2021/05/18
【静岡】「道端で偶然出荷した記憶のないドライテックが舗装されているのを見た実感について」

散歩していたら偶然ドライテックの駐車場を見つけた。こんなこと、人生で初めてだった。16年前はじめたばかりの頃、どこにドライテックが採用されたかは全て把握していた。時を経て今や毎日全国のどこかで土間コンほど当たり前とは言えないながらも施工されるようになった。街中で偶然見かけるドライテック。「道端で偶然出荷した記憶のないドライテックが舗装されているのを見た実感について」
偶然見かけたドライテック
散歩の途中、「あれ?もしかしたら・・」と目を引く戸建て住宅の駐車場舗装。
近づいて(不法侵入?)しげしげと眺めてみると、それはほぼ間違いなくドライテック。
伊豆の国市内ということもあるが、ポーラスコンクリートをこの規模で納められるプロダクトはほぼほぼ「生コン屋さんの透水性コンクリート」ドライテックだとわかる。
僕自身16年この活動に携わっているが、偶然散歩していてドライテックを見かけたのは初めての経験だ。
16年前当初はそれこそ透水性コンクリートの納品といえば会社を挙げての大イベントだった。
あちこち駆けずり回って営業して、もの好きの施工者をなんとか口説き倒して採用してもらう。
施工当日といえばもちろん僕も現場にお伺いしてあれこれ気を回したし会社総出で大騒ぎだった。
それこそ当時は「どこにどんなドライテックが施工されたか」なんてほとんど全て記憶していた。
採用を検討してもらえる先があれば熱心に足を運び実際に現地を見てみたいということであれば頭の中にある施工実績現場にお連れしてあれこれ説明していた。
それだけ、僕たちにとって透水性コンクリート「ドライテック」は特別な存在だったのだ。
16年の時間が経過した。
たとえば、当社が運営する工場長岡さくら工場では多い月では100m3(立方メートル)ものドライテックを出荷することもある。
たとえば、住宅基礎に用いられる生コンクリート。
毎日数十、多い時には、数百m3もの生コンクリートを製造して現場にお届けしている。
それらいちいちがどんなお宅の基礎に届けられているかなど知る由もない。
きっと静岡県伊豆の国市に建っている住宅であれば長岡さくら工場で製造されたコンクリートである確率は高い、程度のことまでしかわからない。
街中の建物の基礎コンクリートが仮に長岡さくら工場のものだったとして、それが何年何月何日に製造され出荷したかなんて記録を振り返ってみない限り知る由もない。
道端でばったり出くわした製造して出荷した記憶のないドライテックを見ていて、なんとも感慨深くしばらく立ち尽くしてしまった。
「人生で初めての《普及している》を実感した瞬間だった」
本当に普及している、ということは、それらいちいちが気にも止められない。
逆に気に留められるようでは普及していない、まだまだ、特別だということ。
なんの気無しに蛇口を捻って飲まれている水のように。
帰宅後無意識にスイッチをつけて灯す電気のように。
意識野にすらのぼらないほどに当たり前の存在になる。
そんな汎用品としての道をドライテックは逞しく歩み始めたことを実感したのだった。
これからさらにきっとそんな「どこにどのような用途で用いられるかわからない」ドライテックは製造され出荷されることだろう。
それは、静岡県伊豆地方の長岡さくら工場のように全国各地のどこにでもある当たり前の生コン屋さんから当たり前に出荷されることになるはずだ。
そして、僕は10年後そんなどこかを今と同じように行脚して回っている。
ある日、ドライテック(と思しき)舗装を街角で見かけるのだ。
その時にはきっとそんなことはよくあることになっているだろう。
舗装といえば、自然な候補として透水性コンクリートがさも当たり前のように採用されているようになっているはずだ。
道端で土間コンを見かけても、そのことでなんの感慨も興さないように、目の端にドライテック(と思しきポーラスコンクリート)が入る程度になってしまうことだろう。
そのことで感動したりはしない。
もはや、当たり前の光景だからだ。
普及とは、きっとそういうことなんだと思う。
電気、水道、生コン。
作る方も、使う方も、もう、なんのストレスもなく、ただただ採用し消費する。
確かに、採用する、というプロセスは経ているのかもしれないが、あまりにも当たり前すぎて、いちいち意識することなく、蛇口を捻る、電気を灯す、そして生コン(ドライテック)を自宅の舗装に採用する。
そんな時代がやってくる。
今、「自宅の駐車場といえば土間コン」とほぼほぼ自動的に択一で採用されているように。
地球に蓋しないドライテックが舗装の標準になる。
散歩していて偶然見かけたドライテックにしばらく立ち尽くしていた時に考えていたことは概ねこんなところだ。
いよいよ、普及がめざましい。
ここからはきっと採用され納品される感動も薄まっていくことだろう。
普段生コンを製造し、出荷しているように。
ドライテックだからといって、16年前のような胸の高鳴りは求むべくもない。
でも、そのことが、本当に普及しているということ。
普及、つまり、地球に蓋しない、環境に貢献している、ということの証左なのだと思う。
これからも、感動を忘れずに。
地面の当たり前が変われば、環境が大きく変化することを知っている僕たちは、引き続き毎日自分たちができる貢献に集中していきたい。
具体的に世界の景色を変えていくことができるのは、「水の次に流通する材料」生コンをラストワンマイルで製造し現場に届けている僕たち生コン工場だ。
なんだか、感慨深い。
宮本充也