2020/08/11
【宮崎】「うちでも製造できるの?」河北生コン部・生コン設備リニューアル・DIY

宮崎県児湯郡。(株)河北生コン部場内。以前から製造に興味を持たれており、今回同社SB(生コン製造設備の刷新)に併せて自社の敷地内舗装に試験的に製造・施工された。初の試みということもあり、木田組生コンの橋本国年氏の立ち合いのもと成功裏に完成。
製造:(株)河北生コン部(上米良一寛・かんめらかずひろ)、施工:(株)河北生コン部(4.75m3/38m2、80mm〜150mm厚、8名、2時間)
最近増えてきた「うちでも製造できるの?」の声
今回製造・施工されたのは株式会社河北(宮崎県児湯郡)の製造設備刷新に伴う場内整備。
元々透水性コンクリート《ドライテック》の製造には関心をお持ちになっており、今回同じく宮崎県の雄・木田組生コンの橋本国年さんにご相談を寄せて採用となった。
製品チェック(ダレ試験)の様子。
容器の向こう側は多少見える程度のまばらなペースト付着が目安。
この状態は少し水分量が多いが夏期でもあり多少の調整(転圧時間をずらす)で施工可能。
転圧の様子。
施工は工場に従事する生コン技術者の方々によるDIYとなった。
生コン製造はプロでも、「いつも施工は見てはいるけれど」素人。
透水性コンクリートの特徴は施工フローのシンプルさがある。
敷設し、トンボ(レーキ)やプラゴテで平坦性を確保したらプレートコンパクタ(30kg)で一発転圧。
夏場はプレート転圧までの時間が短くなりがちなので多少水分量が大きめが吉。
施工After。
水はけが問題となりがちな箇所を舗装することで雨の日も快適な作業が約束される。
施工After2。
この様に入り組んだ場所の舗装(土間コンクリート)は通常水勾配をつけづらく、また排水もやりづらいのでプールのように水浸しに放置されるのが常。
せっかく新設した新しい生コンプラントの足元が水浸しなんてあまり嬉しくないはずだからこうして製造の練習をかねて整備された。
生コン屋さんなら《絶対に》製造できます
生コン工場向け製造方法をマニュアル化した動画。
動画でも知れる通りだが、プラントミキサーには特別な材料(骨材や混和剤)を投入することはない。
普段採用している材料だけを用いて製造される)。
だから、通常のJIS生コンとの並行出荷は全く問題ない。
通常生コン工場では貯蔵されている2005砕石を用いた配合(https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/pdf/dry_tech.pdf)。
ここ15か年を振り返ると、「お願いベースで」製造協力工場を募ってきた歴史だったとできる。
もう、案件が発生する地域の生コン屋さんにとにかく練っていただかないと始まらないのだ。
生コンポータル総力を上げて生コンプラントを口説き倒してきた。
生コン屋さんを警戒させないように(笑)、最初は絶対に「透水性コンクリート」というワードを使わない工夫などもされた(笑)。
(「透水性コンクリート」と喋っただけで断られるケースがあるのだ!)
そんな努力の甲斐あって、現在は製造協力者は350を数える。
そして嬉しいことに最近では今回の株式会社河北生コン部さんの様に「うちでも製造できるの?」と声をかけていただけるケースも増えてきた。
絶対できます!
よろしくお願いします!!
という気持ちでいっぱいだ。
そんな現在でも時に「できません」と案件への協力をお断りされるケースがある。
これだけは言える。
それは、「できません」ではなく、「やる気ありません」だということ。
先日もとある生コン組合の嫌がらせともいうべき妨害に遭い案件は消失した。
「今、原発の建設で生コンが忙しいので練ってられない」
というのがその組合の理屈だった。
そうですか、忙しいからやってられませんか。
本当ならそこの組合の名前も全部こちらに晒してやりたい気持ちではいるけれど、でもそこに従事する若手の技術者の本音はきっと別のところにある。
そんな回答をしてきたのは組合でふんぞり返っているだけの現場を知らないくそ理事の即答であるに違いない。
そんな連中のせいで現場ラストワンマイルの真摯な思いは埋もれてしまう。
今に見てろ。
忌々しい、悔しいけれど、そんな妨害にもめげず、透水性コンクリートの輪は今や400に迫ろうとしている。
それは、どんな時にもお客様の思いにひたむき、新しいことに目を輝かせる、現場ラストワンマイルを担当する勇者によって創られた現実。
そんな人たちの手により日本の地面の常識は少しずつだけど変化している。
それはある時突然に大きなうねりとなって世界の景色を一変させてしまうことだろう。
宮本充也