2018/09/27
「どうして透水するの?|透水性コンクリート」

意外と説明していなかった「透水性コンクリートの透水性コンクリートたらしめる理由」。「どうして透水するの?」。ここでは透水性コンクリートが水を透す理由について解説
https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/
どうして透水するの?
普通のコンクリートは透水しないのに、
透水性コンクリートは水を透す。
※画面上部が透水性コンクリート。
透水性コンクリートは水を透す。
そのことで得られる価値は、
・水勾配(傾斜)をつける必要がない
ことで、排水設備の軽減やフラットな舗装(バスケットコートや車いじり)を実現できる。
また、水を透すコンクリート構造は表面積がその分増えて、
気化熱の原理で通常の舗装に比べて舗装面の温度が軽減できる。
(環境温度の低下と地球温暖化対策ほか)
さらに、寒冷地においては雪解けが早く路面凍結の心配もない。
傾斜がないことと相まって特にお年寄りにとっては安心安全な歩行が約束される。
そのために必要な機能としての、
「透水性能」
通常のコンクリート構造と比べてどの点が違うのかを解説する。
通常のコンクリート構造。
通常コンクリートは、
・砂利(粗骨材)
・砂(細骨材)
・セメント(結合材)
・水
の4つの原料が使用されており、
その容積の大半を締めるのは、
砂利と砂
その理由はセメントが最も高い原料であるためできるだけ安価な砂利と砂を増量することで安価にコンクリートを作りたいから。
となる。
そのため通常砂利と砂は粒度分布といってできるだけセメントを用いないために隙間なくみっちりと配合されるように計画されることになる。
(粒度分布や粗粒率、実績率などという専門用語がある)
そして、隙間をセメントペースト(水とセメント)が満たすことによって、
蟻も水も透さないみつ実なコンクリートが出来上がる。
だから、水を透さない。
理屈はお分かり頂けるはずだ。
※どう考えても水は透さない
一方の、透水性コンクリート。
4つの原料のうちの「砂(細骨材)」をあえて配合しない。
つまり、粒度の分布をいびつにする(砂利だけにする)ことによって、
あえて隙間(連続空隙)を多く作る。
通常であればこの隙間が多くなることによって必要となるセメントペースとの量が多くなってしまうため、不経済なコンクリートになってしまう。
ただ、透水性コンクリートの場合、
セメントペーストで満たさないという措置がとられる。
つまり、水を極端に少なくすることによって空隙は満たされることなく、ペーストは砂利の周りにだけ付着するようになる。
そのため、本来ペーストや砂で満たされていたはずの空隙がそのまま空隙として残る。
※砂利とごく少量のセメントペースとで構成されるため写真のように隙間だらけの構造となる。
その連続空隙が透水の理由、けれど・・・。
これが大雑把にいって透水する理由となる。
実に簡単。
大したことのない技術じゃん。
ということになるのだが、ここで少し専門的なことを説明したい。
セメント(コンクリート)は相対的に圧縮に強く引っ張りに弱いという性質を持っている。
透水性コンクリートは解説の通り、
砂利(粗骨材)と少量のセメントペースとだけの構造。
そのため、荷重がかかると、
小石と小石を引き離そうとする力(引張力)がセメントペーストに作用する。
これはセメント(コンクリート)の苦手な力の作用となる。
簡単に小石と小石が離れてしまっては(割れてしまっては)、
駐車場のような荷重のかかる場所に透水性コンクリートは使えないことになる。
そこで「特殊バインダー(結合材)」の登場となる。
セメントが苦手だった引張強度を補うための材料を透水性コンクリートの場合は配合してある。
だから、駐車場や道路などの過酷な環境下でも通常のコンクリートのように使用することが可能となっている。
※テレビ取材をうける透水性コンクリートの駐車場
なんで透水性コンクリートは水を透すか?
そこには隠された技術力があった。
水を透すことは今はまだ常識とはなっていない。
ただ、この新しい常識を作ることには大きな社会的意義があると思って普及活動に当たっている。
いずれ数年以内には駐車場の土間コンといえば透水性コンクリート。
そんな常識を作ることで仕事としても社会環境としても多くの笑顔が生み出される。
今日はそんな意外で基本的な透水性コンクリートの話。
広がる、生コンでいいこと。
宮本充也