2019/11/25
「日本は道路の舗装もガラパゴス? アスファルト舗装が多い理由とは」解説

アスファルト舗装やコンクリート舗装がこうしてニュースで取り上げられるのは嬉しいことだ。Yahooニュースで掲載された「日本は道路の舗装もガラパゴス? アスファルト舗装が多い理由とは」について生コンポータルの視点から解説
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191124-00010001-bikeno-bus_all
アスファルト舗装が多い日本はガラバゴス?
日本では「舗装といえばアスファルト」が圧倒的な常識となっている。
もう、ごくわずかなコンクリート舗装も一般にはアスファルトと認識されるほどに常識がアスファルト。
そのシェア95%。
海外に目を転じれば、アメリカやEUは80%。
なんとお隣韓国では40%。
舗装の多様性という意味で日本の舗装はガラパゴス化している。
そして、コンクリート舗装(透水性コンクリート)に携わる立場から日本を眺めると
「まるで変化しようとしていない」
に見える。
サステナブル社会の文脈からいえばあきらかにコンクリート舗装に分があり先進各国はそのシェアをあげようとしている中において日本は動こうとしないのだ。
この原因は一言で言ってしまえば日本の生コン産業の構造にある。
歴史上市場として見出されていなかった「なじみの薄い」道路の生コンに対して敬遠する向きが強い。
道路会社としても生コンの保守性・縦割りの体質に辟易している。
「そんなにうるさいこと言うんなら製造協力しませんよ」
くらいのことをいわれてがっくり来たという道路技術者には何度もお会いしたことがあるくらいだ。
一方の道路産業は大手道路会社の傘下に1,000を数えるアスファルトプラントが操業している。
特定の全体構想に「右向け右」が起きやすい構造であるため、ネガティブな生コン産業その数3,000、数の上では3分の1と後塵を配するものの日本の道路のほとんどはアスファルトにしてきた。
そして、その傾向はこれからも変わることがないように感じられる。
場所を選べばコンクリートが普及する可能性
論旨はコンクリート舗装普及の可能性に進んでいく。
アスファルトは熱可塑性樹脂(石油製品)だ。
つまり、
⚫︎ポリバケツ
⚫︎輪ゴム
の仲間。
記事の中にも経済比較があったが、10年〜20年の維持管理費を含めた場合現在コンクリート舗装とアスファルト舗装の間には差が無い。
この傾向は原油価格の不安定の影響もありさらに高まる。
40年〜50年となればアスファルトは更新時期を迎えイニシャルコストがそのまま不可される。
一方、コンクリート舗装は50年以上経っても供用されている事例は枚挙にいとまがない。
サステナブル社会の文脈には確実にコンクリートが優勢なのだ。
さらに、アスファルト最後の強み「冷めれば固まる」。
つまり、すぐに交通開放できるという点についてもコンクリート技術は日々アップデートされている。
3時間で固まるセメントや混和材。
そして、急結を支える残コン処理技術など、周辺技術が統合されることによって「舗装がアスファルトである必然性」がなくなっていく。
さらに、「アスファルトはもはや石油生成の残渣ではない」という事実。
僕が子供の時に社会課の授業で習ったこと。
石油を生成する過程でどうしても発生してしまう残渣を国土の整備に利用している。
というのは既に過去のものとなっている。
生成技術が発展し残渣が発生しなくなっている。
つまり、「化石燃料を燃やしてわざわざ残渣(副産物)を作っている」というのが現実。
もはや技術的には「舗装がアスファルトである必然性」は薄くなっている。
今こそ生コン産業がアップデートするためにはこの事実を冷静に見つめて行動に移す必要がある。
透水性コンクリート普及に携わって15年が経過する。
後ろ向きな生コン産業。
縦割り、閉鎖的、な産業構造。
草の根でこうした現実に向き合いながらも日本の大地を再生する可能性のある透水性コンクリートという技術に魅了され今も活動している。
そんな最中にこうした記事がYahooのような一般メディアで取り沙汰される。
生コンの常識は世間の非常識。
市場と顧客の声を聞かず、社会情勢を一切顧みず、内向きな活動を続けて70年の生コン産業。
でも、その数3,000。
数の上ではアスファルトプラントを凌駕する。
今こそ道路・舗装を新しい市場として捉え次代の扉を開く時が来ている。
「日本は道路の舗装もガラパゴス」
なんて批判はそもそも僕たち生コンが受けるべき内容なのだ。
宮本充也