2019/07/14
「雨の日に僕は怒っています」街角の地面に真剣に怒る(後編)

とある街角。ひとりの男が真剣に怒っていた。日本の地面に課題意識を燃やすひとりの男の物語(前編)。
雨の日に僕は怒っています(後編)
(あらすじ)ハーフマラソンを終え家路につくひとりの男の足が舗装の段差にとられあやうく転倒しそうに。よく見るとそこにはブロック、平板といった舗装材が。なんてこった。
「ちっ」
舌打ちを鳴らしながら日本の地面を憂いた。
なんてこった。
俺たち日本人は日本の地面をなんてことにしちまったんだ!
憤る。
地面で牙を剥く舗装材。
施工された直後はきっとそんなことなかったはずだ。
ただ、何回も、何万回も、人や軽車両がその上を行き過ぎた結果。
舗装材と舗装材の間の隙間は開く。
荷重が偏る。
どちらかが沈む。
お年寄りや目の不自由な人たちに牙を剥く舗装材。
俺たち日本人は地面をとんでもない悪魔に変えてしまった。
そんなことを考えながら歩いているとそこには目を疑うような光景が広がっていた。
な、なんだ?なんなんだ一体!!
俺たちはどこまで狂っちまったんだ?
目の前の光景をにわかには信じることができない。
地面に水浸しになっている。
もし、目の不自由な方がここを歩いたら。
この、if。
先程の段差に足を引っ掛けるくらいの確率じゃないはずだ。
一体どこまで俺たちは狂っちまったんだ。
地面を覆う。
大地の本来の機能を阻む。
それだけじゃない。
段差は人に牙を剥く。
水浸しに足をずぶ濡れにした人の気持ちはいかばかりか。
で、透水性コンクリートあり〼
見ての通りザルのように水を吸い込むから水たまりなんて絶対ありえない。
さらに施工は写真のように現場で生コンを成形する形で行われるため、段差は絶対に起きない。
男は怒っていた。
日本の地面を狂わせた日本人に対してではない。
明確な解決策としての透水性コンクリートに携わっているのに。
まだまだ普及しない。
否、
普及させていない自分の非力さに憤りを感じている。
ふと、空を見る。
空は限りなく透明に近く無限に広い。
まるで男を包み込むようだ。
いつか必ず。
憤りを噛み締めて男はさらに家路へと急ぐ。
宮本充也