2018/08/11
「知られざるドライテックの製造風景|透水性コンクリート」

少しずつ市民権を得ていた次世代の土間コンこと「ドライテック」は生コン車で生コン工場から運ばれてくる。ところで、その製造の舞台裏ってあまり知られていない。どんなふうにして製造されているのだろう?
知られざるドライテックの製造風景
※長岡生コン(生コンポータル運営)の幸野さんがつくる透水性コンクリート。工場では積み込みの際に特殊バインダー(F材)と混和剤を投入し品質を確認してから出荷する
※だれ率試験といって容器に入れた透水性コンクリートのペーストのだれる状況を確認。このくらいのペーストの付着が目安
※数回に分けてバインダーと遅延剤を投入する。これら一連の作業の末に安心の品質が現場に届く。
骨材は2005や1505といっておよその生コン工場で採用されている規格の製品を標準としている。
7号砕石のように特殊な骨材を用いないため、
びんの入れ替え
といっておよその生コン工場から、
「え?まじすか?」
という反応が示されるようことをお願いしなくてもいい。
これがまず第一に汎用性の高い理由。
日本全国どこの生コン工場でもおよそ採用している規格の骨材を標準としている。
さらに、
完全無機結合材や通常の混和剤
を品質向上のための混和剤(材)として標準仕様にしている。
これが、でかい。
曲げ(付着)強度を向上させるために1滴でも樹脂を入れるとバッチングミキサーはエライ目にあう。
べたべたにミキサーの中が汚染されるため通常の生コン製造に悪影響を及ぼす。
そのため、
「透水性コンクリートお断り」
という張り紙が工場の玄関にはられるようになってしまうのだ。
完全無機(有機物ではない)混和材の採用
これは2005や1505という規格骨材を用いるのと比肩するほどの重要なポイント。
あとは、セメント。
生コン工場である限り、
「あ、うち、セメントないんすよ」
とは言わせない。
必ずサイロの中に貯蔵されているはずだ。
そう、このように透水性コンクリート「ドライテック」はF材を除けば、
いかなる生コン工場でも手に入る材料だけえで製造している
特にGNN元気な生コンネットワーク関係工場各位のご協力により、
全国いかなる地域でもこのコンクリートが利用できるようになった。
どんな小さな規模でも、
まるで生コンのように自然に。
これはちょっとした革命と言える。
※この地図にはドライテック製造実績のある工場やGNN加盟工場がプロットされている。もし最寄りに工場がなかったとしても、ネットワークは必ずお届けする工場を探し出す
今だから言える。
誤解のないようにお読みいただきたい。
透水性コンクリートの普及に関して言えば、
お客様(お施主さん)より大切なのは、業者さん。
業者さんより大切なのは、生コン屋さん。
過去に、お施主さんに喜んでもらえそうな「高性能」を企図していた時代。
「よりよいものをお施主さんにお届けする」
ということばかりを考えていて、
業者さんのことをそれほど考えていなかった時代。
結果業者さんから「めんどくせえ」と嫌われ採用がされないことが多かった。
生コン工場も同様。
より高強度、より意匠性の高い。
そんなことを求めて複雑な工程や特殊製品の利用をお願いしたことにより、
「あー、透水性コンクリートめんどくせえ」
となり「練ってくれない」という目に何度もあった。
これも、舞台裏の話。
冒頭にも書いたように非常にシンプル。
言葉は悪いけどひねりがない。
なんか、え?そんな?くらい単純。
だから、売れるようになった。
お施主さんに喜んでもらうためには、
生コン屋さんに喜んでもらう必要がある。
つまり、楽して儲かってもらわなければならない。
さらには、業者さんにも、楽して儲かってもらわなければならない。
生コンでいいことをお届けしなければならない。
そのことが結果としてお施主さんの「いいこと」につながる。
透水性コンクリート普及秘話。
生コンでいいこと。
宮本充也