2020/02/14
「物流網(基地)としての生コン工場とネット小売は産業構造を変える?」建材店・卸・ホームセンター

商店街が百貨店に、百貨店からスーパーへ、スーパーからコンビニ、ドラッグストア、そしてアマゾン。流通の変遷に従って変わるもの、変わらないもの。「物流網(基地)としての生コン工場とネット小売は産業構造を変える?」
建材店・ホームセンター・ネット小売という変遷
先輩職員、それも今は引退してしまった建材を商う方々からよく聞いたものだ。
「ホームセンターに随分と客を取られた」
町で見かける建材店。
今は看板を下ろしてしまった店も少なくない。
ある程度専門的な(例えば生コンとか杭工事、施工を伴う納材)品目を扱う建材商社にとってもけっして少なくない売り上げをホームセンターは奪って行ったそうだ。
DIY、ホームセンター。
その経済規模は4兆円と言われている。
そして、そんなホームセンターはさらに今ネット小売に脅かされている。
MonotaROに代表される事業者向けネット流通。
商店街が百貨店に、百貨店からスーパーへ、スーパーからコンビニ、ドラッグストア、そしてアマゾン。
歴史を振り返れば建材もご多分に漏れず流通の変遷を辿っていることがわかる。
ただ、今後ホームセンターはネット小売に完全に凌駕されてしまうだろうか。
この問いについて考えた場合専門家からすると少し考えづらい。
建材というある程度重さと容積があって物流(持ち運び)が特殊なものはいかにネット小売が実店舗を持たず効率的な販売網を確立したからといって物流が追いつかない。
書籍やPCのように通常の物流(大和、佐川など)に乗りづらい建材にはどうあがいてもアマゾンや楽天は参入できない。
特殊物流という壁(生コンという製品は生コン車という特殊車両によって納品される)がある限りネット小売に席巻されるということはなかなか考えづらい。
ネット時代にもコストコ(実店舗)が隆盛を極めていることからもそれが知れる。
言い換えれば建設資材(DIY資材)に関して言えば今後物流を握る業態が産業の中ではを唱えるということになるのだ。
「物流網(基地)として生コン工場を捉えたらどうなるか」という問い
上述したとおりネットでの情報訴求や実店舗を持たないことによる効率化が叶ったとしても「物流」がなければホームセンターなど実店舗業態には敵わない。
昨日友人とブレストしていた時に気づいたこと。
全国には3,000を超える生コン工場が展開している。
それぞれはそこそこ広い敷地を有している。
特殊車両生コン車をはじめ、フォークリフト、ホイルローダー、軽トラックなどの設備、また人員が配置されている。
ホームセンターと同等の機能を生コン工場に見出すことができる。
ネット小売が確立しづらい物流網。
それを生コン工場に見出すとしたらどんなことが起きるだろうか。
例えば、ドライモルタルや左官材料、ブロック製品、金物建材など、DIYでも定番な汎用品をパレット(1m3)単位で生コン工場の敷地にストックする。
ネット小売やメーカーらが情報発信と在庫負担を担う。
生コン工場を訪ねるのはだいたい建設会社や施工者だ。
日頃から使う建材がホームセンターや建材卸で購入する金額よりも安く生コン工場に置いてある。
DIYerにも「生コン工場でDIY製品が格安で手に入る」情報訴求を行う。
参考記事:DIY×生コン「生コン工場無料マッチングサービス」
⚫︎ネット小売やメーカーらは新しい物流網を手に入れる
⚫︎生コン工場は新たな収益の柱を手に入れる
これまでただ「生コンを製造出荷するだけ」を期待されていた3,000以上の生コン工場を別の文脈で再定義する。
物流網としての生コン工場。
そのことでホームセンターが占める市場に加えて生コンクリートも一般により身近な存在として認知され市場は活性化・拡大していくのではないだろうか。
流通の変遷。
それは、けっして一般消費者の汎用品に限ったことではない。
そして、ITやAIが生み出す新たな流通時代に実は一番強い業態。
それは、顧客とものづくりの間にある幾重にも連なる流通ではなく僕たちものづくりのラストマイルたち。
特殊設備を有し重厚長大な物品を扱う僕たちのような現場ラストマイル(辺境)。
僕たちの価値はきっとITやAIで適正に社会に見出され解放されていくことだろう。
どんなに便利な時代になったとしても「もの」は必要とされる。
ITもAIも所詮手段。
人々の暮らしを豊かにするのは実態のあるものであるはずだ。
「物流網(基地)としての生コン工場とネット小売は産業構造を変える?」
こんな問いに関して今色々と考え続けている。
宮本充也