2021/08/07
【茨城】「飛び石風とってもおしゃれなドライテック」大里ブロック工業

ドライテックは「水がたまらない」「草が生えない」「平らにできる」「コケ・カビ・汚れがつきにくい」などとかく性能・機能に注目が集まりがちだが、実は「おしゃれ」「かっこいい」このところ観念的な性能(意匠性)にも関心が集まっているようだ。
製造:大里ブロック工業(担当:木村真人)、施工:不明
ドライテック=おしゃれ
玄関前アプローチ(通路)の舗装材にドライテック採用。
ご覧の通り、水切りスリットと言って排水のための隙間が設置されているので、水はけ問題上はドライテックでなくとも問題ない。
土間コンだっていいわけだ。
なんなら、インターロッキングだって、石材(飛石)みたいなものだって、レンガでも、どんな舗装材だって選べる。
アプローチといえば、家の印象を規定するほど重要な空間。
その最も視界占有率の高い平面、舗装。
地面。
そこに、ドライテックが選ばれた。
排水(透水性)が目的ではない。
見た目。
かっこいい。
クール。
最初この写真が大里ブロック工業の木村さんからシェアされた時、胸がスッとするような感覚に襲われた。
ドライテックはおしゃれなのだ。
「見た目ゴツゴツしててなんか嫌」
営業駆け出しの頃に女性設計士に浴びせられたこの言葉を僕は今も糧にしている。
ダサい。
ちょっと無理。
生理的に無理。
つまり、そういうことなわけだ。
振られたのだ。
挫折。
その後も新しい存在、透水性コンクリートに対しては異口同音の評価が浴びせられた。
つまり、人は容易に新しいもの、何者かわからないもの、モノリスに対してすぐには心を開かないってことだ。
めげず続けた。
工業製品生コンに長年携わった僕たちだから当然のように測定可能な性能についてを前面に打ち出した。
⚫︎耐久性(コンクリートならでは)
⚫︎強度
⚫︎透水性(つまり、平らにできる、スリットがいらない、草が生えない、コケ・カビ・汚れが付着しにくい)
具体的に、手にとるようにわかる、性能・効果。
センサーが捉えることができて測定可能な実態のある物事。
毎日ブログ3本の習慣の中でひたすら訴え続けた。
するといつしか世間の方が変化した。
「見た目が好きだから」
「あなたのことがトゥキだから」
「ノーリーズンコカコーラ」
そんな感じで、ドライテックが選ばれるようになった。
よく、デザイン思考とか、デザインの時代とか、ともすると経営は効率など目に見える合理的なことを優先する中で、現代はデザイン(アート、美)の可能性が論じられている。
僕も芸術は好きだ。
絵画や音楽のように、理由はつけられないけど、触れる者を圧倒する何か。
経営にもきっとそれが大切なように僕は最近強く思っている。
プロダクト(ドライテック)も要は経営のアウトプットの1でしかない。
One sees clearly only with the heart.
Anything essential is invisible to the eyes.
"心で見なければものごとはよく見えないってこと。大切なことは目に見えないんだよ。"
(サン=テグジュペリ)
経営はつまりアート。
人生を賭して没頭するもの。
「ある問題に取り組んでいるときには、私は美のことを一切考えません。しかし作業が終わり、解決策が美しくないと、私はそれが間違っていることがわかるのです。」ーーリチャード・バックミンスター・フラー)
目に見える、手にとることのできる理屈じゃない。
一心不乱に没頭し続けていたらある時向こう側から突然入り込んでくるような何か。
それが、美なのだと思う。
でも、何かに取り組んでいる時には、手で触れることのできないこと。
だから、理屈とか経験に頼って、世界から得られる感覚を頼りに、毎日せっせと仕事(作業、活動)する。
結果、「飛石風とってもおしゃれなドライテック」が立ち現れる。
「見た目ゴツゴツしててなんか嫌」から、「おしゃれ」「見た目が好きだから」への変化。
ドライテックそのものは何も変わっていない。
自分たち、そして世間が変わっただけだ。
これがビジネスやアートの醍醐味なのかもしれない。
宮本充也