2019/05/18
「普通の生コンよりもひっつくの?」透水性コンクリートのデメリットといえばデメリット【付着強度】

次代のあたりまえの土間コンクリートになろうとしている透水性コンクリート。ぶっちゃけこの製造をあからさまに嫌がる向きもある。それは、製品性質状ある意味仕方のないこと「付着強度」。超越するためのノウハウが現場にはあった。
ドラムにひっついて洗車が大変。
こちらは透水性コンクリートの断面(intermediaryのHPから引用)。
見ての通り。
誰もが想像する生コンとは趣が異なる。
ペーストで覆われていない。
小石(骨材)と小石が点で付着した連続構造。
ペーストが本来ある空間(空隙)を水や空気が通過していく。
これが、透水性コンクリート。
現在日本国内200に及ぶ供給インフラ(生コン工場のネットワーク)。
ここに至るまでは結構苦難の道のりだった。
中でもよくあるのは、
「透水性コンクリートを運ぶと洗浄が大変」
えらい目にあった。
もう、運びたくない。
なぜ、そうなるのか?
それは、
普通のコンクリートのようにペースト部分で荷重に耐えるのではなく、ペーストがない透水性コンクリートは小石(骨材)と小石の間の点接着の部分が応力に耐えようとする、引っ張り強度で耐える構造だから。
逆に、
「ドラムの中の付着ペーストがサラサラ洗えて楽だったよ」
では困るのだ。
そんな透水性コンクリートでは車の乗り入れなんか期待できない。
15年来この透水性コンクリートの製造・運搬を行なっている長岡さくら工場では誰も愚痴を言わない。
慣れたってのもあるが、実はノウハウがあるのだ。
高性能AE減水剤の原液を500mlペットボトルに入れて現場に持っていく。
生コン車のブレード(排出)に薬剤を噴霧している様子。
荷下ろしが終わったら霧吹きでブレードに薬剤を噴霧する。
余った薬剤はそのままドラムの中に投入し大量の水で洗っておく。
ドラムを回したまま工場に戻る。
すると、いい塩梅に付着モルタルが分離していて普通の生コンと遜色なく残水を排出できる。
こうした報告が現場からもたらされている。
こうすることで、ストレスなく透水性コンクリートを配達できるという。
現場の最前線で工夫をする人たちに感謝をしたい。
「仕事だからしょうがないでしょ。やってよ」
こうした態度は受け入れられない。
顧客満足ばかりを優先して、業務に携わる人は苦しめばいい。
そんな態度は不誠実だ。
お客様ももちろん、同じくらい自分たちも。
生コンでよくなりたい。
そのための工夫は現場で生み出される。
現場至上主義だ。
現場(市場と顧客との接点)に全てがある。
生コンでいいこと。
宮本充也