2020/10/11
「透水性コンクリート《ドライテック》が拓いた生コン流通網で産業の流動性を高める」

Re-con ZEROで協業するMAPEIはイタリア・ミラノに本拠地を置く多国籍企業。生コンにおけるメインプロダクトはコンクリート用化学混和剤(世界第3位のシェア)。10年以上の協業を経験しても今なお日本にその流通は果たせない。「ドライテックが拓いた生コン流通網で産業の流動性を高める」。
閉鎖された生コン産業を開放する
透水性コンクリート15年、MAPEIとの協業10年で分かったこと
20年の生コン人生を振り返ってつくづく日本の生コン産業の閉鎖性を思い知る。
「良いものを作れば評価され売れる」
子供の頃から当たり前と思ってきたこのような常識は社会に出てからまるで当たり前ではないことを知る。
せっせと努力してお行儀よくいいものを作ればきちんと評価される。
これは、現在の日本の市場にあってはまやかし、幻想だ。
いいから売れるものではない。
ましてや、必要とされているから売れるのでもない。
透水性コンクリートや残コン再生ソリューションなどの製品普及に携わってつくづく感じたこと。
それは、現状の産業がイノベティブな価値を流通させるようにはなっていない、ということだ。
「どこかの大手流通に権利ごと渡せば売れるようになるはずだ」という誤解。
透水性コンクリートや残コン再生ソリューションを手がけ始めた僕たちは最初既存流通(商社、トップゼネコンなど大手企業)をせっせとお行儀良く挨拶まわりしていた。
いわゆる、営業というやつだ。
その努力は報われたか?
もちろん、経験の上ではとても素晴らしいものになったし、人脈の幅もそのおかげ非常に広がった。
「生コン産業のキーパーソンはだいたい友達」
と胸を張って言え得るくらいだ笑。
じゃあ、透水性コンクリートや残コン再生ソリューションは適切にその価値を評価されて流通に乗ったか、つまりは売れたか?
結論は、「全く売れませんでした」だ。
看板や企業規模は巨大な彼らに総当たりしても、結局成果は0だった。
売れなかったのだ。
ドライテックが拓いた生コン流通網で産業の流動性を高める
そうした大手企業へのアプローチはまるで成果を上げなかった一方、ドライテックは今火のようにその普及を拡大させている。
今期は1ヶ月あたりでおよそ10,000m2もの採用実績を誇っている。
なぜか?
それは、15年の歴史の中でせっせと供給体制を構築してきたからに他ならない。
一時期はGNN(元気な生コンネットワーク)などの生コングループの創業や運営に関わったり、ZENNAMAや工業組合が主催する会合にはなるべく参加するようにしてきた。
とにかく、生コン工場との関わり合いを増やそうと懸命に努力してきた。
ドライテックが世に普及するためのスタート地点は「その土地の生コン工場の理解」に他ならない。
生コン工場に相手にされなければ永遠に透水性コンクリートの普及はないと考えていたからだ。
15年の透水性コンクリートの歴史を振り返るとそれは結局「全国の生コン工場の一々を総当りした歴史」ということができる。
手前味噌で恐縮だが、日本の生コン工場を実際に訪問した数では日本一だという自負がある。
とにかく常にこれまで僕たちは生コン工場とともにあった。
そしてドライテックを通じて連携している生コン工場の数は今日現在で428工場を数える。
実に全生コン工場の13.3%に及んでいることになる。
生コン工場を主要取引先とする混和材商社との連携を深めていく
生コン工場にすでにリーチしている業態の主なものに混和剤商社という存在がある。
彼らは日頃から生コン工場に出入りしまめなサービスの提供を通じて彼らの取り扱う製品を生コン工場に販売している。
化学混和剤を例に取ればわかりやすい。
生コン工場は特定のメーカーの混和剤が特段素晴らしいからそれを購入しているだろうか。
この問いを立てることによって、「ドライテックやRe-con ZEROが普及活動に苦しんだか」の理由を探ることができる。
このことは、世界第3位のシェアを誇るMAPEIの化学混和剤が日本に流通するか否か(売れるかどうか)において、その製品が素晴らしいとか安いとかは問題ではない、ということを意味している。
生コン工場への流通フロントである「化学混和剤商社が取り扱うか否か」が普及における最大要因であり、製品の良し悪しは極言するにどっちだっていい。
そんな混和剤商社を協業相手として連携を深めていく。
このことで、ドライテックやRe-con ZERO、さらには同様の問題でこれまで普及をさせることのできなかったあらゆる付加価値やメーカーにとって新しい市場が創造される。
MAPEIをはじめ閉鎖性に阻まれてきた多くの企業との連携としての生コンポータル
ドライテックが拓いた生コン工場はすでに428工場(13.3%)に及ぶと書いた。
その全ての工場には既往の仕入れ先混和剤商社との取引関係がある。
これまで、ドライテックにせよRe-con ZEROにせよ全ては生コンポータル(有限会社 長岡生コンクリート)がダイレクトに製品を卸してきた。
例えばその流通を既往の混和剤商社に委ねる。
連携を通じてMAPEIの化学混和剤の取り扱いも検討してもらう(ここにおいてようやく製品がいいとか悪いとかが問題となる)。
あるいは、場合によっては後継者不足や事業承継に悩んでいる混和剤商社に実際に出資をすることによって提携を深める。
M&Aなどが具体的なアプローチとなるだろう。
彼らとの提携が深まれば、生コン工場との生きた関係性を有している混和剤商社は新しい文脈の製品、例えば、ドライテックやRe-con ZEROさらにはMAPEIやそれ以外の付加価値を持っている企業の製品も流通させていくだろう。
連携を深める(例えばM&Aなど)為には、資金が必要となる。
そこで近しい関係性の企業ら向けに第三者割当増資を実行する。
その資金を活用してM&Aを進めていき、提携企業先を増やしていき、生コン工場さらにはその先にいる施工者・建設業者への新しい自前の流通の輪を広げていく。
縦割り階層で整理されてきた生コン産業を新しい文脈で再定義すると言えるかもしれない。
その新しい流通が広がり発展していけばIPO(Initial Public Offering)を実行して金融市場からさらなる資金を調達し、さらなる提携企業先を増やし、さらにその流通領域は活発化していくことだろう。
閉鎖的な産業構造であるがゆえに苦しんでいる生コンラストワンマイルの才能を開放する。
その具体的実践として、「ドライテックが拓いた生コン流通網」が大きな意味を持つ。
その流通網にMAPEIをはじめとした同志らが具体的には第三者割当増資という形で合流する。
エネルギーを得て、この輪の広がりは急拡大していくことになろう。
「閉鎖された生コン産業を開放する」
そのことで、生コンラストワンマイルの才能を押さえつけてきた蓋(既存産業構造)が取れる。
世界が求めている声に素直に貢献できる生コン産業が立ち現れる。
その先には必ず、「大地を削らない、汚さない、蓋しないコンクリート」という現実が立ち現れてくるはずだ。
水の次に流通する材料「生コン」の文脈を再定義することによって必ず世界の景色は変化してしまうことだろう。
生コンにおけるクローズドループ、サステナビリティ。
そうした理念は願っているだけでなく、ビジネス(商売)という具体的なアクションをによってのみ達成されることになるのだと信じている。
宮本充也