2018/08/19
「透水性コンクリートたらしめる秘密」
「透水性コンクリート」一口に語っているコンクリートの種類だけど、透水性コンクリートを透水性コンクリートたらしめている理由ってなに?秘密は強度の種類にあった!
コンクリートの「強度」とは?
コンクリートの強度"という言葉のもつ内容は複雑で、圧縮、引張、曲げ、せん断、支圧などの強度、鉄筋との付着強度、複合応力に対する強度、持続荷重下のクリープ破壊および繰返し荷重下の疲労強度などが含まれる。
※https://www.jci-net.or.jp/j/public/kiso/StrengthProperty.html より引用
一般にはコンクリートは「固い」で済まされるだろう。
コンクリートの壁にまじのパンチを繰り出せる漢はいない。
それは、「コンクリートは固い」という理解があるからだ。
(※以前僕の友人は発泡スチロールに似せたコンクリートを本気で殴り悶絶していた)
冒頭にも紹介したようにコンクリート強度にはいくつかの種類がある。
圧縮、曲げ、引張
といったところがよく「強度」として紹介される。
中でも主に「圧縮強度」という特性がコンクリートを「固い」たらしめる性能として知られていて、
セメントコンクリートの特徴は「圧縮強度」が秀でている。
だから、コンクリートは柱や耐圧盤(床)のような構造に利用され、
かかる荷重に対して十分な効果を発揮する。
もちろん、土間コン(駐車場)としてもその圧縮強度が十分に得られることがわかっているから、
乗り入れ車両の荷重(圧縮荷重)に対しても耐えられる。
駐車場の土間といえばコンクリート
という風になっている。
透水性コンクリート に求められる「強度」は違う?
※透水性コンクリートの構造のたとえとしてよく使われる「雷おこし」 粒と粒が点で接着する連続構造となっている。
※実際の透水性コンクリートの様子。同じく骨材(粒)と骨材(粒)が点で接着する連続構造となっている。
上の二枚の写真から想像すればわかりやすい。
粒が点接着する連続構造の上に車が乗ったばあい必要な強度は?
この問いに答えることが早道となる。
引張強度(tensile strength)
コンクリートの引張強度は、割裂試験で間接的に求めるのが標準である(JIS A 1113)。これは、円柱供試体を横に寝かせて上下より圧縮荷重を加え供試体の中心軸を含む一様な引張応力が鉛直面に生ずることを利用した方法である。引張強度は圧縮強度のほぼ1/10~1/13であるが、高強度になるとその比は小さくなる。
※https://www.jci-net.or.jp/j/public/kiso/StrengthProperty.html より引用
車がその構造体に乗った場合まず最初に応力がかかるのは点接着部分。
この強度特性は「引張強度」と呼ばれる。
骨材と骨材をつなぐ結合部分を引き裂こうとする応力。
それに対抗する強度。
それが、引張強度。
記述内にもある通り圧縮強度に比べてこの引張強度は、
たった10分の1〜13分の1
これでは通常のセメントで構成される生コンとしての透水性コンクリートでは歯が立たない。
簡単に骨材と骨材の間は引き裂かれ、
ひび割れだらけの土間コンになってしまう。
引張強度はぬりかべメーカーのお家芸
「どうして生コン屋さんと壁材メーカーが組んでるの??」
普通の疑問だと思う。
たしかに、壁材料(左官)と生コン。
一見無関係のように見える両者。
でも、透水性コンクリートに関してだけは共通項があった。
求められる特性が「引張強度」
これ以上の専門的な記述は控えるが、
壁の世界で求められる特性は圧縮ではなく引張であることは知られている。
壁に設置した何かが簡単に引き裂かれて落下したら危ない。
そんなイメージで間違い無いだろう。
つまり、ぬりかべ屋さんは引張強度のことばかり普段から考えている。
だから、透水性コンクリートに関して求められる強度特性は、
ぬりかべメーカーのお家芸。
フッコーが開発したF材(透水性コンクリート用結合材)がつまり「引張強度」を増進させるためのエッセンスとなっている。
これが、透水性コンクリートたらしめる秘密。
普段当たり前のように、
透水性コンクリートは次世代の土間コンです
なんて標榜しているが、
その裏側の技術について今日は解説をしてみた。
ブログ記事では出来るだけ平易なことばで分かりやすくを心がけているが、
当たり前を当たり前たらしめるためにはそれなりの技術が裏打ちしている。
だからこその、生コンでいいこと。
多くの技術(つまり人)に支えられた透水性コンクリートは土間コンの常識になりつつあります。
生コンでいいこと。
宮本充也






