2019/05/25
CO2 Capturing Concrete Pavement.「作る時にも、作ってからも、CO2削減に貢献するコンクリート舗装」

御多分に洩れず生コン産業にとってもCO2の削減は急務。産業のラストマイルの担い手生コンはどのような貢献が出来るのか。CO2 Capturing Concrete Pavement の開発について。
CO2 Capturing Concrete Pavement
中性化の逆利用。
鉄筋コンクリートの場合中性化は防ぐ必要がある。
中性化とは大気中のCO2がコンクリート内部に侵入し本来アルカリ性のコンクリートを中性化させる現象。
このため、アルカリ雰囲気で守られていた鉄筋が錆びる。
絵のように、錆びた鉄筋は堆積膨張を起こしコンクリート構造物に著しい損傷を与える。
これはあくまで鉄筋コンクリートの話だ。
例えば大気中のCO2を沢山捕獲する目的のコンクリート(CO2削減効果)という観点から行けばこれまでの中性化対策は意味をなさなくなる。
本来中性化対策上「良くない」とされてきたさまざまをふんだんに盛り込んだコンクリートの開発。
そして、鉄筋コンクリート(構造物)ではない部材としての適応。
今、残コン由来の骨材の活用という観点からこのようなプロジェクトが生まれている。
残コン由来の再生骨材の利用。
残コンににわかにスポットライトが当たっている。
現場で用いられず余った生コン(=残コン)。
大半は生コン工場に持ち戻され設備により処理され生コンスラッジとして埋め立てられている。
その残コンを原料として生成された骨材の利用。
高分子や急結材を用いたアプローチで生成された残コン由来の再生(回収)骨材(https://www.nr-mix.co.jp/econ/blog/post_324.html)は原骨材の周囲にセメントペースとが付着した状態で硬化している。
その骨材をふるいにかけず100%用いた舗装用コンクリート 。
天然骨材を用いた生コンに比べm3/263kgのCO2削減に成功している。
だけじゃない、ポーラス。
極限まで水を切った配合であるため、さながらスポンジのようなコンクリート断面となっている。
中性化が促進されやすい条件。
ポロシティーが高い。
ポロシティーとは、空隙率。
「コンクリートがどれだけすかすかか」
を示す度合い。
すかすかだとCO2を沢山内部に誘引してしまうからダメ。
が、
すかすかってことは表面積が大きいためCO2をたくさん捕獲できる。
となる。
さらに再生(回収)骨材の周囲に付着したセメントペーストもCO2を捕獲できる!
すでにm3/263kg削減しているCO2発生量を、さらにそのコンクリート 舗装は大気中のCO2を捕獲することで貢献することになる。
(ポーラスコンクリートであるということは降雨を地中に還元したり、地表の温度を提言することでヒートアイランド現象を抑制したりの効果も無視できない)
作る時にも、作ってからも、CO2削減に貢献するコンクリート舗装。
CO2 Capturing Concrete Pavement(CCCP).
パズルのピースが揃いいよいよ絵が動き出す。
これまで各分野でそれぞれ研鑽してきた才能が一堂に集結する。
ITと企業間連携。
そんな夢を形にしている。
コンクリートがCO2を捕獲する。
このプロジェクトには大きな潜在性がある。
・FA
・高炉スラグ
をはじめとした中性化上利用率が限定的にならざるを得なかった副産物系材料の有効利用にも繋がる。
そもそも、残コンも生コンスラッジとして廃棄されることがない。
石油精製の過程で発生してしまう残渣の出口を舗装に見出したように。
(今や生成技術は高度化し残渣は発生しなくなっている)
生コンの副産物残コンから回収された骨材を用いたポーラスコンクリートの可能性に注目が集まる。
生コンでいいこと。
宮本充也