2018/07/29
「たった1滴、だとしても」透水性コンクリート10年の歴史
自然災害大国、日本。自然との共存する対策のひとつに、
「透水性コンクリート」をもっと考えてみたい。それには生コン業者の
大いなる使命感、と行動力、そして大切な人にために。
生コン業者でないと任せられないこと。
一滴がないと、大河にならない。
私たちの住む日本、世界を救う事に繋がる、すごくいい事なのである。
いま、環境のこと。
アウトドア系衣料品メーカーのパタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード氏の著書「レスポンシブル・カンパニー」を読んでから、事業者として地球環境を考えることがとても多くなりました。
ヒートアイランド現象、ゲリラ豪雨、洪水や土砂災害など近年環境問題が深刻化していてとても身近な現象として、私たちも認識するようにはなっていますが、自分自身の生活と地球環境問題を直接結びつけて考えるのは
恥ずかしい話ですが、ごく最近になってからです。
自己矛盾の、先に。
「山や河川を細らせて、黒煙を撒き散らし、道路を痛めて運ばれた原材料を使って山や河川の維持や道路の新設を行っている」
私たち生コン業の抱える自己矛盾について、本来であればちっぽけな生コン屋がそんなことを考える必要はない、のかもしれません。
実際みんなやっていることですから、当社だけがそれにあらがって環境コストが良好な製品づくりを原価アップを負担し、てお客様に提供したところで、残念ですが、赤字経営が続き無理も続かなくなり、その貢献はどこかで潰えてしまうのは容易に想像できることです。
一滴のはじまり
つまり持続可能ではないこうした取り組みは残念ながら社会貢献にはならないということです。 当社が透水性コンクリート舗装事業に取り組んだのは、10年前のこと。当時は単純に「儲かりそう」という発想だったのですが、その発想はその後数年で見事に打ち砕かれ、多くの失敗の山に何度も諦めてしまいそうになったのも、今考えれば動機が単なる
「儲かりそう」だったからに他なりません。
透水性コンクリート舗装、のよいとこ
透水性コンクリート事業10年の歴史から言えることは、透水性コンクリート舗装は通常の舗装に比べて
☆ 路面温度が10度下げ環境温度の低減に寄与すること、
☆ 降雨は路面にとどまらず水たまりを作らず、地下水系に還元され
治水・排水設備の負担を軽減させること
☆ 透水性コンクリートの普及はすなわちヒートアイランド現象の
抑制効果ひいては洪水災害の未然防止をもたらすこと、
☆ 普通の舗装(アスファルトや土間コン、ブロック)に比べて
経済的にも遜色ないこと。
いいことづくめのこのコンクリートが、テレビや新聞・雑誌の類でも頻繁に紹介され、学術的にもその環境性能の高さは常識として認識されているこの透水性コンクリートが、なぜ一般に普及していないのか。普段街を歩いていてどうしてまったく透水性コンクリート舗装を見かけることがないのか。
その理由は、冒頭にあげた私たち生コン業者の自己矛盾、
意識の希薄さの中にあります。 どうせ1社でやったところで
「大海原に1滴たらすようなもの」
として諦めてしまっているからに他なりません。
そして、大河に
時代は変わりました。生コン工場全国アライアンスGNN元気な生コンネットワーク(https://genki-namakon.net/)は今や全国規模となり、たった1滴も情報共有により直ちに100滴1000滴になるようになりました。
「最先端技術でも自分には関係のないこと」だったことが、「最先端が身近に」なりました。 私たち生コン工場が、環境と自分たち自身をきちんと結びつけて実践に移し、それを共有することが実は、今私たちが抱える環境諸問題の解決策になるのだ、ということを「共同」が教えてくれました。
私たちの、使命
「儲けたい」という動機付けはどこかで持続不可能となってしまいます。自分たちが当事者意識を持って実践したことが、社会や環境に好影響を及ぼすことがわかってくると、
それは「使命感」という動機付けに昇華されていきます。
最初から諦めてしまわずに連携の中で使命感を燃やす。
この10年続けてきたことが少しずつかたちになり、少しずつですが透水性コンクリートが、カーポートや街中の歩道などよく見かける光景になるようになっています。そしてこの取り組みが深刻化した、洪水被害の軽減になることを信じて、毎日努力していきます。
専務取締役 宮本充也
2018/07/29 井出