2021/03/31
【鹿児島】「道路会社が当たり前に生コン屋さんからポーラスコンクリートを調達する」南国生コン・堀之内建設

鹿児島県鹿児島市。急斜地の私道舗装を軽トラ移し替えで施工。傾斜(27°)である事と移し替え場所が離れている事もあり、生コンではなくドライテックの採用となった。
製造:南国生コン、技術指導:木田組生コン 鹿児島工場(前木場さん)、施工:堀之内建設(90m2/10m3、100mm厚、4時間)
傾斜と中継地点からの距離
尻込みするほどの急傾斜だ。
27°だそうだ。
スキージャンプの日の丸飛行隊が滑ってそうな角度だ。
気になって調べてみたところスキージャンプの急傾斜は35°。
確かにこの角度は生コンでは無理だ。
生コンには流動性がある。
打設してもだらだらと降ってきてしまうことだろう。
さらに、生コンは通常アジテータートラック(通称生コン車、ミキサー車)で運ばれる。
それはそのまま存置しておくと固まってしまうからだ。
今回生コン車から軽トラックに乗せ替えて打設する計画だったのだが中継点から打設現場までの距離が長い。
運んでる最中に固まっちゃう。
というわけで、流動性のない生コンクリート「ドライテック」の採用の運びとなった。
移し替え作業中。
ドライテックは生コンというよりも性状はアスファルトに近い。
スランプを測れば0cmなのだが問題なく生コン車のシュートから降りてくる。
施工方法もどちらかというとアスファルトに近い。
アスファルトも敷設し平坦に均しローラーやフィニッシャーで締め固めながら仕上げていく。
ドライテックはコンクリートでありながら施工はアスファルトとほぼほぼ同じ。
だから急傾斜地でも生コンドライテックの施工ができる。
施工After。
この道路舗装がたった4時間で完成してしまった。
アスファルトではなくコンクリート、それもポーラス構造で表面積が大きいためCO2収容力も有している。
耐久性は石油製品アスファルトの比ではない。
恒久的な舗装材として今後道路舗装の分野でもその施工性能が見出されていくはずだ。
道路会社にこそ馴染みやすいポーラスコンクリートの施工性
このところ結構道路に適応されるようになってきたポーラスコンクリート舗装ドライテック。
そもそも、生コン・コンクリートは道路・舗装にはあまり利用されていない。
5:95の95がアスファルトと言われている。
さらに、そのたった5%の中でも生コンの出番は少ないのではないか。
インターロッキングブロックのような出来合いの製品を敷設する舗装もある。
なぜ、このようになったのかといえば、道路会社=アスファルト屋さんだからである。
そもそも、自分のところで餡子を製造しているのにわざわざ他社の餡子を買ってきて饅頭を作る饅頭屋はいない。
自分のところの饅頭屋にある程度資金を投じてしまっているから操業度を上げなければもったいないから。
それと、5:95でほとんど生コン産業側も道路を市場として捉えていない。
さらに悪いことに、建築・土木のどでかい構造物にどかどか生コンを出荷した方が効率がいい。
ちまちまと数量の少なく手間がかかる(舗装コンクリートは品質管理が大変と考えられているし、曲げ型枠もとても重たい)コンクリート舗装は招かれざる客だった。
だが、ここにきてドライテックの全国普及。
現在製造に取り組んでいる生コン製造者の数は600工場を突破した。
今年中には全体3200工場の20%670を突破するだろう。
いよいよ日本の生コン産業の意識が変革され始めている。
エクステリア土間コンに端を発していよいよ生コン産業は道路舗装を市場と認知し始めている。
これは道路会社にとってはこれまでにない現象だ。
道路会社と生コン製造者はこれまでなかなか協同関係となりにくかった。
今後道路会社がその独自性を彼らの市場と顧客に示すにあたって、これまで通り自社のアスファルトだけで舗装をしていただけではなかなか差別化ができなかろう。
時代はSDG's、ESG、カーボンニュートラル。
LCC(ライフサイクルコスト)に秀でていてCO2収容能力(中性化)がありCCUや資源循環テックを実装しやすいコンクリート舗装を武器にする道路会社が今後増えてくるはずだ。
その施工方法がアスファルトのそれと酷似していることもその傾向を後押しすることだろう。
道路会社が当たり前に生コン屋さんからポーラスコンクリートを調達する世界。
今、その予兆を関係者全員びしびしと感じているところだ。
道路が、生コン工場の市場となる。
現在ドライテックは年間10,000m3出荷されている。
ほとんどがエクステリア駐車場といった小規模な舗装だ。
今度はあらゆる舗装、道路、園路、歩道、ありとあらゆる地面が市場となる。
1000倍はあるはずだ。
年間1000万m3。
悪くない市場規模だ。
生コン工場はいつも低迷低迷と考えられてきたが考え方を一新すればまだまだ成長する余地がある。
そして、その予想を現実のものにするのは、僕たち生コンラストワンマイルたち。
きっとここからは僕個人のブログもなかなか歯が立たないだろう。
思いのある生コンラストマイルの群れ。
生コン団体として道路業界団体に申し入れをする時期に差し掛かっているのかもしれない。
宮本充也