2016/06/10
新規事業で知った実像「法人営業と生コン組合」

営業とくに法人営業ってあまり憧れられないのかもしれない。
経験のない方の法人営業に対するイメージは、
「めっちゃ頭下げてちょうだいちょうだいする」
的なものかもしれない。
僕の周りの営業職ではない友人にそんなふうにさげすまれたこともある。
実は、生コン業には、
「営業という概念がない」
これは、就職してからいくつか驚いたことの大きな一つ。
普通自分の商品を購入していただきたいのならば、
お客様のもとに足を運んで、きちんと価値を説明しなければならないはずなのに、
生コン産業ではむしろ営業は「してはならないもの」の一つとなっている。
こうゆう習慣が根付いている背景には間違いなく協同組合の存在がある。
「客のところに顔出すと値段が下がるからいくな」
これは、まじに、駆け出しのころに生コン組合で言われた言葉である。
曰く、昔の組合は、
・各工場の営業担当者が組合に集められて「営業できないように」囲われていた
・組合から「おこづかい」を渡されて、麻雀やらパチンコに耽っていた
・スーツを支給されたり宴会が定期的に行われ一体感を醸成されていた
のだそうだ。
これ、一般的でしょうか?
「これが、生コン組合・生コン業界を守るための手段だ!」
と、自信満々におっしゃっていた方が普通にいた。
生コン業界あるあるだが、目が輝いている若者が生コン業に入職し、
最初は目標や夢をもって一所懸命働いているのだけれど、
いつのまにか組合や生コン業の商習慣にほだされて、
「死んだ魚の目になっている」
11年前に新規事業を始めて最初に「いいなぁ」と思ったことは、
生コンに従事する職員の目に輝きが生まれたこと。
生コン業には大きく分けて、4つのセクションがあり、
・組合窓口(渉外担当)
・製造または配車
・内勤(総務)
・試験室(技術係)
JIS A 5308で規定される生コン業では、生コンという製品を安定的に供給することが記載されていて、
まあ、ありていに言えば、
「どこにやりがいもてばいいんすか?」
という側面が否定できない。
そんな中で、始めた透水性コンクリート事業は、JIS的に言えば完全に異邦人であり、
「なにがおきるか一つとしてわからない」
事業であるため、上記4つのセクションはまるで未知の土地を冒険するかのような感覚となる。
特に若い人は、毎日毎日同じような地味で淡々とした作業の繰り返しの中で、
潜在的に刺激を求めていたようで、とても面白そうに取り組んでくれた。
生コンしか知らない僕は透水性コンクリートのおかげで「営業」を始めることになった。
「めっちゃ頭下げてちょうだいちょうだいする」
というイメージを持っていた当時の僕は、そのイメージの通りに営業することになったわけだが、
生コン組合の殻の中で「世の中を知った気になっていた」僕にとっては、
その営業という経験はとてもスリリングで多くの素晴らしいご縁に恵まれる機会となった。
いただいた名刺はあっという間に10,000枚を超え、
色々な「いい縁も悪い縁も」営業することによって、当社長岡生コンクリートにもたらされることになった。
今のぼくにとっての営業の定義は、
「めっちゃ頭下げてちょうだいちょうだいする」
のではなくて、
「建設業特に生コンに関する社会・個人のニーズを知覚して自社にフィードバックし、自分たちができることを創造して供給する仕事」
という風になっている。
毎日危険がたくさんあるし、実像を知ることはとても恐怖が絶えないが、
生コン組合というタイタニックの甲板上でまじめにこつこつ頑張ってます
よりは、よっぽど有意義だと思っている。
今はIT戦略というフェーズで多くの素晴らしいご縁に組織として触れる機会を得ているが、
社会の動きを機敏にとらえて、自社は小型ボートのように波に対して変化をし、
GNN元気な生コンネットワークという小型ボートの仲間たちと連携し合って、
高いレジリエンスを備えた強い存在になっていきたいと思っている。
宮本充也