2016/05/13
「できない理由」新しいこと

朝3時半に起きて渋谷まで開発した人を迎え(拉致)しに行き、
できるだけ多くの訪問先にアポを入れ、
「透水性コンクリート買ってください」
と伝え続けていた。
1日に20件(ほとんど門前払のため件数だけは捗る)訪問して周り、
夜遅く帰ってはDMやらmailやらまきちらし、
かなり背伸びした(裏付けに乏しい)営業活動を強行し、
たまに珍しく「購入を決定」して頂くたびに、
「きちんとしたものをおさめられない」
ために、お客様の信頼を失い叱責を受ける。
これが、僕にとっての新規事業の始まり。
忘れもしない、新規事業2年目くらいの夏
都心の大規模案件で透水性コンクリートの設計が入っており、
そこに、経験も実績もない僕は「やります」とぶっこんだ。
多くの要求性能が示されたが、
内心できるかどうかわからなかったけど、
できないとも言えなかったので、
「やります」
「任せてください」
の一点張りで、受注した1000平米。
建設関連のメディアにこの快挙を告知しまくり、
できるだけ目に触れる形で施工をしようと企んだが、
これはまさに、さらしものになる舞台を自ら整えたようなものだった。
・施工時期は真夏
・都心の現場なのに東京の生コン工場協力してくれません
・実績も経験もない工場に無理やりお願い
・施工を経験したことのない工事店さん
・頼りにならない開発者
よくもまあこれだけ危ういパズルを無理やりはめたかと、
今から考えれば文字通りぞっとする。
ただ、「何か新しいもの」というのは、通ったことのない道。
角を曲がると、そこになにがあって、
そこのなにがしのところでは、どのような景色が広がっていて、
最終的にはなにがある。
が、わからないのだ。
そして、見事に大失敗。
都心のおしゃれな大規模案件に、
まだ20代半ばの青年の背伸びは、
まったく届かなかった。
「全部やり直せ」
怒号が飛ぶ。
「仮にやり直したとして、うまくいく保証もない」
うなだれて、自分の運命がどうなるのかわからず、
ひたすら不安だったが、
とにかく腹を決めるしかない。
「やります」
と腹をくくったら、結局そうした事態にはならず、
結局部分的な補修工事をその後2年に渡って継続することで、
幕を引いた。
結果、受注金額の2倍から3倍の赤字が残った。
最初からできる保証があるのなら、
そんな意味のないことはない。
自分を守りたければ、
「できない理由」
を並べ立て、
自分が小さいことがばれないようにしがみついていればいい。
必要だとか、自分がやりたいと思ったら、
つべこべ言わずに、やればいい。
やるときめて、そのために必要なことを脇目もふらず続けてればいい。
心の底から感動できる仕事を通じて、
多く出会ってきた、尊敬できる素晴らしい方々を見ていると、
どこかで立ち止まって、
口ばかり動かそうとする自分が恥ずかしくなります。
宮本充也