2018/07/25
「家の古さが際立ちづらい」 ニーズ・リフォーム・土間コン

ニーズというのは実に不思議なものである。
ある人にとってはとても大切でなくてはならないものだけど、
また別の人にとってはなんの価値も見いだせないガラクタ。
だから、営業やセールスをするときにはこの点を気を付けなければならない。
「これ、すごいんですよ。まじ、すごいんです。買わない人阿呆です。みんな買ってます。今買わなきゃ乗り遅れます」
的な売り込み(ここまでではないにしても)を見かけることがある。
僕の場合は天邪鬼(あまのじゃく)なのか、
「じゃあ、絶対買わない」
と心に決めてしまうのだけど、
天邪鬼ではなくても、買おうとする人は、
「すごいもの」じゃなくて、「ほしいもの」が買いたい
わけであって、上記の押しつけがましいセールストークは成立しづらい。
そんな文脈で、今日もとても驚かされる現場があった。
(長年のお客様「伊豆植物園さん」の現場)
「新しすぎないほうがいい」
「きれいすぎないほうがいい」
という現場。
僕たち供給する側としては当然まっさら新品ぴっかぴかのものを納めたい。
最初からぼけたものを納品するなんて絶対に許されない。
こう思い込む。
ただ、こちらのお施主さんの考えは違った。
リフォームで家の前の土間コンを整備しようと思うのだけど、家が古くなってきているのに対して土間コンだけが新品ぴっかぴかのつるっつるだとちょっと違和感あるよね
というニーズだった。
水たまりのない駐車場(透水性コンクリート、ドライテック)
別に古いってわけじゃないのだけれど、
水を透す構造→ポーラス構造(雷起こしみたいな)である以上、
舗装表面がどうしても粗面(あらっぽい)になりがち。
確かに土間コン表面に比べるとその違いは歴然で、
ペーストで満たされていない分みためがぼこぼこしているという印象がある。
これがつまり見方によっては、
「新品ピッカピカじゃないので、家の古さが際立ちづらい」
というふうに思えば思えなくもない。
それだけじゃなくついでに、
「家の前に水たまりができることがなくなった」
という、どちらかというと僕たちが想定している価値が、
「おまけ」
になるケースがあるというのだから面白い。
思い込みから離れて柔軟に考えてみる。
大切だとは分かっていても生コン屋の専門家には専門家の視点がある。
だからこそ、お客様が何を考えているか。
人の話をまずじっくりと聞き理解しようとする姿勢。
こちら側の経験を論拠にまくしたてるようなことをしない謙虚さ。
そうした人格(社格)が必要なんだと思う。