2015/10/15
「目線の違い」日本中どこでもどんなに小さくとも材料だけでも
とかく営業の仕事なんかをしていると、「うちのはすごいんです!」と大声で透水性コンクリートが採用された目立つ事例をご案内したくなったり、公共の大規模な案件をこれ見よがしに宣伝したくなったり、当たり前ですが少しでも自社の技術や営業力を強調したくなるものです。
自社の透水性コンクリートが他社に比べて優れている点をきちんとお客様にお伝えし、自社からご購入いただく理由をきちんとお伝えすることは確かに営業職の使命ではあるのですが、実はそんな努力がまるで逆に作用してしまい、かえって没個性を引き起こすこともあることに最近気付かされ驚いたことがあります。
ある日、某大手ハウスメーカーから当社の透水性コンクリート「ドライテック」のお問い合わせがありました。
なんでもお施主様はドライテックをご指名いただいており、たっての希望でそのハウスメーカーさんに商品指定をなさったとかで、私たちにはこれまでそのような経験がなかったのでまるで狐につままれた気持ちのままお見積もり提出と納品までさせていただくことがありました。
今後の参考にと、お施主様に「なぜ数ある透水性コンクリートから当社のドライテックをお選びいただいたのですか?」とお尋ねすると、とても意外で衝撃的なことに「もっとも垢抜けてなかったから」という意味合いのお答えをいただきました。
「垢抜けてなかったから?」
冷静に顧客の目線で数ある透水性コンクリートの商品説明を眺めてみると、確かにどれもこれも自社の製品がいかに大規模な場所で仰々しく採用され、いかに華々しい歴史を刻んできたか、盛りに盛り付けられた内容がそこにはありました。それは、盛れば盛るほど宣伝すればするほど個性が失われて同質化するという罠にはまっていくのでした。
お施主様曰く「立派で最先端で華々しい」透水性コンクリートが買いたいのではなく、「身近な手の届く」透水性コンクリートを欲しい、ということだったのです。
お客様の立場に立って、などと口では何遍も繰り返しそのつもりになっているつもりではありますが、こうした経験を踏まえると「目線の違い」に気付かされます。
そう考えると私たちが提供する「何の変哲も無い」透水性コンクリートの本当の価値は、全国86社の生コン工場GNN(https://genki-namakon.net/)の連携により、製品そのものは何の変哲も無いものだけど、地味に「日本中どこでもどんなに小さくとも材料だけでも、ご提供できること」、ピカピカの大規模公共案件の歩道や駐車場じゃなく地味に「普通の一般家庭の猫の額の小面積にも提供できること」、私たちが伝えたいことではなくて顧客が本当に欲していることが本当は大切だってこと、などが次第にわかってくるのでした。
地球環境への影響を考えれば、実は一発屋デカイのおりゃー、ではなく地道にコツコツ少しずつだけどあちこちで、の方がもしかしたら効果があるのかもしれませんしね。