2020/01/15
【m3】から【kg】へ「単位を変えるとわかること」DIY×生コン

僕たち産業人は常に【m3】(立米・立方メートル)という単位を用いる一方、DIYなど世間では【kg】という単位が一般的だ。生コンというテーマに関してこの単位を合わせてみる。【m3】から【kg】へ「単位を変えるとわかること」。
例えば40m2の駐車場を例にとってみる
(食い込み・ロス率は考慮しない)
当今話題のDIY。
その対象はもはや「生コン」にも及ぼうとしている。
事実日々多くの問い合わせが生コンポータルに寄せられている。
WEBを見渡してみてもホームセンターやネットで手に入る乾燥生コンを用いたDIY生コンを志向している。
その時代、僕たち生コン産業は一般の思いにまるで寄り添えていない。
取り残されているとも感じられる。
それは、互いが用いる言語が違うというのもある。
生コン産業で用いられる単位【m3】。
「立米(りゅうべい)」
きっと一般にはこの言葉はそれほど知られていないはずだ。
⚫︎りゅーべ
または、
⚫︎りゅー
と略したりもする
この単位はプロ同士(製造者や施工者その他専門家)だけの間で流通する言葉だからだ。
つかう言語は重要だ。
言語は世界を表す。
その言葉が流通する世界を規定する。
だから、「りゅうべい」を使い続ける事は結果的に社会一般との間に目に見えない壁を作ることを意味する。
一方世間で用いられる【kg】という単位。
昨年まつから「DIY×生コン」という意識が芽生え改めてインターネットを見渡している。
すると気づくことがある。
僕たちがm3を用いる一方、DIY生コンの世界ではほとんどがkgを重宝しているという事実だ。
僕たちがm3を使い続けているうちはいつまでたっても社会一般と僕たち生コン産業の間には見えない壁が立ちはだかり続けることになるだろう。
というわけで、ここでは思い切って普段用いているm3を一切捨てて、完全にkgオンリーで40m2の駐車場土間コン施工について考察を深めたいと思う。
例えば40m2の駐車場を例にとってみる。
40m2の駐車場。
8mの幅で5mの奥行きの駐車場。
土間コンを施工する場合通常は100mm(0.1m)の厚みを確保することになる。
つまり、必要な生コンの容積は、
8m × 5m × 0.1m = 4m3
4りゅうべいの生コンクリートが必要になる。
さあ、kgへの換算スタート。
生コンの密度は2.35と言われているため、
4 × 2.35 = 9.4t (= m3 = 4000ℓ)
9.4t = 9400kg
つまり、40m2の駐車場整備には9400kgの生コンが必要であることを意味する。
9400kgをDIYするとどうなる?
市販のドライ生コン(乾燥生コン)はおよそ20kgを1袋の単位としている。
仮に40m2の駐車場をDIYでやろうとすると、
9400kg ÷ 20kg = 470袋
実に470袋ものドライ生コンをネットかホームセンターで購入する必要が生じる!!
机上の計算と現場はまるで異なる。
470袋もの乾燥生コンの封を開け、それらに水を注入しスコップでかき混ぜる。
最初の1袋、2袋くらいまでなら「エクササイズ♪エクササイズ♪」くらいの鼻歌も出るだろう。
それが、470回。
想像できるだろう。
絶対無理。
生コン屋さんに頼むとどんな感じ?
さて、この9400kgの生コン。
生コン屋さんに頼むと一体どんな感じだろう?
生コン屋さんから生コン車が届き写真のようにシュートから荷下ろしされる。
9400kgの生コン。
kgで考えるととても巨大なように思う。
最初の通り僕たち生コン産業が使う単位【m3】に話を戻してみよう。
m3換算スタート!
まず、既出のように生コンの密度は2.35。
だから、9400kg ÷ 2.35 = 4000ℓ
m3とは立方メートルのことだから、4000ℓ=4m3
4m3(当たり前のことだが敢えて)の生コンが必要になる。
この4m3。
実は大型の生コン車1台で運べちゃう程度の容積。
(大型生コン車10tは4.25m3までの生コン積載が許されている。4.25m3積載で9.9875tとなる)
⚫︎生コン車1台からどどどどーと出来上がりの生コンが荷下ろしされ工事する
⚫︎470袋ものドライ生コンの封を開けせっせとスコップでかき混ぜて工事する
どちらを選ぶかは自明となる。
(価格の徹底比較はこちら:https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/diy_17.html)
生コン産業が広く世間一般に認知される。
そのためには通常使っている「言葉」に意識を高めてみる。
【m3】から【kg】へ。
単位(ことば)を変えてみる。
すると、DIY×生コンのチャンスが見えてくる。
広がりゆくDIYやインターネットという市場を生コン産業が無視することはきっと機会損失になるはずだ。
そのためにこれからもことばに気をつけて行きたいと思う。
宮本充也