2019/03/21
一挙紹介!生コン工場で実装されている【残コン処理システム】の種類について

生コン産業の歴史も70年を数え、いよいよ真剣に工場の設備更新が取りざたされている。各社各様の残コン処理方法を大きく変更する。あるいは、現状維持とする。ここでは流通しているあらゆる残コン処理方法を紹介したい。
生コン工場向け残コン処理システム各種
フィルタープレス(トロンメル)
もっとも古典的で定番の処理方法。
日工(写真)を始め、メーカー各社が販売。
持ち戻された生コン(残コン)やドラム洗浄水、残水などは全て大量の水で洗浄される。
トロンメルで骨材が回収・分級。
濁水(セメント、シルト)を圧搾機(ろふ)により搾りスラッジケーキとして減容化させる。
コストは、初期設置コストとろふの交換などメンテナンス、さらにはスラッジケーキの埋め立て処分費の高騰が近年問題となっている。
メーカーHP(https://nikko-net.co.jp/plant/dcake.html)
脱水ケーキ乾燥設備
小型キルンで生成直後の脱水ケーキを即時乾燥させることで未水和セメントを回収する技術。
結合材として再生利用をすることでスラッジ処分費の抑制と原材料抑制を期待する。
現在、埼玉県の三和建業にて導入、運用されている。
コストは導入・設置費用と燃料(乾燥させるため)ほか。
メーカーHP(https://morigikou.jp/)
残水処理機「硬まるくん」
低電力、ローコスト、で稼働する残水、洗浄水処理システム。
フィルタープレスで発生していたスラッジケーキの発生がないところが特徴。
生成されたスラッジは乾燥・効果促進させることでコンクリート強度を発現させることで、
・コンクリートガラ
・破砕しRC砕石として販売
の2種類の出口がある。
さらに、薬剤添加もない。
トロンメルの設置コストもないため、コストは本体設置コストと電力、メンテナンス費用、ガラ処分費、または破砕機設置に限定される。
メーカーHPはこちら
アカエ式・残水分離器
残水、洗浄水を液化(練り水に再利用)と固化(硬化後破砕しリサイクル材)を同時に行うのが特徴。
設置コストも比較的安価。
硬まるくん同様スラッジケーキの発生がないのが特徴。
その他設備と組み合わせることであらゆるニーズに対応している。
https://www.nr-mix.co.jp/econ/blog/post_324.html
残コンスラッジ処理システム
イタリアの混和剤メーカーMAPEIと国内生コン有志ら(GNN)が共同して開発した。
残コン、残水、洗浄水全てを再生材の原料とすることで、ガラ、スラッジケーキの発生が無い。
特徴として機械・動力によるシステムではなく、簡易な設備と工程、薬剤添加(生成原料tあたり500円程度)により再生リサイクル材を得ることが特徴。
システムの他にバックホウやホイルローダーなど通常生コン工場に設置されてある重機などで運用可能。
コストとしては設置コスト(軽微)、薬剤など。
ただし、再生リサイクル材の保管スペースを確保する必要がある。
※またはコンクリートガラとしての処分も可能
乾式洗浄システム(スカンジナビア、イタリア)
古典的手法、フィルタープレス(トロンメル)が大量の水で処理するのに対して、高分子・急結材を投入し強制2軸ミキサで強制乾燥をさせる方式。
対象は、残水・洗浄水・残コンに及ぶ。
従来の生コンスラッジは発生せず、
再生骨材が即時乾式洗浄されて生成される。
さらに、ブロック製造と併用することで残コン発生のばらつきに対応している。
現在、スカンジナビア、イタリアなどで運用が始まっている。
コストは設備設置費用、薬剤、電気代、メンテナンスなど。
再生材料の出口(生コン、砕石)が確保されればフィルタープレス(トロンメル)に取って代わるシステムとして期待されている。
生コン工場永遠の課題として諦めてはいけない。
日本国内はおろか世界中で新しい残コン・残水・洗浄水の取り扱い方法が日夜実験されている。
新しいシステムを導入する際には絶対後悔しないよう、あらゆる方法を吟味し、自社工場にとって何がベストかを徹底する姿勢が求められる。
生コンポータルではさらなる技術革新を期待する。
生コン工場が少しでも笑顔で仕事ができるシステムの創造。
それも1つの、生コンでいいこと。
宮本充也