質)。

だから粒度分布も良好。


長年残コンスラッジ処理の現場に携わってきているが、

さまざまな場面に晒してみればそれだけ多くの知見が得られる。

どこかの誰かが一方的な思いで設計した何かを一方的に利用するのではない。

みんなでそれぞれの環境に応じて色々試したものを共有する。

そんな開発のあり方が改めて大切だと認識された一幕である。


木村さんをはじめ、大里ブロックに集う仲間のみなさんの朗らかさも印象的だった。


人を思いやる気持ちをベースに創造される価値。

残コンスラッジ処理の奥深さを改めて知らされた。

残コンの夜明けは近い。


生コンでいいこと。



宮本充也



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※エントランスで記念撮影。撮影は大里社長の娘さん

宮本 充也

主な著者生コンポータル 主宰
長岡生コンクリート 代表取締役 宮本充也

宮本充也のFacebook

1級建築施工管理技士/1級土木施工管理技士/コンクリート診断士/コンクリート主任技士

「生コンてなんて悪いことだらけなんだろう!」
僕が家業の生コンに入職した時に感じたこと。
朝は早いし、休みは少ないし、残業(残コンのせいで)もあるし。
建設業界の底辺に位置する産業 [ 続きを読む ]

2018/06/07

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