2021/02/08
「その《変状》そのまま放っとくのは怖くない? 簡易レポートなら《無料》です!」コンクリート診断

生コンポータルはコンクリート技術者集団だ。ゼネコン、ハウスメーカーなど多くのコンクリート施工者らからも日々相談が寄せられる。今回はとあるハウスメーカーからコンクリート表面に発生した錆汁についての相談。「その《変状》そのまま放っとくのは怖くない? 簡易レポートなら無料です!」
コンクリート診断て?
とある地域のとある鉄筋コンクリート擁壁の表面に見られる錆汁のような変状。
コンクリートの表面から錆が出ていたらあなたはどう思う?
⚫︎参考: コンクリートの錆汁(さびじる)を発生させる3つの要因と補修方法
知っていれば、何も怖いことはない。
僕たちコンクリート技術者にとっては常識。
でも、一般の方からすればヒヤッとするのではないか。
多少でも心得のある人なら、鉄筋コンクリートという構造のことはご存知だろう。
コンクリートの中に鉄筋が入っていることだって知っている。
そのコンクリートの表面から錆が発生している。
なんだかとんでもないことが起きているように不安になるだろう。
結論から言えば、なんでもない、大丈夫、と写真を見るだけで僕たちには理解される。
参考に上げた記事中にもあるが、(断定はできないが)ぱっと見骨材中の鉄分(黄鉄鉱)が水と酸素に触れることによって発生した錆汁だと思われる。
なぜなら、大別して3つある発生要因の、「内部鉄筋」「取り付け金具」による錆汁(はっせい)とは全く異なり、ランダムにぽつぽつと泪のように発生しているから。
これ、もう、ほぼほぼ骨材中の鉄分の発錆。
アスファルトでも同様の現象は起きることが知られているが、コンクリートと違って見た目が黒いためそれほど目立たない。
(出典:アスファルトの錆)
構造的に大丈夫なの?瓦解したりとかしませんか?
「はぁ、骨材の鉄分が原因の錆ですか。はぁ」
おそらく一般の方からすれば、そんなこと言われても不安は拭いきれないはずだ。
で、大丈夫なの?
そこが聞きたいと思う。
答えは、大丈夫。
ただ、何に対して大丈夫って問題もある。
おそらくもっとも心配されるのは「構造的に問題ないの?」ってことであるはずだ。
大丈夫っす。
こうした現象は、骨材中に含まれる黄鉄鉱(FeS2)のような硫化物によりポップアウトが生じる。
この場合、ポップアウトが生じたあと、錆汁でコンクリートが汚れたようになることがわかっている。
単なる表面骨材だけの問題であるため中の鉄筋が腐食し体積膨張を起こしているような事態とは異なり構造上の問題はほぼほぼ不安がる必要はない。
無論、構造上の問題はないものの、見た目上の問題は残る。
性能とは顧客の要求に基づいて規定されるものだ。
見た目上の性能という問題は残る。
もう、これ、コンクリートが大気に打ち放し状態で晒されていれば引き続き継続してしまう。
簡単な対応策としては塗膜でコンクリートを覆うなどが挙げられる。
骨材中の錆が水に触れないようにすれば錆によるポップアウトが防げるからだ。
僕たち専門家であればプロとしての知識を背景にしごく簡単に原因推定を行うことができる。
でも、いろんな素材に関する広くて浅い(プロからしたら)知識を求められる施工者にとっては錆汁はなんだか得体の知れない怖いものってこともある。
誰に相談していいかわからない。
知識って、すごい。
知ってれば、なんも怖くないのに、知らないってだけで恐怖は増殖していく。
だから、適切な知識を身につけておくこと、あるいはそんな知識を持つ人との関係性を維持しておくことは大変有意義であることがわかる。
「その《変状》そのまま放っとくのは怖くない?」
誰に聞いたらいいかわからんってのはあると思う。
おかげさまで生コンポータルとご縁のある方々はちょっとしたことでコンクリートに関することなら気軽にメールや電話を寄せてくださるようになっている。
「コンクリートに悩んだら、宮本さん!と思っているので、ご連絡させていただいちゃいました。」>
こちらも、他の某ハウスメーカーの現場管理者から届いたメールの一文だ。
インターネットの時代。
そんな身近な専門家は、インターネット上に求めることができる。
簡易レポートは無料です。
コンクリートに明るい人を身近に置いておくことは建設に携わる人にとっての最低限のエチケットだ。
気軽に連絡してちょうだい。
生コンポータルは、文字通り、生コンのポータル(宮殿などの表玄関)なのだ。
宮本充也