2020/06/10
【茨城】「排水もなく勾配もいらない透水性コンクリートを」施工ジョイント

茨城県常陸大宮市。4t車1台の折返しの為型枠で施工ジョイント設置(突き合わせ目地)は透水性コンクリートの強み。採用の理由は施主より「排水もなく勾配もいらない透水性コンクリートを」と希望が寄せられたこと。
製造:水戸太平洋生コン(担当:吉田正弘)、施工:香取工務店(56m2、100mm厚、4名、3時間)。
施工中の動画はこちら
4t車1台の折り返しでも大丈夫?!「型枠で施工ジョイント」
施工Before。
60m2近い敷地に排水設備が見当たらない。
また、勾配が水を誘導するための排水設備も見当たらない。
「排水もなく勾配もいらない透水性コンクリートを」。
通常プロが考えるべきテーマをなんとお施主さんが希望して採用となる。
今回初施工の香取工務店は事前に予習をしていたこともあり流れるような見事な施工。
敷設(ふせつ)、均し(レーキなど)につづき30kgプレートコンパクタが追いかける。
そして、ここで透水性コンクリート施工上の隠れた強み「施工ジョイント」設置。
4t車1台の折り返しの搬入となるためどうしても途中で材料が途切れてしまう。
その場合写真のように止枠(とめわく)まで仕上げて施工ジョイントとすることができるのがドライテックの強み。
止枠は仕上げ直後に撤去でき、その後残りのスパンを到着した材料で施工は続く。
施工ジョイントは「突き合わせ目地」としての機能も兼ね備える。
施工After。
60m2程度を4名で3時間で仕上げてしまった。
土間コンクリートではこうはいかない。
1日作業で5〜6名はかかりきりになっていただろう。
もしかしたらポンプ車での打設になっていたかもしれない。
これが、「透水性コンクリートが材料は高くとも完成品は高くならない理由」だ。
生コン屋さんにも優しい透水性コンクリート
顧客に価値(透水性コンクリート)が届く上で関係する人たち。
⚫︎製造者(生コン工場)
⚫︎施工者
⚫︎施主
(みんな「せ」から始まっている。どうでもいいことだけど)
透水性コンクリートが仮に予算を司る施主だけを満足させる製品だったとしたら、きっと今のように普及が始まっていなかっただろう。
15年前の当時この過ちに陥っていた。
「お金を出す人にとっていいものを作るのは当然だ」
という理屈のもと、わがままな施主の要求に100%応えようとした結果何が起こったか?
「製造に多大なる労力がかかる」
「施工が大変。よく失敗する」
そんな製品だから結果的に施主にとっても「いいもの」になり用がない。
途中にいるものづくりのパートナーを満足させず、エンドユーザーだけを満足させることはできない。
途中で気づいた。
実は一番根っこにある製造者を最初に満足させるべきなんじゃないか。
途中から方針を180度転換し、「生コン工場にとってのメリット」を追求するようになった。
「利益率が高い」
「特殊な原材料を利用しなくていい」
「現場でF材を手投入できる」
そして、今回も示されるように、
「運搬効率がいい」(1台回しでもOK)
まずは、根っこ・蛇口を位置する生コン工場を味方につける。
続いて、施工者だ。
「土間コンと違ってあっという間に仕事終わりますよ。早く帰れますよ」
「周辺コストが安くなって、付加価値分高く売れるから利益率高いですよ」
「クレーム(ひび割れ・色むら)が発生しづらいです」
こうしてようやく市場「施主」に価値はリーチすることができる。
「ぬかるみ、水たまりから解消です」
「草むしりから解放されますよ」
「勾配がないから真っ平らな舗装です」
といった具合に。
理屈で上述のように説明できるが、当時その只中にいた僕たちはがむしゃらに挑戦しては失敗の連続。
今や、製造者300・施工者500の共感を得るまでに育った。
そして、DIYのトレンドもあり施主からの反応も日増しに高まっている。
「排水もなく勾配もいらない透水性コンクリートを」
今回のように施主からダイレクトに指定を得られるようになった舞台裏の努力。
それは、施主にとっていいものだけを志向したのではなく、関わる全ての人たちにとって「いいもの」を志向した結果。
宮本充也