2020/01/16
「pp(ポリプロピレン)繊維が拓く生コンDIYの可能性」ワイヤーメッシュ不要

「エクステリア駐車場をDIYしたい」。WEBを眺めていると実に多い一般のニーズ。駐車場(土間コン)を施工する上で障害になるいくつかのプロの仕事。中でもワイヤーメッシュ配筋が不要になったら。「pp繊維が拓く生コンDIYの可能性」。
施工前も、施工中も「めんどうくさい」メッシュ配筋の代替に
DIY、生コン、駐車場etc、WEBを閲覧しているとワイヤーメッシュを推奨している記事が散見される。
それらの理由は「ひびわれを防ぐ」(抑制という方が正しい)。
確かにイメージとして鉄網(ワイヤーメッシュ)が設置されているほうがひびわれなさそう。
ただ、このイメージ実は確たるエビデンス(証拠)が示されているわけでもない。
この辺を深掘りするとキリがないのでやめておくが。
施工前も・施工中もめんどうなワイヤーメッシュ。
このワイヤーメッシュ。
施工してみればわかるのが「かなりめんどう」ということ。
写真のように、スペーサー(俗称サイコロ)と呼ばれるコンクリートで高さをとってその上に置いていく。
路盤工の後、生コン打設の前の作業となる。
また、面積に応じて重ね合わせて結束したり、カットしたり、現場で発生する手間は結構いろいろある。
ワイヤーメッシュそのものもかさばるしあちこちひっかかったりするし結構大変。
ようやっと事前準備が終わってさあ生コン打設となってもそのめんどうは続く。
足元にはサイコロの上に浮いたワイヤーメッシュ。
ようは不安定な地面の上で作業を強いられる。
一輪車で生コンを搬送するのも捗らない。
ワイヤーメッシュさえなければ安定した地面の上で施工ができるのに。
とまあ、効果があるのか甚だ疑問のワイヤーメッシュは生コン打設(特にDIY)にとってはけっこう手間のかかるめんどうな存在。
効果が立証されているpp(ポリプロピレン)繊維散布工法。
一方、国内外で急速に普及が進んでいるマテリアルがある。
pp繊維補強コンクリート
敢えてひび割れ箇所の写真を掲載する。
生コンにあらかじめ混入されたpp繊維がひび割れ抑制に寄与する。
写真は想定以上の応力が発生しコンクリートがひび割れた状況。
pp繊維の架橋効果が目視で確認できる。
このpp繊維。
生コン打設完了時、仕上げ前にこのように散布する(m2あたり100g程度、製品名「BARCHIP」使用)。
表面に散布されたpp繊維はタンピングすることで20〜30mm程度沈み込む。
表面から20〜30mm下層にpp繊維のネットワークが構築されひび割れ抑制に効果を発揮するというもの。
その効果はきちんと学会論文という形で立証されている(論文は末尾に)。
ワイヤーメッシュをpp繊維に置き換えるDIYにおけるメリット。
⚫︎事前工がなくなる
なにかと手間のかかるワイヤーメッシュ敷設(ふせつ)・配筋。
それがなくなることで時間と手間を圧縮することができる。
⚫︎施工中も平らで安定した地面
足元になにもないため一輪車による生コン搬送も楽ちん。
施工も捗るだろう。
⚫︎安い
1m2あたり100gを締め固め(タンピング)、仕上げ前に散布するだけ。
この100gはワイヤーメッシュの原価に比べて安い。
など、アドバンテージはいくつか挙げることができる。
そのため、ワイヤーメッシュに比べてDIYしやすいということができる。
WEBを眺めているといかに土間コン(駐車場)のひび割れのトラブルが多いことかと呆れる。
素人さんのプロの仕事に対する不信。
確かに中には悪徳業者もいるかもしれないが、それらトラブルの大半は僕に言わせればコミュニケーション不足。
コンクリートのプロとして誤解を恐れず宣言しよう。
コンクリートにひび割れはつきものだ。
ひび割れないコンクリートなどない。
そして、さらに言わせてもらおう。
土間コンのひび割れなんかなんの問題もない。
心配もない。
見た目だけの問題だ。
鉄筋コンクリート構造物と違って内部鉄筋の腐食による膨張、最終的には構造体としての機能の低下、みたいな心配はご無用。
所詮土間コン。
「ぬかるまず、草が生えない、歩きやすい、車が乗れる」
というのが要求性能。
「ひびわれません」
なんて誰も保証していない。
ワイヤーメッシュもpp繊維補強も所詮「ひび割れ抑制」。
強度が増しますみたいなことは誰も言ってない。
にしても、WEBを眺めるに言いたい放題書きたい放題が見受けられる。
中にはプロもしたり顔(かどうかはわからんが)でワイヤーメッシュの効用について嘘八百を並べ立てている始末。
生コンポータルは顔と名前を晒してコンクリートのプロがコンクリートテックに関して毎日ブログを3本以上掲載しています。
誰を信じるかはあなた次第。
「pp繊維が拓く生コンDIYの可能性について」
宮本充也