2020/09/30
【鹿児島】《余剰水》《状態変化》「これから透水性コンクリートはいい時期を迎える」木田組生コン・エクステリア一

鹿児島県霧島市。1台目2m3は家の裏手(犬走り)から開始1時間以上かかる。2台目以降は慣れてきて、スピードアップ。休憩、待機時間を抜けば、打設時間は2時間半程度。1台目は1時間以上、製造後2時間は経過していたが、夏場に比べ、状態変化はあまり見られなかった。「これから透水性コンクリートはいい時期を迎える」。
製造:木田組生コン㈲鹿児島工場、施工:ステリアー(5m3/40m2、100mm厚、2時間半)。
土間コン打設が辛い理由《余剰水》《ブリーディング》
施工Before。
今回は九州の有力生コングループとして名高い木田組生コンの鹿児島工場からの製造・出荷となった。
普段品質管理や製造に携わる同社の橋本さんからの写真報告をいただく。
写真からも分かるようにこの現場はインターロッキングや透水性コンクリートなど凝った舗装が入り乱れる外構工事。
そのため、一輪車での搬入や狭い場所での施工などとかく時間がかかるため、材料の経時変化(時間の経過による状態変化)に特に注意が払われた。
プレートコンパクタ(30kgタイプ)が悠々と転圧できるほどの広さが確保できないため、タンパでこまめに転圧をかける。
そのため、どうしても材料の荷下ろしに時間がかかってしまう。
特に慣れない最初のうちはベニアを利用してプレートマーク(凹凸、段差)に配慮したりなど、とにかく時間がかかった。
「1台目は1時間以上、製造後2時間は経過していたが、夏場に比べ、状態変化はあまり見られなかった」(橋本さん)。
施工After。
1台目、一番時間がかかった箇所。
施工After2。
「これから透水性コンクリートはいい時期を迎える」
あなたが施工のプロだったり、あるいは友人や知人に施工のプロがいるとしたら、土間コンクリートはこれから迎える秋や冬場はとても厄介なものだということが分かるはず。
余剰水(ブリーディング水)
は土間コンクリート打設についてまわる現象。
敷設して均す。
ここまでは生コンを用いた土間コンクリートも、透水性コンクリート打設も同じ工程。
ただ、通常の生コンの場合「余剰水」といって、砂・砂利・セメント・水の中で最も密度の小さい水が上面に浮き上がってくる。
その水が引く(乾く)まで仕上げ(金鏝)作業に移れない。
手待ち(何もできない時間のこと)が発生する。
冬場は2〜3時間なんてことも。
そこから、仕上げ(金鏝)作業に、こちらも2〜3時間。
仕上げが終盤戦を迎える頃にはとっぷりと日が暮れて極寒の中の孤独な作業だ。
土間コンに携わる全ての人たちはこれから辛い時期を時期を迎えることになる。
夏場と違ってブリーディング(余剰水)がなかなか乾かず手待ちが長くなるからだ。
透水性コンクリートは余剰水の発生がない
生コンのようにペーストの中で軽い水が上面に上がってくることがない。
敷設、均し、に続いて、即仕上げ(転圧)できることが透水性コンクリートの特徴だ。
「透水性」と名がついているため、ついその性能面に意識が向かいがちだ。
ただ、この材料の最大の特徴は、
「ブリーディングがないため、作業がめちゃくちゃ早く終わる」
この通常の土間コンに比べた特徴が施工者に提供できる最大の価値だと信じている。
冬場でもとにかく仕事が早く終わるのだ。
さらに、
「製造後2時間は経過していたが、夏場に比べ、状態変化はあまり見られなかった」
橋本さんの報告にもあるように、夏場に比べて秋・冬は状態変化が少なくなる。
つまり、仕事が夏場と違って忙しくなく、ゆとりを持って作業ができる。
「これから透水性コンクリートはいい時期を迎える」
知らない施工者たちが気の毒でならない。
知らないってだけで今年の秋冬も貴重な時間を浪費するのだ。
来年も知らなければ・・・。
ずっと知ろうとしなければ・・・。
ああ、気の毒な施工者たち。
前向きに新しい技術に向き合いさえすれば、仕事が早く終わって適正な利益を上げて、暮らしが豊かになるのに。
やる気さえあれば・・・。
やる気さえあればいつでもオンラインセミナーや見学会に参加することができる。
まあ、やる人はやるし、やらない人はやらないのだけれど。
本州最南端の鹿児島でも木田組生コンとともに土間コンクリートの常識は変化しようとしている。
チャンスはあるのだ。
この秋・冬の土間コンを例年通り苦しいものにするか、それとも楽しいものにするか。
それは、施工者、あなたのその気次第だ。
その気になりさえすればお客さんも喜んでくれるはずだ。
宮本充也