2021/02/19
【京都】「今日はかなりの降雨でしたが問題無く透水してました」吉岡商店・NAKANO

京都府京丹後市。「今日は(F材の)投入係してたので、打設終了後に現場に行きました」吉岡商店(生コン製造)の吉岡広光さんからLINEで詳細が共有された。施工者は、最近起業されたNAKANOにより、顔料配合タイプのドライテックが施工された。
製造:吉岡商店(担当:吉岡広光)、施工:NAKANO
トップコートだけじゃない
ご担当の吉岡広光さんは今回投入がかりということで施工に立ち会うことはなかったという。
ドライテック製造の舞台裏。
F材(フッコー製造)と呼ばれるキーバインダーはモルタルペーストの少ないポーラスコンクリートの結合効果(付着、曲げ強度)を高める。
そしてさらに、今回の特徴は着色を「トップコートではなく顔料を配合している」という点。
カラー顔料バイフェロックス960G(黄色)をセメント量に対して3%配合。
ドライテックの結合材料は230kgなので、およそ7kgの顔料をプラントで投入するとこのように着色される。
翌日以降のトップコート(塗装)の工程がないため施工者負担は軽減されるものの、生コン製造者負担が大きく対応の可否は分かれるため事前確認が必要。
また、エフロレッセンスと呼ばれるコンクリート固有の現象によりカルシウム分が白く析出して色が褪せたように見える心配もあるのであらかじめ十分な説明が必要となる。
色が8色に基本的には限定されているトップコートと比べて自分で顔料を購入し調色可能であるため自由度は高い。
供用開始後の大雨時の写真でも全く水たまりはおろか滞水による路面の照りすらも視認できない。
(一方の土間コン表面は滞水によりピカピカ照っている。)
また、黄色ということだったが、風合いは真砂土のようなアースカラーのようで目にも優しい。
もちろん、ものはコンクリート(無機質、人工石材)であるため耐久性は比ではない。
駐車場として車両の乗り入れも許容する。
今日は かなりの降雨でしたが
問題無く透水してました
この施工を聞きつけた業者から
ドライテックを教えて欲しいと
問い合わせが来てます。
是非 売り込みたいと考えてます
(吉岡商店吉岡広光さんからのLINEによるメッセージ)
広がる共感・興味の施工・製造ネットワーク
普及活動も16年目を数える。
ありがたいことに今では毎日のように多くの施工実績が全国から寄せられるようになった。
そして、切実に感じる。
世界にエゴは通じない。
16年前当時、僕たちはポーラスコンクリート(ドライテック)が世界にとっていいことだから、ぜひ製造者や施工者にはその活動に協力すべきだ、という思いで営業活動を行なっていた。
地球に蓋しないコンクリートを採用することが施主の義務だ、くらいに。
今振り返れば完全な押し売り、エゴの押し付け。
主語が自分たちになっていた。
自分たちの生み出した価値は素晴らしい。
だから、世界は理解するべきだ、と。
よくできたものでそんなエゴは時の彫琢により見事に変化していく。
人は自分たちの思う通りには動かない、強制できない、という後から考えれば至極当たり前の現実に気づくのだ。
主語を自分たちではなく製造者や施工者そして施主に据えて、いかにそんな彼ら(市場と顧客)にとって有益で共感の得られる価値であるかを見つめそれを発信するようにした。
エゴを押し付けるのではなく、世界の要請に自らの姿(姿勢)を変えるといったところか。
すると、世界の方も姿(あるいは見え方)を変えた。
それまでどれだけ押し売りしようとも変化のなかった世界が自ずからドライテックを求め始める。
今回のように顔料を配合するなんて、もし仮にそれが「いいことだから」と僕たちに強制されていたとしたら絶対にしないような対応だって、主体的な生コン製造者の手により自発的に行われるようになった。
人は変化が嫌いなわけではない。
変化を無理強いされることに抵抗をするだけだ。
その真理に至った思いだ。
日頃心から感謝している。
16年前から志向し始めたドライテックが世界の標準的舗装という夢。
SDGsやESG投資の社会的潮の目の変化が追い風ともなりようやく力強く普及は拡大している。
社会の文脈が激変する中、生コンに対する市場と顧客の要求も激変する。
大地を削らない、汚さない、蓋しない、CO2を収容するコンクリート。
拡大再生産から一転、クローズドループ、マイナス成長という文脈を実装する必要性を辺境で感じた生コン製造者や施工者らは自ら主体的に、誰かに指図されるでもなく、ドライテックに取り組み始めている。
その中の一部はSNSでシェアされたり、今回のようにLINEでDMをもらったりしている。
どれもこれも、誰かの指図や「仕事だから仕方ない」なんてネガティブな動機付けによるものではない。
だからこれからも僕たちが大切にしなければならないこと。
エゴではなく、世界が何を求めているのか、そして自らはその要請に対して何をやりたいか。
自分の内側から湧き上がる創造的衝動は何か。
そんなことを見つめていきたいと思う。
そのあり方がさらに「ドライテックを教えてほしい」という新しい人々の共感を得て、世界の景色は次第に変化していくのだろう。
「今日はかなりの降雨でしたが問題無く透水してました」
それが当たり前になる日もそう遠くないようだ。
宮本充也