2019/11/13
「コンクリートはひび割れるんです。だって動いてるから」(下を向いて歩こう#8・上野)

「コンクリートは動いています」というとちょっと驚かないだろうか。実は、目に見えないとても小さなオーダーで伸び縮みしているのがコンクリート。土間コンの場合はそのしわ寄せが端部の跳ね上がりといった現象として現れる。シリーズ「下を向いて歩こう」は東京上野の不忍池。
だから端部は他よりも断面を厚めにとってあげよう
滅多にない東京宿泊の定宿となっているのはパークサイドホテル。
不忍池を見下ろす好立地。
朝は1周1.2kmほどの不忍池ランが習わしとなっている。
きっとランナーで僕ほど地面に気を配っている人はいないはずだ。
そして、この舗装。
コンクリート舗装。
お気づきだろうか。
端部(かど)に線が入っている。
あんまこんな線に注意を払う人はいないだろう。
もう少しアップしてみる。
明確にすみっこに線がビシッと入っている。
左側も、右側も、おなじように三角形を作るように。
他の地面も眺めまわしてみると。
こちらは「線」というよりも明確に割れているのが見て取れる。
1つの線だけではなく、内側に小さな三角形を作るせんも見れる。
同じく端部(かど)に発生している。
右側の端部はより広範囲に三角形となっている。
どうして端部にこうした線(ひび割れ)が発生するのか?
上野不忍池周辺には特殊な電磁波が発生している。
とかではない。
この端部のひび割れはコンクリート(土間コン)普遍の現象となっている。
街中を歩いている時はぜひコンクリート舗装(アスファルトに比べて白い)の端部に注意を向けていただきたい。
このように、三角形状にひび割れが発生しているのを見かけることができるはずだ。
発生原因はコンクリートの挙動。
一般には意外かもしれないが、コンクリートは動いている。
雨が降れば湿気を吸い込み膨張する。
冬に何日も雨が降らず乾燥しているような時には縮む。
体感できる場合もあるくらいだ。
それが、土間コンクリートの端部。
雨の日に端部を金槌で叩いてみる。
その音を記憶しておく。
晴れが何日も続いた乾燥した冬の日に同じことをしてみる。
すると、音の違いに気づくはずだ。
コス、コス、コス
乾いたような音が冬の日には聞こえるだろう。
それは、コンクリート(土間コン)が縮み上がって端部が反り返っているため、コンクリート下に空洞ができていることに起因する。
コンクリートは動いているのだ。
そこに、車両が乗り入れる。
端部はパキンとわれてしまう。
(繰り返される踏圧でも割れる場合がある)
それが、三角形状に発生する線(ひび割れ)の正体。
だから、端部はできるだけ厚めに施工するようになっている。
それでも、完全には防げるわけじゃないけど。
「コンクリートはひび割れるんです。だって動いているから」
住宅は一生に一度の買い物かもしれない。
しかも庭先の駐車場は竣工後はきれいであって欲しいと思うのは理解できる。
ただ、コンクリートは動いてるんです。
なまもの。
いきもの。
天然素材だからこそ。
ひび割れをはじめとした変状はあらかじめ織り込んでおく必要がある。
所詮、数日、数週間、数ヶ月と経っていけばその程度の変状は気にはならなくなるはずだ。
あまり、施工者を詰めたりしないでね笑
コンクリート舗装(アスファルトもだけど)のひび割れについて。
宮本充也