2020/06/12
【東京】「生コンはあらゆるリサイクルの受け皿だ」隈研吾に採用された透水性コンクリート・ドライテック

東京都。東洋大学新設キャンパス内舗装工事に透水性コンクリートのタイル端材特注仕上げが提案され採用。今回は本施工に先立ちモックアップ(試作・模型)施工を実施。設計はなんとあの著名建築家隈研吾の手による。老舗壁材メーカーフッコー(透水性コンクリート「ドライテック」結合材製造)により提案され採用された。
施工:前田道路、設計:隈研吾(10月ごろ本施工予定、約2000m2)
さすがは隈研吾、目先も早く話題の透水性コンクリートを設計にスペック
透水性コンクリートは普段施工事例でも紹介されているように住宅外構(エクステリア)など比較的小規模な舗装に採用されている。
生コンポータルでは15年の歴史を数える。
着実に民間での実績を伸ばし、死にたいくらい憧れた大型プロジェクトや公共事業からの引き合いが増加し始めている。
石の上にも3年というが、石の上にも15年という普及活動の険しさを改めて振り返る。
なんとあの日本を代表する有名建築家隈研吾の設計にドライテックが採用されたのだ。
⚫︎参考記事:世界に一つだけのお庭に水を通す【透水性】コンクリート'ドライテック'
今回は通常のドライテックではなく、表面を仕上げる際に特殊な骨材を撒布して独特の意匠性を期待したもの。
採用された特殊骨材は「タイル端材」をリサイクルしたもの。
(出典:https://www.r-two2005.com/news/index.php?e=5296)
通常タイル端材は用途なく残コンのように廃棄されてしまうものを、今回意匠性(見た目の美しさ)を期待して骨材としてリサイクルしている。
単純に機能性や意匠性を期待しているだけではなく、環境にも配慮されている舗装となる。
世界的建築家のディテールへのこだわりはさすがだ。
そもそもセメント・生コンはあらゆるリサイクルの受け皿だ
あまり知られていない。
生コンの原料(結合材)セメントの半分はゴミでできている。
バファリンの半分は優しさでできています
いわゆるBtoCのセンスがないセメント・生コン産業はその素晴らしい社会貢献を全くPRできていない。
だが、日本の廃棄物行政はセメントを抜きにしては語れない。
さらに、生コン。
こちらも、全然知られていないのだが、フライアッシュとか高炉スラグと言った電力や鉄鋼の分野で発生するゴミ(捨てればゴミ、副産物)の大半を生コン産業は受け入れている。
高炉セメント、高炉スラグ骨材、フライアッシュセメント。
こうした製品は「水の次に流通する材料」生コンの原料として有効であることが知られている。
ただ、70年間内向的な産業発展を遂げてしまった結果一般にはほぼほぼ認知されていない。
「セメント?モルタル?生コン?」
およその人々はその違いを知らないはずだ。
そんな、生コンの1派生「透水性コンクリート」は今回タイルの端材を骨材としてリサイクルした。
捨てれば、ゴミ。
ただ、隈研吾の手にかかればそれは美(見た目だけでなくストーリーとしての美)を追求する材料に生まれ変わる。
それを実現したのも、生コン。
透水性コンクリートの可能性はまだまだ未知数だ。
宮本充也