2021/01/02
【茨城】「地域や枠組みを超えて《共感》をベースとした共同に支えられている」大里ブロック工業

「いつも、報告しないの僕だけですね!昨日(※昨年)やらせて頂きました。とにかく、透水でやりたいとの事でした、御施主さま。で!いつも物足りずでごめんなさい。とにかく、施工者がいなく、ネコ押しもできない人たちと仕上げているのが現実です。予めご了承下さい。近々、少し大口あります。またのせて頂きます。」(大里ブロック木村さん共有)。
製造:大里ブロック工業(担当:木村真人)
木村真人が現場に現れた
大里ブロック工業木村さんからメッセンジャーグループに共有された現場状況。
施工Before(大里ブロック工業木村真人さん撮影)。
前庭駐車場。
周囲に排水設備は見られない。
おそらく排水・水はけ・水勾配、或いは雑草対策などがきっかけとなって採用された透水性コンクリート《ドライテック》。
写真でもわかるように、従来の土間コンでは必須のワイヤーメッシュが見られない。
つまり、路盤(下地)の上にそのまま生コン車が進入することができる。
入り口が狭く、生コン車の乗り入れができない場合でも、一輪車での小運搬はスムーズ。
真っ平らにすることができるので、勾配を考えた均しも必要ない。
とにかく面倒の少ない未来型土間コンがドライテック(透水性コンクリート)の特徴だ。
今回も大里ブロック木村真人さんが現場指導員として立ち会った。
施工After。
写真は、BeforeとAfterの2枚しか撮影されていない。
「施工者がいなく、ネコ押しもできない人たちと仕上げているのが現実です」
(※「ネコ押し」とは、一輪車による材料の小運搬を意味する業界用語)
木村さんのコメントからもわかるように、毎度彼は「施工指導」の枠を超えて、自ら体を動かし施工者とともに仕上げに参加している。
(通常施工指導員は施工の指導だけを行い、手伝いは行わない)
つまり、「施工中の写真を撮っている暇がないくらい手伝っている」ということだ。
木村さんのような方がいる生コン工場(大里ブロック工業)と取引のある顧客は幸せだ。
実際、2〜3人くらいの働きをしてしまうのだから。
しかも、ドライテックのことをよく知悉している。
あらゆる現場でドライテックの性状を見て知っているのだから。
「近々、少し大口あります。またのせて頂きます」
茨城県で操業する大里ブロックさんでは昨年もドライテックの製造実績を非常に伸ばした。
気合バリバリの木村さんが現場に現れたらどんなピンチでも乗り越えられる。
(それに甘えて、最初から作業員を減らしておくようなことはやめてねっ)。
地域や枠組みを超えて共感をベースとした共同に支えられている。
昨年1年間、木村さんをはじめこうした個人の方々の活躍を見ていて強く感じたことがある。
「上司にやれと言われたから」
「会社の方針がこうだから」
「所属の組合の年度事業だから」
動機付けが外部にあって、いやいや、仕方なく、参加する講習会やプロジェクト。
生コン業界にはこの手の「動員」がとにかく多い。
本人の思いとはかけ離れた、外部からの同調圧力。
従わないと村八分。
事実、僕は最近行かなくなったが、業界の集まり(講習会や講演会)では多くの人たちが眠りこけている。
「付き合いだから」
「会社の方針だから仕方なく」
生コン製造者の職員だけじゃなく、仕入れ先・協力業者ということで無理に呼び出された人たち。
実際、講習・公演そのものは結構面白かったりするのだけれど、だからこそ、そういう枠組みって勿体無いなあと思う。
どんなことでも、本人が自発的に、自分で決めたことでない限り、成果は限定的。
個人を枠組みの中に押し込めようとするから何事もつまらなくなる。
一方、ドライテックの普及はそんな枠組みとは無縁だ。
無論、地域や枠組みが異なっている。
お互い、別の地域、別の所属。
だから、誰かが誰かに一方的に指示をしたりはできない。
そこにあるのは、人間本来が持っている思いやりとか感謝とかそういったものだ。
お仕着せでも、強制でもない、コミュニティ。
そのコミュニティのベースにあるのは「共感」。
同じことを共に感じる人たちの集まり。
ドライテックの製造者が集まるメッセンジャーグループにはおよそ100名に上るそんな人々が集っている。
それぞれの地域でそれぞれの文脈でこれまでになかったコンクリートの製造・出荷に取り組むことで、自分たちの活躍のフィールドを広げている。
産業のパラダイムが変わりはじめていることを強く感じる。
もし、上司に「手伝ってこい」とかいう理由でこの現場に同じ人が行ったとしても、同様の結果にはならないはずだ。
大切なのは主体性。
自分がやりたいと思うその気持ち。
顧客である施工者の役に立って、少しでも透水性コンクリートなど新しいコンクリートの価値に触れてもらって、互いによくなりたいという思い。
縦割り・階層ではこうは行かない。
誰かが誰かに指示や命令を下す。
納得してもしなくても、業務遂行の責務が生じる。
これまでの産業を動かしてきたOSとハードウェアの前提だ。
そしてその産業構造は今行き詰まろうとしている。
出口を見出せない状況になっている。
生コン産業の片隅でドライテックをきっかけに生まれようとしている新しいものづくりのパラダイム。
地域や枠組みを超越する。
シームレスに人々が共同する。
2021年はこのあり方がさらに加速する。
たくましく、地球に蓋しないコンクリートは舗装の標準としての地位を獲得しようとしている。
宮本充也