2015/10/15
「1000立方メートル(1,000,000リットル)の貯留設備がだれにも知ら
逆に透水性コンクリートじゃないことが不思議だと思うくらい現代に違和感を感じている。
この1か月、なんと災害の多い月だったか。
9月は特にシルバーウィーク以外ほとんど雨が降っていたのではないか。
昔から「土方を殺すにゃ刃物はいらぬ、雨の3日も降ればいい」とはよく言ったもので、晴れないと生コン屋は仕事になりません。
たいていは5月の連休あたりから8月のお盆明けくらいまで、どうしても年度末に比べると仕事は薄くなるのがわが産業なのですが、そろそろ忙しくなってくる秋の気配も感じられる9月にこんなに雨が降ったのも記憶をたどってもなかなか思い当たりません。
長く生きていれば生きている方であるほど10年20年前の気候と明らかに違う日本の気候を実感されているのではないでしょうか。
ちょっと雨の降り方異常です。
この雨に被災されました方々に改めてお見舞いを申し上げます。
さて、昔に比べて日本は明らかに変わった。
なのに治水・排水の在り方は基本的に大きくは変わっていない。
というよりも、むしろアスファルトやコンクリートによる比表面積はますます広がり、排水設備の負担は悪化しているといってもいい。
そこで透水性コンクリート(舗装)。
容積のおよそ20%程度は空隙となっており、つまりその隙間には水が存在することができる。
例えば厚み10㎝の透水性コンクリート1平米は20リットルの水を貯留することができる計算になる(実際はその下の地面も水を吸収するので20リットル以上)。
100平米の駐車場が透水性コンクリートであったとしたら、2000リットル(2立方メートル)を貯留することが可能となる。
日本の最大1時間降水量は1999年10月27日千葉県香取市で観測された153㎜リットルとされているが、瞬時・局地的に発生する膨大な水量はこれまでの想定を容易に上回ってくることは想像に難くない。
じゃあ、想定外に備えて貯留設備をたくさん新設しましょう、なんてことをはじめれば社会・世論は許してくれないだろう。
1000年に1度の津波に備えて沿岸部にコンクリートの壁をたくさん作りましょう、というのはぶっちゃけ生コン屋にはありがたいことだが、許される発想ではない。
じゃあ、どうするか。
「どうせ舗装してるでしょ?」
ってこと。
道路も歩道もどこもかしこもこの現代日本に土のままあるいは砂利じきのままにされている未舗装な道ってあまりないですよね?
どこもかしこもアスファルトやコンクリートが敷設されている。
それらがもし透水性コンクリートに変化したらどうなるか。
あまり考えられない想定だが、仮に貯留設備や排水設備がまったくなかったとしても、20㎜の雨まではまったく路面上に水たまりが現れないことになる。
日本全国の舗装がもし明日から透水性コンクリート舗装になったら、明日からヒートアイランド現象がなくなります(アスファルト比10~15度低い)。
明日からゲリラ豪雨が発生しなくなります。
明日から洪水が発生しません。
明日から水害で命を落とす危険性がとても少なくなります。
これ、本当の本当です。
もっと身近にいうと、明日から水たまりに足をはめてしまってテンションが下がることがなくなります。
靴が濡れないからデパートやコンビニの中とかで足を滑らせ転倒なんてことも減ります。
じゃあ、誰がその世界を作るのか。
本当は全人口が当事者意識を持ちそれに対して声を上げるのがいいのですが、やはり一番近くにいるのは私たち土木関係者ではないでしょうか。
「高いから」
本当ですか?
見積もりとったことありますか?
誰かの噂話じゃありませんか?
今、土間コン舗装と同じくらい安価に施工されているのに、その熱はなかなか伝わらない。
総論では異常気象だよね、困ったよねなんていっておきながら、それは自分ではない誰かの責任にしている。
私がかかわった透水性コンクリート舗装はそろそろ5万平米くらいになってきている。
ざっと1000立方メートル(1,000,000リットル)の貯留設備がだれにも知られず世の中にできていたことをさす。
ただ、舗装工事を提供するだけで。
透水性コンクリートだけじゃない、私はその道のプロだからこうしたことを考えるが、それ以外にもきっと当事者意識を少しだけもって取り組むだけで環境を変えることっていくらでもあるのではないか。
というわけで、2回にわたる透水性コンクリートの話、わざわざお読みいただき感謝します。
次回もよろしくお願いします。