2020/08/23
「グッドデザイン賞に続き《静岡ニュービジネス大賞》に挑戦するドライテック」pt4《収益性(成長性)・市場性(将来性)》続編

前回pt3では環境コンクリート(透水性コンクリートやリサイクルコンクリート)の市場分野の広大さとその成長性を紹介した。pt4ではこれまで歩んできた事業の軌跡を具体的に紹介し、「生コンにインターネットは関係ない」とされてきた生コン産業において当社(長岡生コンクリート)が拓いたイノベーションについて。
インターネットと企業間連携がどのように数字に表れているか
2014年1月からの透水性コンクリートの全国出荷量(市場規模)を示すグラフ。
地場産業生コンにはインターネットは関係無い。
従来の生コン産業は縦割り・階層型であることには前章までで触れた。
情報、そして、ヒト・モノ・カネはその制限された脈を辿って行き来する。
さらにはJIS規格による1時間半以内に荷下ろしという目に見えない壁が地域を分断している。
そして、カルテル。
生コンの流通はこうした保護政策の庇護のもと超閉鎖的な構造を構築した。
「生コンにインターネットは関係ない」
あらゆる産業がインターネット(そして企業間連携)で再定義されている中でも、上述の背景から生コンだけはおそらく未来永劫インターネットとは無関係だろう。
産業に身を置く人たちの大方の見方だった。
当社(長岡生コンクリート)が拓いたイノベーションはおそらく「生コン産業におけるインターネットと企業関連携を通じた新市場の創造」とすることができるかもしれない。
2016年3月1日インターネット戦略ローンチ(毎日関連ブログを3本更新)
「生コンにインターネットは関係無い」
一方、生コン産業の辺境に身を置く僕たちにとって生コン産業は泥舟にしか見えなかった。
人口と比例する数量で推移することがわかっている生コン生産量は長期低迷が決定づけられている産業と言っていい。
既存の完成された産業構造で可能な選択肢は限られている。
当時10年近い経験とノウハウを積んできた透水性コンクリート(さらにはリサイクル生コン)。
これを情報が制限された既存産業の中で埋もれさせる(売り先が既存の組合、あるいは地元工務店、あるいはゼネコン、大手道路会社などへの営業活動)のではなく、インターネットを通じた全く新しい流通脈を創造することはできないだろうか?
情報発信を通じて、全国各地の BtoCに訴求し、その土地の生コン工場と施工者をつなげて価値(透水性コンクリートなど製品)を届けるという挑戦。
僕たちが立てた仮説はこれだった。
会社名を前面に出すのではなくHPのタイトルでもある「生コンポータル」を前面に打ち出す姿勢に一新した。
幸運なことにインターネットによる情報発信を想起した当時で既に100社以上の生コン工場との取引関係があった。
この生コン工場、そしてその先にいる施工者のネットワークをあたかも環境コンクリートテクノロジーの供給インフラと位置付けてBtoCにダイレクトに製品を供給する。
それまでに全くなかった流通脈。
仮説は理屈として成り立っているようには見えた。
そして、全リソース(ヒト・モノ・カネ・情報)の中で最も最初に動く「情報」をインターネットを通じて社会に訴求する。
その具体的活動として「毎日ブログを3本以上更新する」という挑戦。
「ブログ1本だけでも大変」
固くて分厚い岩盤としての既存産業(流通)構造。
土手っ腹に風穴を開けてやるためにはちょっとやそっとの努力では達成し得ないだろう。
「それでは、3本以上書いてやれ。それも、土日祝祭日関係なく、365日毎日だ」。
この取り組みが始まった2016年3月1日からの透水性コンクリートの出荷数量は明らかに前出のそれまでの軌跡(ほぼ横ばい)との変化が見て取れる。
こちらはHPに寄せられる問い合わせ件数の昨年4月からの推移を示したグラフ。
コロナで在宅傾向が増えた4月以降から順調に右肩上がりを示し現在は年間3,000件ペースの問い合わせ件数となっている。
昨年1年間(2019年3月1日〜2020年2月末迄)が600件だったから、昨年対比で問い合わせ件数は5倍となり「閾値を迎えた」という印象を持っている。
8月以降こうした問い合わせ件数が出荷量にどのように影響するかに期待がかかる。
順調に成長するインターネット経由でのコンクリート販売が新進ネット小売に見出される。
昨年10月には事業者向けネット通販最大手MonotaRoでの販売はネット小売の生コン取り扱い初となった(https://www.monotaro.com/g/04477965/)。
さらに、同年12月にはエクステリア資材販売日本一を誇るエクスショップでの取り扱いも始まった(https://www.ex-shop.net/index.php?action=public_item_order_drytech_input)。
従来、Amazonや楽天でもわかるように、BtoB製品(生コンなど事業者向け製品)はインターネット小売(EC)には馴染まない。
「生コンにインターネットは関係ない」
とされてきたこの分野で当社らが上記のネット小売(EC企業)らとの協業を始めたことの意義は大きい。
「毎日ブログ3本以上」
今日(2020/08/23)現在でそのコミットメンとは4年と5ヶ月23日目を達成したことになる。
そのアクティビティに10年の誓いを立てている。
あと5年と半年続けた先にはどのような世界が立ち現れているだろう?
グラフからもわかるように現在の透水性コンクリート事業の売り上げの大半はインターネットによるものだ。
インターネットの特徴として無限の拡散と情報が劣化しないことが挙げられる。
いよいよ我が国で水の次に流通する材料「生コン」の分野でも新しい市場を開き始めたインターネットと企業間連携。
日本中の生コン工場とその先にいる施工者を供給インフラとして裏付けられればその市場性は無限の可能性を孕んでいる。
(pt5「世界展開について」に続く)
宮本充也