2021/04/07
「見積もると土間コンもドライテックも大体一緒。左官屋さんが高齢で辞めちゃってなるべくなるべくドライテックにしたいけど」松見工務店

原価は同じだけど、付加価値ある分高く買ってほしい。こんなジレンマもあるんだと笑ってしまった。毎日開催されているオンラインセミナーでは普通ではお会いすることが難しい素晴らしい施工者の方々と交流することができる。
両方とも見積もって安い方にしたい
カメラの調子が悪くてお顔が拝見できないが、右が松見工務店松見さん。
昨日(2021/04/06)も17:30から開かれていたオンラインセミナー。
埼玉県川口市で操業されている松見工務店(https://www.matsumikoumuten.info/index.php?FrontPage)の松見さんが二回目の受講。
メインはポリプロピレン繊維散布工法(https://www.nr-mix.co.jp/mesh/blog/post_36.html)。
繊維コンクリートの話題はそこそこに、松見さんからの「現場あるある」の話題提供でセミナーは大いに盛り上がる。
(セミナーといっても一方的に僕が喋るのではなく双方向で時に大盛り上がりをすることがある)
(出典:https://www.nr-mix.co.jp/niwakon/subcontractor_list.html)
松見工務店さんはすでに「お庭づくりは0円マッチング」庭コンにご登録いただいており、これまでも何度かドライテックの施工をなさっていらっしゃる。
「両方見積もって安い方で」って言われるけど原価は大体同じになっちゃう
実際の現場でよくあるのが「両方見積もって安い方で」ってやつ。
松見さん曰く、ドライテックは材料が高くても作業人員を合理化することができたり、ワイヤーメッシュや排水設備が不要だったりで、結局原価は土間コンとトントン同じくらいになる。
一方、平らにできたり、周辺環境(植栽)への好影響、排水など提供できる付加価値は土間コンの比ではない。
例え原価が同じだったとしても、その付加価値への評価として土間コンよりも多少は高くお買い上げいただきたいのが心情。
痛いほどよくわかるジレンマを吐露してくださった笑。
さらに悪いことに、左官職人さんが高齢で引退してしまった。
土間コンの場合金鏝仕上げが必ずセットになるので左官工の手配が毎度大変。
一方ドライテックの場合は一般職人さんでも全然施工できちゃう(DIYだって可能なくらい)から、施工の手配も楽。
施工者目線からすればドライテックをお勧めしたいところだが、「安い方にしたい」という施主さんからのご要望に反する。
なかなかのジレンマだ笑。
「ユニットバスの土間にドライテック使えますかね?」
(出典:LIXILリフォームショップ)
最初なんのことだかわからなかった。
突然の松見さんからの質問。
「ユニットバスを据えるための土間をドライテックにできますかね?」
へ?
ユニットバスの土台がなんで水通す必要があるの?
我ながら愚かだった。
ポーラスコンクリートの本当の価値は水を通すことじゃない。
何度も自らに戒めていたというのに、そんな自らがポーラスコンクリートの価値を狭い範囲に制限していたのだった。
松見さん曰く、
「普通の生コンだと流動性があるからすぐに載せるとズブズブ沈んじゃうから1週間くらい養生期間を設けてる。ドライテックだったら転圧すればそれ以上沈まないから、すぐに据えられるんじゃないかって」
この発想、さすがはハイパー施工者(勝手に命名)。
価値を提供する製造者には思いもつかないようなアイディア。
やはり、価値は試験室ではなく現場で生まれるのだ。
このアイディアに関しては別途関係者の意見を確認しながら掘り下げていきたいと思う。
オンラインとはいえ時間を割いてセミナーに参加されるような方達は人数は少なくても素晴らしい人々だ。
数は少なくていい。
日和見の一般大衆は要らない。
いつだって世界の景色を変えてきたのはそんなごく少数の志を胸に秘めている人々だったはずだ。
仕事が楽しい。
製造が楽しい。
そして、施工が楽しい。
そんな人たちがコロナ禍ではますますオンラインで繋がりやすくなっているのだと思う。
オンラインセミナー受講。
みんなが仕事以外に時間を割いている時に、あえてオンラインで仕事に打ち込んでいる人々。
オンラインセミナーではそんな積極的な施工者の方々に巡り会うことができる。
セミナーだけじゃない。
見学会だって、そんな積極的な人たちが、わざわざ時間とお金を割いて参加してくださっている。
(参加そのものは無料。それでも、交通費とかかかってる)
日々、少しずつ、そんなイノベーターたちとのご縁が充実していっている。
そのネットワークはある日閾値を迎えるのだと思う。
製造、そして施工が両輪で有機的に機能し始めたなら、世界の景色は一変してしまうことになるだろう。
宮本充也