2021/05/21
【東京】「面倒くさい」「私は脱プラスチック」都屋建材・國吉組

東京都西東京市。図面には密粒度アスファルト混合物に集水桝・U字溝(排水設備)の設置となっていたが「そんな面倒くさい事をするなら」と以前ドライテックの施工経験があった透水性コンクリートに変更を提案。工期の短縮、解消、犬走など狭小部の排水設備設置不要など
製造:都屋建材(担当:都築晋也)、元請:カワコー、施工:國吉組(担当:國吉直樹、40m2、100mm厚、3名、2時間、タイムラプスあり)
面倒くさいから
施工Before。
図面(設計指定)ではもともと密粒度アスファルト混合物による舗装となっていた。
附帯工に集水枡・U字溝が指定されており、特に犬走り部など狭小部については施工が難航することが予想されていた。
そのため、工期も相応にかかる。
水勾配も気にせねばならない。
「そんな面倒くさい事をするなら」
以前ドライテックの施工経験のあった國吉より現場にて設計変更を提案した。
工期、水勾配の解消、予算、いずれも合理化が見込めたため承諾されドライテックの施工となった。
設計変更の上ドライテックという事例が増えている。
これも、「知ってるだけ」で景色が変わる好例だ。
施工そのものはアスファルトのそれと似ている。
敷設志平らに均した材料をプレートで追いかけ転圧。
材料をふるって細かい粒をより分けたものを端部に施工することで見栄えにも留意する。
(端部に細かい粒が集まることによって見栄えももちろん、骨材の剥離防止も期待できる)
写真でもわかる通り、犬ばしりなど狭小部で仮に排水設備を設置するとなると相当「面倒くさい」。
図面で指定するのはいとも簡単だが実際に施工する人からしたらたまったもんじゃない。
施工After。
40m2の建築外構舗装は3名でたった2時間で完成。
排水設備が設置されていないことからも工期短縮、コスト圧縮が実現した。
「面倒くさい」は横着とも言えるが、仕事(作業)そのものを横着するのではなく、発想を横着するということはそのまま合理化につながる好例と言える。
プロの施工者であれば図面など設計に対してそれをそのまま受け入れるのではなく「面倒くさい」という感覚を大切に提案することもときに求められ喜ばれる。
アスファルトからコンクリートへ
施工を担当した國吉によれば「アスファルトだとすぐにポロポロ骨材が取れてくる」ということだった。
ここでは常に説明しているように、アスファルトはプラスチック(石油)製品。
紫外線劣化や荷重によるたわみ、変形が不可避。
特に、排水機能が期待されるポーラスアスファルト舗装の場合は手引き(人力施工)は推奨されておらず、施工の難易度も高まる。
変形による空隙潰れで排水機能が失われる。
「面倒くさい」という採用理由ではあったものの、実用上のメリットもコンクリートにはある。
コンクリートは岩を再生産したもの。
(再生骨材などの利用も可能)
物性は陶磁器やガラスの仲間。
外に置いておいたとしても(紫外線に晒される)変性しない。
変形(たわみ)もない。
あるとしたら「割れる」ため、それなりの厚みを確保する。
駐車場舗装であれば100mmを確保すれば十分だ。
さらに、世間のトレンドとして、「プラスチックフリー」「脱プラスチック」がある。
「私はエコバッグ」
「ビニル袋はダサい」
「ペットボトルなんかもってのほか」
そんな事をおっしゃるのであれば、「駐車場も脱プラスチック(コンクリート)にしましょうね」と言いたくなる。
ビニル袋やペットボトルを云々するくらいなら余程規模としては大きい。
もう、アスファルトで駐車場を作ることはダサいのだ。
その自覚を持ちましょう笑。
コンクリート(透水性)であれば、一度施工すればもうそれは恒久的に利用できる。
アスファルトのように10年すれば補修が必要になる(凸凹になる)なんてことはない。
これも、ロハス。
意識高い系な僕は脱プラスチック、つまり脱アスファルトを提唱したい。
そして、あまり知られていないことかもしれないが、「コンクリートは大気中のCO2を回収する」性能が注目され始めている。
中性化と言ってもともと水和物コンクリートCa(OH)2はCO2と反応することによってCaCO3(炭酸カルシウム)に戻る。
CaCO3を焼成する(CO2を大気中に放散させる)ことでできるのがセメントだ。
つまり、舗装や構造物を作るために削られた石灰から発生したCO2を回収しているということになる。
「私は脱プラスチック」
このところスタバをはじめプラスチック製品を避ける傾向が一層強まっている。
それなら、アスファルトもやめようぜ。
「面倒くさいから」という理由よりも「脱プラスチック」という方がかっこいいし笑。
いろんな理由から、透水性コンクリートドライテックの普及は進んでいる。
そんな材料はどこか遠くの特別な話じゃなく、どこにでもある生コン屋さんで普通に製造され現場に届いているのだ。
宮本充也