2020/07/25
「うち、《マルテキ》受けさせてもらえないんですよ」《談合》《カルテル》《独占禁止法適応除外》が生み出した闇

コンクリートの豆知識【㊜マーク】
面白くないのでスルーしてください
全国生コンクリート品質管理監査会議は、購入者からの信頼性を高めることを目的に、1995年12月、生コンクリートの品質管理の透明性及び公正性を確保し、品質管理体制の確立を更に図るため、コンクリート関係学識経験者並びに通商産業省(現在、経済産業省)、農林水産省、運輸省(現在、国土交通省)、建設省(現在、国土交通省)等の指導を得て、設立されました。
1997年からは全国共通の「全国統一品質管理監査基準」、「全国統一品質管理監査基準チェックリスト」に基づき、地区会議による生コンクリート工場への立入監査を行っています。
https://www.hinkankaigi.jp/torikumi/index.html
透明性及び公正性を確保とありますが、この品質管理監査って当社毎年受講しようとしてますが、
地域との協調性が認められない
そんな理由で受けさせてもらえません。お客様のなかで㊜マークを当社が取得していないせいで不利益を被ったかたいらっしゃれば教えてください。今年は受けれるように戦おうかな。
お楽しみに
(白石建設公式LINEアカウントより)
生コン産業の独占禁止法適応除外と品質管理監査会議
近代生コンクリート工学の権威長瀧重義先生をとある若手生コン実務者が主催するイベントに招いた時そのハプニングは起きた。
そのイベントでは全国各地の生コン工場実務者が自社のプレゼンテーションを行いそれを審査員が評価した。
その際「うち、マルテキ受けさせてもらえないんですよ」という件の問題発言が飛び出る。
突然に気色ばんだのは長瀧先生。
「何?そんなこと聞いたことない。どこの組合だ?」
そう、長瀧先生が当時主要な役割を果たしていた品質管理監査会議。
そのお題目は「購入者からの信頼を高めること」。
生コン産業には事実「独占禁止法適応除外」つまりカルテルが認められているのは周知。
ただそのカルテルはあくまでゼネコンに比べ資本力に乏しい生コン産業が不利にならないよう価格交渉上の秩序を期待したもの。
そのカルテルは品質管理監査会議とは完全に区分されたものであって混同されるべきものではない。
だからこそ、その辺境での杜撰な運用を知らされていなかった品質のボス長瀧先生は狼狽えた。
「品質を守る」をお題目として実際にはアウト工場(カルテル、協同販売に応じない生コン工場)の排除を行っているということが許せなかったのだ。
同社が審査を受けられない理由となったのが、「地域との協調性が認められない」というもの。
地域の主語が完全に「生コン組合」となっている。
品質管理監査会議の主語はあくまで「顧客」であるはずだ。
こうした現象は残念ながら生コン産業の随所に程度の差こそあれ散見される。
主語は市場と顧客であるべき
生コンポータルの活動の中でもこうした現象に市場と顧客の要請が阻害されるケースはある。
⚫︎参考記事: 「九州北部・山口・広島・関西・東北・北海道の一部エリアが弱いです!」生コン工場急募
特定の顧客が透水性コンクリートを必要としている。
生コンポータルもその供給を願う。
ただし、ご当地の生コン組合がその協力を拒む。
こうしたケースは残念なことに枚挙にいとまがない。
生コン組合とは中小企業等協同組合法という法律で認められた存在だ。
その目的は産業の担い手の保護でもあるが、究極的な目的は生コン工場の安定した経営を担保することにより、市場と顧客の要請に満足に応えられるようにすることであるはず。
ただし、一部の組合は、その保護政策を逆手・悪用して自己都合をその地域で顧客に押し付けるようになっている。
BtoBを70年以上継続してきた結果産業は硬直化し閉鎖・階層・縦割りで秘匿されこうした現実は門外不出となっている。
生コン産業が本質的に市場と顧客の要請に応える、社会貢献するためには?
