2020/12/05
【東京】「ダンプトラックとか、重車両は乗せられないんでしょ?」渋谷建材・ワイエイ.ケイ

東京都豊島区。新築で外構工事の(排水計画)水勾配に悩んだ設計士がインターネットで透水性コンクリート《ドライテック》の透水動画を見て「これしかないじゃん」となり、採用。設計段階での検討はスペック専門フッコーのお家芸でもある。
製造:渋谷建材(担当:大曽根勇太)、施工:ワイエイ.ケイ(42m2、150mm、5名、3時間20分)。
透水動画を見て「これしかないじゃん」
施工Before。
新築の外構舗装を計画する上で、排水計画(水勾配)に悩んだ建築士がインターネットでドライテックの透水動画を見つける。
これ見て、「これしかないじゃん」となり、問い合わせを寄せる。
透水性コンクリート《ドライテック》は単一の企業が取り組んでいる従来製品とは違い、複数のあらゆる業種に支えられたプロダクトであることが特徴だ。
生コン製造者、施工者、商社、道路会社、そして設計折込(スペックイン)を得意とするフッコーのような業態もドライテックの普及に携わっている。
(※フッコーはドライテックのキーバインダー製造元)
【参考】設計折込・スペックインという手法
ドライテックなど建設に関わる製品が「売れる売れ方」には色々なプロセスがある。
中でも、「設計段階から商品が指定して採用される」ように促す営業手法(提案)のことを、
⚫︎設計折込
⚫︎スペックイン
と呼ばれる。
(参考:折込営業とはどんな営業)
特にプロジェクトものなど大型の建築物件ではこの設計折込がとても強い。
塗り壁材メーカーのフッコーのような業態では特徴的な製品を開発し、設計事務所を巡回してはその特徴を提案し、設計段階から設計図書に自社の製品を特記するよう促す営業活動を行なっている。
そのため、フッコーのような業態は常に設計事務所とのコネクションを持っている。
例えば、生コンポータルなど設計折込を普段行っていないような企業に設計事務所から問い合わせが寄せられても、普段対応しない業態であるため、基本的には受付をしない。
餅は餅屋で、参画するあらゆる業態から「それが得意」な会社が受け付ける。
そんな、スタイルだ。
ドライテックを設計折込することに前向きな企業全てにこうした活動は門戸を開いている。
何も、「フッコーだけが設計折り込みできる」というものでもない。
閑話休題。
そんな設計士から寄せられた問い合わせは今回もフッコーで受け付けら晴れて工事となった。
一層目の締め固め終了。
見てわかる通り、天端(仕上げ面の高さ)まで仕上げられていない。
重車両が頻繁に乗り入れることが想定されているため、従来100mmを標準としている設計厚を150mmとしたため、2層に分けて施工されている。
2層目の施工。
1層も2層も、基本的には施工フローは全く同じ。
敷設された材料をトンボなどで平坦に均し、その上をプレートコンパクタ(30kgタイプ)で締め固め。
1層目は2層(仕上げ層)を支える役割であるため、それほど仕上げ(見た目)を気にする必要もないため作業は捗る。
2層目は普段のドライテックの施工のそれと全く同じ。
施工After。
42m2を150mm2層施工で5名で3時間20分で完成させた。
もちろん、設計士(施主の代行)の悩みを解消させただけでなく、施工にとっても優しいのが透水性コンクリート《ドライテック》の特徴だ。
これだけの規模を土間コンクリートで施工する場合、そもそも3時間程度ではとても終わらない。
一方、今回は現場の都合もあり「午後からの施工」となった。
午後から施工できる(終わった時には日も暮れていたが)のは透水性コンクリートの施工者に提供できる価値の1つでもある。
ドライテックは乗用車とか軽い車両しか乗れないという誤解。
よくあるのが、
「ダンプトラックとか、重車両は乗せられないんでしょ?」
という質問。
実は、これ、完全な誤解。
確かに、紹介されている施工事例の多くは戸建て住宅の駐車場など小規模な現場ばかり。
それを見て、勝手な想像で、「大きな車両は無理」と思ってしまうのも無理ない。
ただ、実は「小さな現場でも透水性コンクリートが施工されている」ということが本来注目すべき点なのだ。
本来、透水性コンクリート(水をすばやく透す舗装)とは公共事業など比較的大規模な物件のみに採用されてきた。
小規模な物件には「とても手が回らない」「高くなっちゃう」というのが現実だった。
ドライテックが拓いたイノベーションは「小さな現場、たとえ4m2でも、材料だけで納品できる」ということ。
戸建て住宅規模に全国的に材料納品できる透水性コンクリートはドライテック唯一無二なのだ。
さらに、荷重に対する抵抗力は設計厚で調整するようになっている。
確かに100mm厚で住宅外構駐車場舗装程度であれば、せいぜい乗用車や引越しの車(4t)程度を想定している。
10tトラックが乗り入れてもすぐに割れてしまう、ってこともないことはないが、不意の衝撃(想定していなかった荷重)で割れてしまう懸念もある。
その場合は、100mmの設計厚を150mmなど、増すことで対応ができる。
実際、重車両が頻繁に往来する工場敷地で210mm厚で施工した実績もあるほどだ。
小よく大を制する。
0.5m3(4m2)から納品可能な唯一無二の透水性コンクリートは時代の要請に応えて力強く普及が広がっている。
そして、それは従来のものづくりのあり方と違って、特定の企業が特定の販売網で一方通行に市場と顧客に押し付けているのではない。
現在およそ1,000社の製造・施工ネットワーク。
階層・縦割りを前提としない流動的で有機的なこの流通構造は今も自然増殖を続けている。
5年以内に6,000社までに増殖する見通しだ。
従来の下請け構造を前提とした供給体制と違って、誰かの指図を受けるではなく、それぞれの地域それぞれの条件で自主的に製品は顧客に届けられている。
この流通構造はこれまでにないあり方であり、そのあり方こそがグッドデザイン賞2020金賞・経済産業大臣賞に輝いた理由の1つでもある。
この有機的自然増殖はやがて日本中、世界中の大地を再生することになるはずだ。
大地を削らない、汚さない、蓋しないコンクリート。
時代が求めている先端コンクリートテックは、従来の画一的で押し付けがましい流通構造ではない。
新しい、有機的な流通構造が市場と顧客に届けることになる。
宮本充也