2020/11/28
「5R(Reduce, Reuse, Recycle, Relocate, Recover)で考える」「《残コン》《戻りコン》ぶっちゃけ大激論大激論」RRCS

一昨日(2020/11/26)都内青木あすなろ建設会議室ではRRCS(生コン・残コンソリューション技術研究会)の座談会第2弾の収録が行われていた。現場とアカデミア、施工者と納品業者の認識は一致しているか⁉︎「残コン・戻りコンの定義とは?」。ゼネコン、生コン、アカデミアなど普段テーブルを1つにしない面々が揃った残コン・戻りコンに関するぶっちゃけトークの行く末はいかに?
【残コン】【戻りコン】ぶっちゃけ大激論
左から、内山アドバンス・常務取締役・佐野雅ニ氏、代表理事 野口貴文氏、青木あすなろ建設・執行役員・藤田一哉氏、淺沼組・技術研究所リーダー・山崎順次氏、理事 小山明男氏、事務局 藤井成厚氏。
にしても、RRCSの事務局の企画力は秀逸だ。
これまで生コン・セメント産業における閉鎖的な雰囲気にあって、「いい意味で素人」が炸裂している。
こんなどこぞのYouTuberのサムネイル画像見たいなフレームに業界のお歴々を登場させるなんて僕にはとてもできない笑。
これまでの業界のイベントやパネルディスカッション、議論の類は基本的にクローズドだった。
業界で「権威」と呼ばれる人はどのようにして、「権威」になったかわからないまま、その守られた密室で内輪の議論に終始する。
それを発信する役割を持つのも、業界の手垢がベタベタつきまくった柵の手先の業界メディア。
自由に書きたい放題というわけにはいかない。
パワーバランスがあるから、空気を読むことを強く求められる。
一方のRRCSの事務局を受託している企業は生コン・セメント(建設)とは一切柵のない会社。
生コン・セメントの都合お構いなし。
そんなのどうだっていい。
世間、つまり市場と顧客が求めていることに応えるRRCSの事務方として至極真っ当、当たり前のことを事務手続きを行う。
結果、「いい意味で素人」が奏功して、従来の生コン・セメント業界からしたらとてもエポックメイキングな企画が立案され、実行に移される。
前回の東西トップアカデミア対談に続き、今回も見事な企画立案となった。
⚫︎参考記事: ESG投資「金融界の巨人《ニッセイ》がRRCSに降臨!」見逃せない対談・座談会特集(月刊残コン Vol.42)
第2回RRCS対談&座談会 2020年12月12日(月)17:00配信 START‼︎
テーマ:現場とアカデミア、施工者と納品業者の認識は一致しているか⁉︎「残コン・戻りコンの定義とは?」
討論会の模様は建設産業新聞、日経XT、コンクリート新聞らの取材を受けて行われた。
左から、内山アドバンス佐野常務、代表理事野口先生、青木あすなろ建設藤田取締役。
左から、淺沼組技術研究所山崎リーダー、明治大学小山先生、事務局藤井さん。
「現場では戻りコンクリートに関する認識が乏しい」(青木あすなろ建設藤田氏)
「三多摩生コンクリート協同組合では『無駄コン0計画』というキャンペーンを打ち、現場との共通認識を持つことを期待した取り組みが行われている」(内山アドバンス佐野氏)
https://www.t-namakyo.jp/pdf/mudaconzerokeikaku-a4.pdf
「誰かが責任を持つ(費用を負担する)ためには、曖昧な定義を明確なものとしなければならない。ルールが定まっていないところには規格もルールも生まれない」(淺沼組山崎氏)
「不合格品以外のもの(残コン)を発注しておいて、余ったら製造者責任(生コン屋さんに負担させる)なんて他の産業では類を見ない。まずは、《出るもんは出る》という共通認識をもち、関係者がコスト意識を持つ。そうなれば、イノベーション(発生抑制、ソリューション開発)は自然と生まれるはずだ」(明治大学小山先生)
他、
「残コンと戻りコン(全く使用されず持ち戻される生コン)の比率は8:2の比率で圧倒的に残コンの方が多い」
「残コンの場合費用負担が発生しないため、一輪車一杯だけ使って残コンにするという不和が発生しているという噂を聞いたことがある笑」
「生コン工場としてこの座談会への参加を拒む人が多いのはきっとパワハラまでとはいかないが、不都合に追い詰められることを嫌ってのことではないか」
「一口に全体の3%といえば小さく感じられるかもしれないが、現実はどこかの地方の1つの県が年間に出荷する生コン製造料を超えるほどの大量のゴミが発生している」
「ISOでは現場での加水を認めている。もちろん、それは責任範囲を明確にして、きちんとした品質を担保できることを条件としている。日本でも、より使用者の責任・権限を広げ、出口を広げる取り組みが必要となる」
これ以上書くとRRCSのYouTubeリリースに水をさしてしまう笑。
すみっこで聴講していてハラハラするような、スリリングな討論会となった。
「5Rで考える。」(代表理事 野口貴文)
討論会の締めくくりに、野口先生から5Rというテンプレートが提案された。
従来の3R(Reduce, Reuse, Recycle)に加えて、2R(Relocate, Recover)を加えた5RというテンプレートでRRCSを推進していく。
つまり、以下のようなテーマ毎に、加盟企業がジョインする。
Reduce : 発注方法の改善(IoT導入)
Reuse : 埋戻等現場合利用
Recycle : 路盤材、再生骨材
Relocate : 別現場で使用。別用途(コンクリートブロック、U字溝等々)
Recover : 化学混和剤の現場使用
残コン、戻りコンが向かうべき方向性は確かにこの5Rと密接な関係性がある。
そして、この5Rこそ、残コン・戻りコンを包含する資源循環型社会を企図するすべての生コンクリート(再生生コンなど環境配慮型生コン)が志向すべきターゲット。
年明けからいよいよRRCSの活動は本格化する。
5Rというわかりやすい道筋も示された。
残コン・戻りコンに関して5Rのいずれかを選択して共同する。
その共同をJIS制定側にいるアカデミアが監修する。
辺境が生み出したイノベーションに現場に寄り添ったアカデミアが権威付けをする。
これまでつながることのなかったあらゆるセクターがシームレスに繋がり会うRRCS。
これまで埋もれてきた辺境の価値が来年以降続々と脚光を浴びることになる。
宮本充也