2020/07/29
【埼玉】「10tの水が貯留される一般住宅の舗装」《逆勾配》《旗竿地》《犬走り》《雨天》のソリューション

埼玉県深谷市。施主より施工者ランズネットにドライテックの希望が寄せられる。フッコー様のHPを見て採用を決めた。この現場は道路より宅地が50cmも低い(逆勾配)ため、排水設備を兼ねた透水性コンクリートの採用は有効だった。雨の中何とか養生しながら全体の1/3を施工し、残りは梅雨明け再度。
製造:東和アークス(担当:加茂谷満之)、施工:ランズネット(担当:茂木範仁、全体の1/3施工、残りは梅雨が明けてから)。
施工動画
道路より宅地が50cm低い《逆勾配》
施工Before。
境界道路から50cmも低い「逆勾配」である敷地は水はけ(排水、水勾配)に必ず苦しむ地形。
Before2。
全体で200m2を超える大面積であり、大気も不安定な状態であったため、雨雲と睨めっこをしながらの施工敢行。
実は前週土曜日に土砂降りに叩かれ施工延期をしていた。
施工スタート。
まずは玄関前駐車場部分を敷設、均し(トンボを持つ2名の作業者)で平坦性を確保していく。
均して平坦性が確認できたら後はプレートコンパクタで転圧(仕上げ)ればそれだけ。
やおら襲いかかる雨に対しても「施工直後に人が乗っても足跡つかない」透水性コンクリートならすぐにブルーシートをかける簡単な養生でOK。
これが、梅雨時期にも何とか施工できる透水性コンクリートという強みが光る。
カーポート下など屋根のある場所であれば雨天でも養生はしやすく施工は可能。
施工After(一部)の様子。
舗石でスパンを区切っているのは通常の土間コンクリートの場合必須(収縮目地)。
透水性コンクリートの場合でも施工スパンが区切られていればそれだけ施工が楽になる。
また、収縮クラックが発生しても「見えづらい」透水性コンクリートの場合、追加費用となる目地材は使用されないこともある。
8m2あたりおよそ400リットルの水を一時貯留
排水設備が本当に軽減されるのか?
それは、簡単な計算で求めることができる。
透水性コンクリート1m3/8m2の施工ができる。
1m3(1立方メートル)のおよそ20%が空隙(すきま)であるため、単純計算で求めれば、1m3/200ℓの隙間に水が溜まっていられる計算となる。
(※実際にコンクリートは内部セメントペーストに水を吸収するためもう少し多め)
そして、コンクリートの下層には路盤(クラッシャーラン)が施工されている。
空隙率は12〜16%だったとしても、含水分も含めれば同様に1m3/200ℓとみなせば、透水性コンクリート+路盤合計で400ℓの水を「一時貯留」していることになる。
さらには、地盤が徐々に水を吸収する量も考慮に入れば8m2/400ℓ以上になる。
仮に今回の敷地200m2で考えると、200m2 ÷ 8m2 × 400ℓ = 10,000ℓ
結構膨大な水量を一時貯留することができる敷地であることがわかる。
コンビニで売っている2リットルのペットボトルで5,000本分の水量が個人宅で溢れず貯留される計算となる。
kgで換算すれば、当たり前だけど10,000kg。
10t(生コン大型車2台分の量)の水が貯留できる設備は一般住宅には想像しづらい。
さらに、それら水は次第に現地盤に吸収され地下水系に還元される。
こうして計算してみると逆勾配や旗竿地、犬走りなどとかく水はけ・排水に苦労する敷地でも透水性コンクリートが強みを発揮することがわかる。
梅雨の時期、とかく水はけがクローズアップされる。
さらに、通常の土間コンクリートであれば雨の中の施工はご法度。
常に施工者や施主を悩ませる水回りの問題。
透水性コンクリートがそのソリューションであることは少しずつ世間に理解され始めようとしている。
宮本充也