2019/11/19
【岡山】「ハチドリのひとしづく」ミナモト建築工房

岡山県内外で話題になっているミナモト建築工房の青江社長を訪ねる。「ハチドリのひとしづくかもしれない。けれど、この地でコツコツと続けたい」。1000年後にはきっと持続できない経済発展。人と自然が調和する家づくりの現場最前線。
ハチドリのひとしづく
「私は、私にできることをしているだけ」
森林火災に逃げ惑う動物たちには目もくれず馬鹿にされながらもひたすらひとしづくの水を運ぶハチドリ、クリキンディの短かな物語。
今の経済発展。
今の家づくり。
今の生コン産業。
そのあり方は1,000年後には間違いなく持続不可能。
それは、100年かもしれない。
青江社長の家づくりに寄せる思い。
「私は、私にできることをしているだけ」
岡山内外でなにかと話題のミナモト建築工房を訪ねた。
事務所前駐車スペース。
緑の駐車場。
車両が乗り入れても土壌が締め固められず草が保護される工法。
3階テラス(2F屋根)はテラスとなっており熱効率に配慮された建物。
土地に根を下ろし土地の人たちの交流の場となる。
訪問した時にも多くの一般の方と思しき人たちがテーブルを囲んでいた。
ほぼ毎日のように開催されている「くらしのたね」は地域に開かれたコミュニティスペースとして本社1Fを開放しているそうだ。
他所はいい。
誰が何を考えていたって構わない。
「私は、私にできることをしているだけ」
クリキンディをコーポレートマークにしているミナモト建築工房。
人と自然に寄せる同社の理念は、
光、風、土、木、緑、水
をくらしに取り入れることで具現化されている。
それがたとえハチドリのひとしづくだったとしても。
同社は変わらずその活動をひたすら続けていくという。
1年に130億m3も地球を削っている産業生コンは?
後50年で石灰石は枯渇してしまうという。
生コン産業にアップデートの兆しはない。
将来世代にツケを回して、今の産業は粛々と営みを続ける。
「私は、私にできることをしているだけ」
人はいい。
自分は何ができるのか?
大地を削って被覆してきた生コン産業。
怒らせた自然が大量の水で人々の暮らしを襲う。
「想定外の雨量」
「それではもっと頑丈で大きな排水構造物をコンクリートで作ろう」
さらに大地は削られ覆われる。
いたちごっこ。
この終わりのない自然と人との争いはいつまでも続くもんじゃない。
人と自然が争うようになったのはここ200年の話だ。
生コン産業の歴史から言えばここ70年の話。
まだ続ける?
人と自然は本来調和する関係性ではなかったか。
青江社長に「透水性コンクリート面白いね」という感想をもらった。
自然の贈り物である降雨を舗装と排水設備で統制しようとするのではなく200年前の何にも覆われていなかった大地のように地下水系に還元する。
樹齢1000年を超える老木を蘇らせる。
地球全体が抱える危機から言えば僕たちの日々の活動は大海原のひとしづくかもしれない。
でも、他に何ができるだろう。
ミナモト建築工房の取り組みに触れて改めて、
「私は、私にできることをしているだけ」
クリキンディの言葉を反芻している。
宮本充也