2021/04/08
【長野】「今までOKだったのに、ある日突然NGになる」アップル生コン・丸壽産業

「コンクリートガラ」「コンクリートくず」両者に違いがあることをどれほどの人々がご存知だろうか。昨日長野県松本市から小石興業アップル生コンから生コンポータルを訪れた加藤平さんの目下の課題は残コン処理。残コンソリューションはモノの提供ではなく製造者同士の交流(コト)が解決していく。
「ガラ」から「くず」で受け入れ拒否
生コンポータルでは工場に持ち戻された残コンは所定のピットに貯留するように義務付けられている。1日天日乾燥された残水・洗い水由来の残渣物とブレンドされ改質される
残コンステーションではMAPEI社製混和材Re-con ZERO EVOが投入され重機で撹拌されると残コンは流動性が失われ砂礫状になるデモンストレーション
残コンステーション(専用ピット)で5分重機により攪拌されると残コンの流動性は失われ砂礫状に変質する。翌日以降、埋め戻し材・路盤材・再生骨材コンクリートの原料などの用途で再利用される
加藤さんに随伴された丸壽産業百瀬課長。
見学中折よく生コンポータル取引先施工者がプロダクトを引き取りにいらした。
⚫︎参考記事: 「残コンスラッジ処理システムの全て」
「くず」の許可がないってことである日突然受け入れ拒否に
長年この分野に携わっているこの僕も初めて聞いたケースだった。
アップル生コンさんがもともと残コン(コンクリート塊)を処分していた先(処分場)に長野県の指導が入った。
生コン屋さんで発生する残コンが固まったものはコンクリートガラ(コンクリート塊)ではない。
コンクリートガラとは建設現場で発生した解体ガラのこと。
だから、コンクリートくずの処分許可を持っていない同社はアップル生コンの残コンを受け入れてはダメ。
青天の霹靂だったろう。
今までOKだったのに、ある日突然ダメになる。
なんでも長野県では廃棄物行政が一気に厳しくなっているそうだ。
これはきっと長野県だけの話ではなく徐々に全体にも広がっていく傾向なのではないか。
そして、さらに思う。
残コンてそもそも定義すら与えられていないではないか。
廃棄物ということなら現場で発生した時点でマニフェストが交付されなければならないし、生コン製造者も産業廃棄物収集運搬の許可がないのでそもそも運べないということになるのだけれど。
取り締まる側の行政からしてそのルールを明確にしていないのに、監督する時にはそんなことを指摘するなんて言いがかりもいいとこな気がする。
どうなんだ、廃棄物行政。
そして、割りを食うのはいつも産業ヒエラルキーの底辺にいるラストワンマイル生コン製造者。
納得はできないが、そういうルールになってしまったから、それを受け入れざるを得ない。
僕たちは黙って羊のように付き従わなければならないのか。
見学、打ち合わせが終わってから楽しむ伊豆の国市内の足湯公園。
健康歩道(凹凸歩道)で足裏の反射区を激しく刺激した後の足湯でのんびり歓談。
まあ、それでも、今に見てろ。
僕たちにはRRCSがある。
現行の産業ヒエラルキーにおいて僕たちは底辺かもしれない。
でも、裏を返せば、僕たちは現場・現実・現物に一番近いところにいるラストワンマイル。
ルールが変われば。
序列が変化し、縦割り・階層が刷新されたら、実は僕たちラストワンマイルが一番情報や具体性を帯びることになるはずだ。
RRCS(生コン・残コンソリューション技術研究会)の活動を通して残コンにきちんと定義づけを行う。
残コンは単にラストワンマイル生コンを虐めるモノであってはならない。
残コンは、みんなで、応分に負担し、それをリスクではなくチャンスに変えていかねばならない。
そのためには、ソリューション(モノ)だけではダメ。
そんなモノいくらでも溢れている。
テクノロジーは飽和している。
今大切なのは文脈。
それをどのように捉えるか、定義づけるか、枠組みを作っていくか。
今回わざわざ松本市から伊豆の国市まで訪ねてくれたように、交流(コト)がそんな文脈を形成していくのだと思う。
今はまだ辺境を苦しめている残コン。
今に見てろ。
残コン問題を解決することで、産業構造を一新し、辺境が抑圧されることなく解放される市場構造を絶対に創造してやるつもりだ。
宮本充也