犯罪を例に取ろう。
昼日中「今から僕この家に盗みに入ります!」と宣言をして大音量を発生させて扉をこじ開け行われる犯罪は考えづらい。
悪事はおよそ闇夜で行われる。
人気のない場所で起きることが多いはずだ。
これと同じことが産業にもあるのではないだろうか。
生コン産業はこれまで70年以上もBtoB内向きの発展を遂げてきた。
誰も口にしないけれど多くの人がその産業の常識(世間の非常識)を自覚している。
それは縦割りで階層で区分され閉鎖的な殻(巨塔)の中で世間を無視して運用されている産業構造に原因がある。
もしもこの産業構造がいわゆる「昼日中」「白日の元」のように区分されず社会の目に常に晒されている環境になりさえすれば。
自己都合を押し付けるデタラメな運用を行う組合は誰に強制されるでもなく自発的に変化するはずだ。
「流石にこれはちょっとやりすぎだな。世間の目が怖いな」
である。
その産業構造への第一歩が「インターネット」「企業間連携」
誰が読んでるとも知れないこの毎日3本の生コンブログもその1つだ。
毎日3本365日4年と5ヶ月続いたこの我ながら変態的継続も随分と産業の景色を変えたように思う。
(現在月間20万PV)
そして、同業・隣接異業種が連携・共同することでこれまでどうしても地場産業で地域に縛られがちだった生コン産業の通気性が高まる。
風通しが良く、外の光が入りやすいガラス張りの産業構造へのパラダイムシフトの鍵は、「インターネット」「企業間連携」にあるはず。
情報の流動化は既存メディアに望むべくもない。
彼らは結局旧来の産業の手先でしかない。
旧来の産業構造から降りてくる富(宣伝広告費)を運営原資としている以上旧来の産業構造にとって都合の悪いことを指摘するような記事は書きようが無い。
それはいずれの分野のメディアにも同様のことが言える。
誰もそのことを非難できないしすべきでも無い。
対立軸を作らない。対峙ではなく融和、対立ではなく超越と統合
とある集団にとって都合が「良い」「悪い」というパラダイムではなく、全体論で考えなければならない。
生コン産業全体として必要としていることは何か。
個別生コン集団にとって「プラス」「マイナス」で論じない。
「全体にとって明らかにプラス」を希求する取り組み。
僕たち生コンラストワンマイルが志向すべきはそんな全体論。
もしも仮に生コンポータルが自社の利益だけを優先するような姿勢を打ち出したらたちまち市場と顧客の審判を下されてしまうことだろう。
このときに必要な判断基準は常に「市場と顧客は僕たち生コン産業に何を求めているか」である。
その市場と顧客の要請に対して自分たちはどのように姿を変えるか。
それが、生コン産業に求められていること。
生コン全体が必要としていること。
それが、「新市場の創造」であることに異論を挟むものはないはず。
例えばその新市場の創造が「透水性コンクリートの普及」という具体論になった際に、次に必要な検討は「その透水性コンクリートの普及が市場と顧客の要請と重なっているか?」を吟味すること。
「市場と顧客の要請」という円と「生コン産業の新市場の創造」という円が仮に重なっている領域があるのなら、そこが生コン産業が人口現象局面をブレイクスルーするためのチャンスとなる。
対立軸を作らない。自分の本懐を遂げる
市場と顧客が生コンに求めることをじっくりと吟味する。
小さな一歩でも構わないからとにかく実践に移してみる。
その実践に対する市場と顧客の反応をしっかりと受け止める。
もしこの文書を読んでいる生コン関係者がいたとしたならば、今のこの生コン産業は完璧で素晴らしいと思っている人はいないはずだ。
多かれ少なかれこの産業に対して問題意識を持っていなければこんなブログなど読まない。
これまで互いに分断され区分されてしまった生コン当事者達がこのまま分離を続けるのではなく、新しいパラダイム(新しい市場と顧客の要請に答える姿)に移行しなければいつまで経ってもうだつの上がらない生コン産業の辺境のままとなる。
合コン(死語?)で「俺、生コン工場の試験室っす」と堂々と言えないままだ。
あなたの、僕の人生はそのまま何も変わらず終焉してしまうことだろう。
必要なのは誰かの利権を糾弾することではない。
生コン産業が向かうべき道筋をきちんと考えてそれを実行に移すこと。
それはあなたや僕を含む誰にとっても都合の悪いことではない。
1人でも多くのそんな生コンパーソンが増えることが生コン産業の再生につながるはずだ。
仮に再生に繋がらなかったとしても、生コンという仕事がとても実りある素晴らしい職業に変わっているはずだ。
その活動はたとえ最後の1人になったとしても続けられるものではないだろうか。
少なくとも僕にとってはそう思える。
宮本充也