2019/11/29
「透水性コンクリートは既存枠組みでは流通しない」建設ECコミュニティ第1回定期交流会(その1)

長い産業の歴史から、施工・製造・流通は互いに縦割りで硬直化した「取る」「引く」が前提の関係性になっていた。IT流通や企業間連携という新たな時代の文脈はこれまでの施工・製造・流通の関係性をどのように再定義していくのか。「建設ECコミュニティ第1回定期交流会について」
新しい時代の製品は既存の産業枠組みでは売れない
建設ECコミュニティ交流会で配布された透水性コンクリートのフライヤー。
透水性コンクリートは既存枠組みでは流通しない。
ものづくりの現場でここ20年近くつくづく感じ入ってきたこと。
⚫︎施工(建設会社、工務店、など)
⚫︎製造(生コン工場)
⚫︎流通(商社、建材店)
の関係性が「とる」「ひく」という単純で固定的な関係性に堕してしまっているということ。
先輩から高度成長期の様子を聞けばそこには夢があり広がりゆくフロンティアがあったようだ。
作れば売れる。
それが、製造の感覚。
施工も流通も広がりゆくフロンティアに向けて互いに手を携え前進していく。
日本全体ではバブル、そしてリーマンショック、さらには人口半減へと建設を取り巻く環境は縮小に向かっていく。
これまでそれぞれに用意されていた役割も窮屈になる。
向こう側のフロンティアへ走ることで得られるだろう豊かさを分け合うのではない。
今目の前にあるえさを、
⚫︎施工
⚫︎製造
⚫︎流通
はいかに多く取り分を増やすか。
施工はいかに材料代金を絞るか。
製造はできるだけ高く売ってやれ。
流通は施工と製造の目隠し(情報操作)をしてできるだけ「抜いて」やれ。
関係性はギクシャクしていく。
透水性コンクリートの事業を15年前に始めこれまで感じてきたことを言語化すると概ね如上の通りとなる。
そうなると、新たな時代の文脈で生まれた材料は流通しづらい。
その関係性に求められるのは「環境性能」「ストーリー」「全体貢献」ではない。
もちろん心根では誰しもが地球やコミュニティに貢献できるエコな建設を志向していたとしても、目の前の経済を回すことに汲々としてしまう。
言葉や態度では環境性能に理解を示す。
けど、内心は「で、いくらなの?どんだけもうかるの?」となってしまう。
今の関係性(フレーム)で協業するそれぞれは本音と建前を分けてしまうことを責められない。
そのフレーム、パラダイムに沿って人々は活動を行なってしまうからだ。
透水性コンクリート。
大地を覆い尽くすことなく降雨を地下水系や樹木の根に届けることのできる循環型舗装。
老木は新芽を生やし、湧水は復活する。
自然と人が争うのではなく調和する世界を具現化する技術。
マイナス成長やクローズドループの未来に求められる製品。
透水性コンクリートをはじめとしたそうした製品群はただ残念な事に既存の産業構造(施工、製造、流通の関係性)には求められない。
既存の産業構造とはまた別の関係性の中にしかこうした製品の普及は期待できない。
ここ数年僕のなかでこうした思いは日増しに強まっていった。
「とる」「ひく」
ではない、新しい関係性。
⚫︎施工
⚫︎製造
⚫︎流通
のそれぞれの関係性をまた別のフレームワークで再定義する。
新しい時代に沿った新しい枠組みを設定することで時代が求めている価値を孕む製品が適切に市場と顧客に届くのではないか。
そんな課題を立てITと企業間連携であらゆる挑戦を模索し3年と8ヶ月が経つ。
そして、以前にもこちらで紹介したようにネット通販(https://www.monotaro.com/g/04477965/)で透水性コンクリートが掲載されるという出来事があった。
さらに、すでに10年以上「施工を伴う建設資材のネット販売」に携わり急成長を果たしている企業(https://www.ex-shop.net/)とも出会う。
こうした出来事は新たな時代の新たなフレームワークの兆しとして、「建設ECコミュニティー」の創造の契機となる。
(その2につづく)
宮本充也