2020/03/20
「今度物置を新たに購入して設置するのに下をコンクリートに」解説

WEB上で展開されるコンクリート・DIY関連の質疑応答に頼まれてもないのにプロが顔と名前をさらしてツッコミ(解説)を入れるシリーズ。「今度物置を新たに購入して設置するのに下をコンクリートに」。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11221605781
どうしても解消しづらいプロと素人の溝とその理由
(以下、原文コピペ)
2020/3/1516:02:09
今度物置を新たに購入して設置するのに下をコンクリートに使用と思ってるのですが縦3メートル横3メートルの土間コンを頼むと幾らくらいかかるのでしょうか?
展開されるこうした質問とそれに対する答えを眺めていて感じること。
建設がAmazonなどのような一般小売で普通に売れるようになるために拓くべきブレイクスルーの2つ。
⚫︎施工を伴う(届けられるだけで完結しない)
⚫︎特殊物流(一般物流に乗せられない)
という課題の存在。
一般からしたら、家電製品を買う感じで、
「で、土間コンはm2いくら?」
と聞きたくなるのを否定してはならない。
むしろそちらの方が自然であって、僕たち産業人はその疑問を真摯に応えなくてはならない。
一般的にプロがこうした質問に対して答えるのは以下のようなものだろう。
「文房具とか衣料品のようにクリックすれば届くってもんじゃないんですよ。そもそもコンクリートで土間を整備するには、その前にすきとり・残土処分・路盤工・配筋といったプロセスがあって、それぞれにそれぞれの条件が絡み合ってくるから一概に金額を答えられるもんじゃない。ましてや生コンだって地域によって価格が異なるし、そもそもが現場条件がわからない限りはお答えできかねます」(半分切れ気味)
これぞ、プロと素人の溝
ただし、この溝はすなわちチャンス(新たな市場)を意味していることに気づいている人は少なからずある。
「施工を伴う」にブレイクスルーを開いたエクスショップという会社
昨年から協業が始まっている同社は「施工を伴う」という課題にメスを入れた初めての企業だ。
まだまだ「ワンクリックで土間コンが届く」というわけにはいかないものの、「届けられるだけで完結しない」土間コンクリートやカーポート、ネットフェンスやウッドデッキに「施工を含めて」ネットで販売している。
建設が拓くべき2つのブレイクスルー「施工を伴う」にきちんと応えを提示し今も成長の途上にある。
そしてもう1つ拓くべきブレイクスルー「特殊物流」に対して生コンポータルは応えを出そうとしている。
生コンは絶対にAmazonでは届かない理由「生コン車」という特殊物流
建設がネットに接続しづらいもう1つの理由。
生コンはヤマトや佐川では現場に届けられない。
生コン車という特殊車両(物流)を経て必要な場所に届けられる。
(出典:https://www.zennama.or.jp/park/agitra/a2_shikumi.html)
この生コン車。
大型新車で1台10,000,000円以上もする高額な特殊車両だ。
Amazonが生コンを現場に届けるために全国の生コン車を買い占めるということは現実的ではない。
これが、建設がネット小売に接続しづらいもう1つの理由。
つまり、拓くべきブレイクスルーのもう1つ「特殊物流」。
生コンポータルではエクスショップの拓いた「施工を伴う」に呼応して、「特殊物流」をも提供する試みを始めている。
https://www.ex-shop.net/index.php?action=public_item_order_drytech_input
エクスショップが「施工を伴う」を担当し、生コンポータルが「特殊物流」を担当する連携を通して生コンがネットでご家庭に届くを実現しようとしている。
つまり、ネット流通最大手をも実現できないイノベーションを拓こうとしているのだ。
こうして、世間一般(素人)とプロの間にあった溝は埋まる。
「m2いくらなん?」
という答えにWEB上で簡単に答えられるようになる。
むろん、すきとり・残土処分・路盤工など周辺工事に関する解決すべき課題はあるものの、10年前に比べれば断然生コンが世間一般に近くなっていることは事実だ。
生コンも建設も評価者は役人や権威であってはならない。
唯一絶対の評価者は市場と顧客。
そうした社会一般の風にさらされることで産業は再生していくと信じている。
宮本充也