2020/10/23
《ドライテック》「僕たち製造者は一般のお相手は致しません。誰にでもいい顔することがプロの仕事じゃありません」生コン工場

露出も増え、話題にもなり、問い合わせが増えることはとても嬉しいことではあるけれど、急増する一般から寄せられる生コンポータルへのドライテック納品依頼。一市民としては親身に寄り添って差し上げたいのは山々ですが、プロとしては致しかねます。「僕たち製造者は一般のお相手は致しません」。
あんこ屋はまんじゅうを作りません
SNSなどでのDMや、どこでお調べになったのか、生コン工場への直接電話。
ホテルや飲食店での丁寧なサービスに慣れてしまっているからだろう。
中には実にぞんざいな、「金出すのはこっちなんだからこのくらい当然だろう」という不遜な態度をとる方がいらっしゃる。
また、知人や友人も油断がならない。
「友達なんだから」
「知り合いだから」
こうした理屈は物事の本質を見誤る場合がある。
生コン工場はいわば、あんこ屋。
あなたはまんじゅうを食べたいと思ったとして、原料製造元のあんこ屋に連絡したりするだろうか。
これまで、あんこ屋さんに連絡を入れて、まんじゅうがうまいだのまずいだのクレームを入れたことはある?
生コンポータルでは「お庭づくりは0円マッチング」庭コンという全国の透水性コンクリートの施工と製造元のリストを無償で公表している。
生コンポータルは静岡県伊豆の国市という地方で操業する生コン工場だ。
地域の生コン需要家の求めに応じて生コンクリートを製造し建設現場に届けている。
15年ほど前に事業を始めた透水性コンクリートをきっかけに全国区の生コン供給も始まった。
インターネットを通じた全国各地の生コン工場との連携を通じて今では日本全国どこでも等しく透水性コンクリートを始めとした先端コンクリートテックは届けられるようになった。
グッドデザイン賞ベスト100に選出(グランプリは30日発表)されるなど、このところ露出も増えている。
テレビでも頻繁に取り上げられている。
エクステリア界隈ではそこそこ有名になってきた自覚もある。
そうなると現れるのが、「一般からの直接の連絡」。
あなたもそうであるように、僕たちも人のいい一市民であるため、なんとかお役に立てられるようにと、当初は親身に熱心に対応するようにしていた。
そして、ある時気づいたのだ。
生コン屋である僕たちが一般の人たちに透水性コンクリートを提供しようとしてはダメ。
親切心からだったとしても、仇になる。
という現実。
僕たちは製造のプロであって接客や施工のプロではない。
職業人はそのプロの領域でその能力を発揮すべきだ。
生コン工場としては55年。
透水性コンクリートの普及者としては15年。
僕たちにはそれだけの蓄積がある。
その蓄積は、「透水性コンクリートを始めとする生コンクリートを製造し建設現場に届ける」という経験だ。
決して、ホテルや飲食店のように気持ちの良い接客を一般の方々向けに提供する、というものではない。
僕たちの仕事はそんなことよりも、パートナーである施工者に扱いやすい製品を製造しなるべく時間通りにお届けすること。
より良い製品になるためにさらなる研鑽を積むこと。
良かれと思って施工をこちらで施工までして差し上げたり、良かれと思って原価同然で製品を提供したりしても、その想いは伝わらないばかりか、かえって仇になることをこれまでも経験してきた。
その都度、傷ついたりしてきた。
そして、親身になって、一般の方々に対して慣れないサービスを提供しようとすることで、時間を取られたり機嫌を損ねたり。
それこそ、真のお客様への価値提供、技術力の研鑽に当てるべき時間を、プロの領域ではない分野に取られることで、本業が手薄になっては元も子もない。
だから、あえて、一般の方や友人・知人へのサービス提供を今後は一切断ることに決めた。
不遜な態度に思われるかもしれないが、僕たちもあなたと同じように人のいい市民の1だ。
そのプロの領域で最大限力を発揮することで職業人としての貢献を果たしたい。
社会に貢献していきたい。
僕たちの貢献とは決して丁寧な電話対応や感じのいい笑顔や挨拶ではない。
透水性コンクリートという地球環境や社会が求めている価値を適切に普及せしめること。
そのためには、パートナーである施工者との良好な関係を構築し、適切な情報をインターネットなど媒体を通じて一般に発信すること。
「僕たち製造者は一般のお相手は致しません。誰にでもいい顔することがプロの仕事じゃありません」
そんな気持ちで真摯に仕事に向き合っています。
あなたがあなたの職業に誇りを持っているように。
僕たちも生コンを製造し必要としているところへお届けすることに誇りを持って日々過ごしています。
もし、一般の方でドライテックをご用命されたい方はエクスショップや庭コンに登録されている会社など「普段から一般の方たちに価値を提供している」地元の方々にご相談することをお勧めしています。
また、DIYに挑戦される方にはご当地の生コン工場を紹介していますので遠慮なくメールフォームでご連絡ください。
宮本充也