2018/09/13
「市場は水を透す透さないについては無関心|透水性コンクリート」

透水性コンクリートは水を透すことが目的ではない。水を透すことはあくまで手段であって、多くの価値を裏付ける魔法。水を透すことで得られるいくつかの現象に本来の価値がある。定例開催となっている岡山県の見学会でその真価が証明された!
水を透すことで得られるいくつかの現象
水を透すコンクリート。
透水性コンクリート。
ポーラスコンクリートなどとも言う。
一般には、
「え?コンクリートが水を透すの?」
なんて初見は驚かれるかもしれない。
そこに落とし穴がある。
この罠には僕たちのような専門家ですらはまり込む。
「水を透すことがすごい!」
そんな風にいつしか誤解をしてその点を前面に出すのだ。
マーケットインなんてビジネス用語がある。
プロダクトアウト、つまり製品からスタートするのではなく、
マーケット(市場)が何を求めているのかを見極め、
それに呼応するような製品を作り上げて市場に問う。
透水性コンクリートの市場は建設業。
特に、透水性コンクリート舗装に限定して考えれば、
エクステリア、造園、ガーデニング
こうした分野のひとたちがマーケット(市場)を構成している。
たしかに「水を透す」はすごいこと。
そして、即物的には「水たまりができない」ことは一般大衆にとっては魅力的であることも事実。
ただ、市場(エクステリア、造園、ガーデニング)は「水を透す」ことそのものを求めていない。
つまり、マーケットイン足り得ないのだ。
10年以上透水を前面に押し出した営業を続けてきてようやっと気づいたことはそんなことだった。
市場は水を透す透さないについては無関心。
その事実に気づくことに10年以上の歳月をかけてしまったのだ。
無駄ではなかったことだけど。
※中四国エリア各地から大勢のギャラリーが集まる。写真は普通コンクリートの打設風景
※生コン工場勤務の前原さんがほとんど1人で施工を行う。背筋もなく型枠がなければ「ぢかどり」といって、生コン車が直接入ってきて直接敷設作業が行われるため、単独施工も可能
※どこにでもあるプレートで仕上げる。仕上げ面には土足で立つことができるのは通常の土間コンでは考えられない。これが、30分で施工が終わってしまう迅速施工の理由
透水とはつまりペーストが無いということ。
水を透すためには骨材(小石)と骨材の間に隙間がある必要がある。
通常その隙間はペースト(砂、セメント、水)で満たされていて、
コンクリートは強度を発現する。
密実なのでとても水を透す隙間はない。
透水するとはつまりペーストがないということ。
隙間を伝って水が抜けていく。
・ペーストがないからブリーディング現象(水が浮いてくる)がないため、敷設後すぐに仕上げに取り掛かることができる→迅速施工
・ペーストがないから、色むら(この原因はペーストに含まれる水の蒸発散のムラが原因)もないため、クレームに発展しない
・表面にペーストが満たされていないからひび割れ(ヘアークラック)が発生しても見えない、クレームに発展しない
さらには、
・ペーストがない(隙間がある)から水を透すので真っ平らの土間コンにしても水たまりができない→水勾配を考えなくてもいい
これが、市場(エクステリア、造園、ガーデニング)にとって価値となる。
透水はそもそも価値ではない。
そんなことに理解を深めることができるのも、
今回の岡山のように全国各地で関係者の声にぢかに触れることができるから。
マーケットイン。
言葉で使うほど簡単なものじゃない。
全国津々浦々で20回以上毎月開催される見学会。
実はもっとも勉強になっているのは開催している僕たちなのかもしれない。
透水性コンクリートの本当の価値。
やればやるほど、次第に輪郭がはっきりしてくる。
生コンでいいこと。
宮本充也