2018/10/16
「アスファルトで行く前に【透水性コンクリート】検討する理由って何?」

施設(今回はスタジオ)の駐車場の定番とも言えるアスファルト舗装はもはや考えるまでもなく図面に載っている。住宅駐車場といえば土間コンとほぼ同義語だ。でも、待って。自宅じゃない場合、なかなか人の手がかけられない(管理ができない)。そんな時に透水性コンクリートを検討する理由ってなに?
施設(スタジオ)駐車場、施工:ミッション(坂巻社長)、製造:三和建業
透水性コンクリートを施工する理由ってなに?
※Before 施工前の写真1
※Before 施工前の写真2。舗装をしておかないと、写真のように草が繁茂し衛生面や安全面、つまり管理上問題がある。そのため、なんらかの舗装が必要となる。
※透水性コンクリートの施工開始。今回はミッションの坂巻社長のご厚意で近隣のみなさんを招いた見学会として場を提供していただく。
※写真はプレートで仕上げをしているところ。施工そのものはアスファルトと似ている。
※完成。途中雨が降り始めたものの、多少の雨であればブルーシートのようなもので養生すれば問題はない。
アスファルトとの最大の違いってなに?
坂巻社長によれば今回の駐車場整備工事。
透水性コンクリートの見積もりの方が少し高かったそうだ。
それなのに、どうしてお施主さんは透水性コンクリートを採用したのか。
もっとも大きな理由は、
管理上の理由。
だったそうだ。
管理上の理由。
つまり、これから10年20年30年と続く施設管理のこと。
アスファルト。
言わずと知れた舗装の王様。
我が国では道路舗装の95%がアスファルトと言われる。
日本中に供給網があり、
近年ストレートアスファルトが高騰しているとはいえ、
お値段もそこそこ。
そして、冷めれば固まる。
という早期開放が売り。
だから、緊急工事などすぐに車を通さなければならないような時にも向いている。
アスファルト舗装は非常に便利で合理的な舗装。
だから、人口に膾炙した。
ただ、一点。
長期での利用を考えた場合弱点がある。
耐久性という弱点だ。
アスファルトは石油製品。
ポリバケツとか輪ゴムとか樹脂の仲間だと思ってもらいたい。
ぐにゃぐにゃ曲がるし、
長いこと外に放置しておいたりするとぱりぱりになってしまう。
そう、耐久性が低い。
年度末、年中行事のように舗装し直しているアスファルト工事。
「また?」
と渋滞にイライラを募らせたことはないだろうか?
轍(わだち)なんかがもっとも有名な現象だが、
アスファルトは舗装としては長期耐久性を有していない。
だから、共用期間はコンクリートに比べて限定的となる。
つまり、数年・10数年で舗装にはさまざまな問題が発生する。
透水性コンクリートを選ぶ理由
何度かここでも主張してきた通り。
コンクリートは石やガラスの仲間。
石油製品に比べたら耐久性は月とスッポン。
輪ゴムは炎天下に数日放置してたらパラパラになるかもしれないけど、
「西日で窓ガラスが3年で溶けちゃいました」
なんてことないでしょ?
それが、透水性コンクリートの高い耐久性の証拠。
メンテナンスフリー。
だから、工事費用は少し高くても、先々のことを考えれば。
つまり、LCC(Life Cycle Cost)では有利。
将来を見通せば、透水性コンクリートも十分採用を検討すべきものであることがわかる。
土間コン、そして中規模駐車場へ。
一旦出来上がった慣習。
アスファルトという慣習。
これを変えるのは結構骨が折れることだ。
誰も、変化はすべきとは思っていても、なかなか難しい。
新しい何かをするときには関係者それぞれの理解が必要だからだ。
一手間新しいことをする時にはリスクもあるし、
面倒なあれこれもある。
でも、ミッションの坂巻さんのように、「新しいこと」に果敢に挑戦する方がいる。
その想いをきちんと受け止めてくれる人たちもいる。
そんな人たちのおかげで、少しずつ。
舗装の常識が変化しようとしている。
理由があっても、その通りになることはなかなか難しい。
けれど、勇気と情熱を持って変化を生み出す一部の人たちとともに。
透水性コンクリートは徐々に常識になりつつある。
広がっている。
生コンでいいこと。
宮本充也