2020/08/21
【埼玉】「需要地で続々協力《生コン工場》の輪が拡大している」廣島産業・渋谷建材

透水性コンクリート《ドライテック》普及の舞台裏では日々施工者への見学会やオンラインセミナー、さらには生コン製造工場での製品開発などものづくりのラストワンマイルたちの活躍がある。今回は需要地埼玉県でも名うての生コン工場廣島産業での試験練り。「需要地で続々協力《生コン工場》の輪が拡大している」舞台裏のご紹介。
こうして製造協力工場は日々少しずつ増えている
埼玉県鶴ヶ島に操業する廣島産業は県内でも名うての生コン製造工場。
訪問してみて驚いたのは、地下ベルトコンベアやコンプレッサーなど故障して仕舞えば致命的な設備がすべて2系統整えられているという点。
同社は組合に所属してはいるもののそこに甘えず、「絶対安定供給」という信念を貫く素晴らしい生コン工場だ。
丸壽産業(まるとしさんぎょう)東京支店前嶋さんのお導きでこちらをご紹介いただき今回試験練り(出荷に際しての前準備)を目的に訪問することになった。
廣島産業訪問前に前嶋さんとファミレスで打ち合わせ。
どのように透水性コンクリートをはじめとした先端コンクリートテクノロジーを市場と顧客に届ける体制(製造・施工)を拡充するかについて議論が白熱する。
「ゴールはどこなのか、きちんと伺いたくてお時間を頂戴しました」
まだ20代の前嶋さんだが常に目的やゴールを忘れずに自らの行動を律していきたいという気構えを持っている。
そんな熱意に応えているかのように見せて、実はブログをせっせと書いていたのはここだけの話だ。
試験練り前のミーティングの様子。
透水性コンクリートがどのような製品で、どのような市場と顧客に求められ、生コン製造工場にとってどの点が有意義であるのか。
発注者、施工者、そして当事者である僕たち製造者それぞれについての透水性コンクリート《ドライテック》の特徴について共有する。
場所を試験室に移していよいよ試験練り開始。
試験練りをリードするのは試験課長の岡部さんだ。
「生コンについてはプロですが、透水性コンクリートは通常の生コンと勝手が違うようなので、何かと頼みます」
岡部さんは非常に頼もしい技術者の方だ。
40ℓのサイズで実際の配合で製造をする。
こちらがドライテック。
いかに生コンのプロとはいえ通常の生コンと違ってスランプ試験が適応されないため「これが果たしてきちんとした性状なのか?」は初めてみた人ではとてもわからない。
こちらが透水性コンクリートの性状を把握するためのダレ試験だ。
容器に8割程度試料を入れたら30回シャッフルする。
チェックポイントは、
⚫︎試料に光沢があること
⚫︎空隙がきちんと確保されていること(ペーストで埋まっていないこと)
試料を排出してから今度は、
⚫︎ペーストがまばら(すだれ状)に容器に付着していて適度に容器の向こう側が見える程度であること
などを確認する。
こちらは曲げ試験用供試体。
ドライテックのキーバインダー「F材」(結合材)を入れた場合と入れない場合の比較試験となった。
試験室の職員の方からは、
「F材が入っていないと粘性が少し弱いというか、骨材の座りがよくないように感じますね」
という定性的なフィードバックが共有された。
28日経過後にはこの供試体は曲げ試験に供され、実際に曲げ強度はどのように上がるのか(下がるのか)定量的に確認される。
展示用に作成されたサンプル(2005砕石F材有り・無し、三部砂利F材有り・無しの合計4通りが作成された)。
次は自社顧客施工者らに声をかけて大々的に施工見学会の予定
今、こうした試験練りや見学会が全国の生コン工場で積極的に行われている。
「最近顧客から《ドライテック》と名指しで問い合わせを受ける」
今回の廣島建材さんもまさにそんな生コン工場の1社だった。
生コンポータルではもう15年目に差し掛かっている。
「生コン屋さんの透水性コンクリート」
その熱はなかなか産業にすぐには伝わらなかった。
地場産業(JISで配達時間を明確に規定されている)ため、どうしても産業は保守的で閉鎖性が高い。
新しい技術や製品に対しては常に疑問の目が向けられる。
それでもめげずにせっせと毎日毎日情報発信(熱を伝える仕事)を行なってきた。
15年目を迎えて、産業、そして社会は目に見えて変化しているようだ。
毎日3本以上飽きずにブログを書き続けてこれで4年と5ヶ月と21日目となる。
並行してひたすら見学会、セミナー、試験練りを続けている。
産業を構成する人を対象にのべつまくなしに情報を発信している。
その甲斐あって、廣島産業さんのような共感してくれる人たちがとても増えてきた。
どんな場所でもこの価値が等しく届けられる世界がもう少しで立ち現れそうだ。
「需要地で続々協力《生コン工場》の輪が拡大している」
宮本充也