長岡生コンクリート
オコシコンは高い透水性を持ちながら表面強度・曲げ強度に優れたポーラス構造の高強度コンクリート

2019/11/09

「固まるメカニズム」 ポーラス・セメント・樹脂

「固まるメカニズム」 ポーラス・セメント・樹脂

ごりごりの専門的な話を書こう。

どうせ他人のブログを読むことに時間を割くのであれば、

「読んで得した」と思ってもらえる情報を伝えたい。

生コン

かちこちに固まっているコンクリートになる手前の状態。

ありとあらゆる部材に使われているインフラ資材であり、

「水の次に流通する材料」


固まるメカニズム

よく専門家でない方は、

「乾いて固まるんでしょ?」

と思われているが、

水和反応

と呼ばれる化学反応が固まる裏付けとして作用している。

主要原料であるセメントが水と反応することで、

<C-S-H>

と呼ばれる結晶構造物が生成されこれが固くなる基となっている。


水を透すコンクリート、

ポーラスコンクリート

は、お菓子の「かみなりおこし」みたいな構造をしたコンクリートである。

連続する空隙が内在するため(ポーラス構造)そこを水や空気が透過する。

これが、

水たまりのない駐車場

の基礎的な考え方。


わが国では佐藤渡辺社のパーミアコンが始まり。

もう30年近い歴史となっているが、

それでも一般的に普通に身近な技術という認識はないだろう。

様々な理由があるのだけれどその一つに、

「高い技術力が要求される」

というのがある。

その理由を簡単に紹介したい。


ポーラス構造を取り上げた。

かちかち②.jpg

写真のように、砂利と砂利が点接着で組みあがっている構造。

通常生コンクリートはペースト(セメントと砂と水)が砂利と砂利の間を、

「隙間なく埋めている」

一方ポーラス構造は本来ペーストが埋めている隙間が水を透すようになる。


お察しの通り、通常の生コンクリートに比べてこのような構造が、

「頑丈なわけがない」

むしろ、

「もろい」

その通りである。


その、「もろい」にも化学的裏付けがあるため説明したいと思う。

セメントは圧縮に強く曲げや接着に弱い

という鉄則がある。

圧縮に強いという性質からビルや橋などの構造部材に用いられている。

ただ、意外と曲げや接着(離れようとする力)は圧縮に比べると、

13分の1

しかないと言われている。

全然くっつかないのである。

極論を書いてしまうと米粒の方が接着力があるくらいである。

それほど、セメントはくっつけ力(接着強度)が弱く、

反対に樹脂(ボンド)みたいなものは曲げや接着に強く圧縮が弱いとされている。


さて、ポーラス構造。

点接着の連続で構成されている構造であるため、

要求される性能は圧縮ではなく曲げである。

車が通ったりした場合に最も応力を受けるのは砂利と砂利のくっついているところ。

つまり、セメントが弱いとされる接着強度にもろに応力がかかるのだ。

だから、ポーラスコンクリート→透水性コンクリートは高い技術力が要求されるゆえん。

普通の生コンの知識では作れないことも普及が遅れているいったんである。


僕たちが取り組んでいる透水性コンクリートは、

F材というバインダ(結合材)がこの接着強度を補うために入れられている。

このF材を開発した会社はフッコーといって、

壁材の老舗メーカー

面白くないだろうか?

駐車場とか道路に使われるポーラスコンクリートの結合材のメーカーが実は、

塗り壁の会社

理屈は簡単で、壁材はもともとくっつけるための技術。

生コンはもともと耐える(圧縮に対抗)ための技術。

市場がまるで違うのだけど、ポーラスコンクリートという文脈で考えた場合、

組める相手。


フッコーの杉山副社長とは10年来のお付き合いとなるが、

二人三脚でこの分野を開拓してきた同志である。

お互いの市場や商習慣が全く違う。

今でも、「生コン屋と塗り壁メーカー」という組み合わせは、

「は?」

だと思う。

だが、実に親しくしている。

10年経ってようやくドライテックが軌道に乗り始め、

大手ハウスメーカーのエクステリア工事に標準採用されたり、

電力会社(送電線)での仕様に組み込まれたりなど、

苦労の刈り取りの時期になりつつある。


ブログでは普段専門的なことを書かないようにしているけれど、

たまにはしょっぱい話もいいだろう、甘いもんばかりでも飽きるし。

そしてこれもお察しの通りだが、

高い専門性や技術革新の基も「人の交流」となっている。

このところ確信を持つようになっているが、

理想を重ね合わせてベクトルを同じくし互いを尊重し合う間柄がシナジーを生む。

10年という歳月にはもちろんやめちゃいたいくらい辛いこともたくさんあった。

ただ、金儲けとか技術革新ということではなく、

今だから言えるけど、身近なまたは尊敬できる人に重点を置いた仕事が、

結果として技術革新や再投資のための利益をもたらす。

結局はどんな技術も商売も、「人格を磨く」以外に近道がないのだと、

最近歳をとったせいもあるのか、そう考えることが多い。

これからも、人、に力点を置いた仕事にまい進していきたいと思う。


宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士/砂利採取業務主任者/採石業務管理者

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:宅建士

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