2021/05/07
【京都】「生産性も低く何の成果も上がらない作業に大切な会社の仲間を埋もれさせるのが忍びない」吉岡商店

「経費云々ではない。生産性も低く何の成果も上がらない作業に大切な会社の仲間を埋もれさせるのが忍びない」。とことん生コンを貫く京都府京丹後市の吉岡商店さんがリスクを見切って生コンポータルの残コンステーションを視察した。
バーン!吉岡商店
「バーーーーーン!」最近JOJOばかり視聴しているせいか、ついつい写真に効果音をつけたくなる。
そんな、Presidentに乗って颯爽と現れたのは、京丹後市に操業する生コン一筋50年吉岡商店御一行様。
左から、水上さん、田家さん、吉岡社長。
切々と、自社の現状を聞かせていただいた。
何でも、自社で中間処理の許可をお持ちということで、費用面での残コンの負担はもとより0円だったという。
ものすごく恵まれた環境。
なぜ、当社を訪ねたのだろうと思いながら聞いていたら、社長からの一言。
「経費云々ではない。生産性も低く何の成果も上がらない作業に大切な会社の仲間を埋もれさせるのが忍びない」
Time is money.
未来ある会社の方々に生産性も低く、何の成果も上がらない仕事をさせたくない。
こんな生コン製造のリアルでは若い人、とりわけ自分の息子にも魅力を感じてもらえない。
切実なうちなる思いを秘めて、コロナ禍移動が制限される中、それでも細心の注意を払って静岡県東部を6時間かけてプレジデントに乗ってやってきた。
同社の目下の悩みの種は「残水」ひいては「スラッジケーキ」。
翌朝の作業におよそ1時間奪われているという。
生コンポータルに実装されている残コンステーションの心臓部とも言っていいスリット水槽では残水・洗浄水は一昼夜かけて濾され残渣が取り出される。
その残渣は翌日1日かけて天日干し(あるいは水和反応)されて単位水量をなるべく小さく、スランプは固く処理される。
当日戻ってくる残コンはどうしても水分を多めに含んだ柔らかいものとなる。
その残コンに、処理された残差を投入・ブレンドすることにより単位水量を減じる。
吉岡商店ではもともと残コンでブロックを製造しその売れ行きは好調だそうだ。
ただ、あんまり柔らかい残コンはブロック製作には向かないという。
残渣を投入して単位水量が減じられた(スランプが固くなった)残コンであればブロック製作も可能となろう。
そうすれば、吉岡商店で目下の課題となっていた残水のリスクは大幅に圧縮される。
さらに、Re-con ZERO Sprayを実装することで残水カットそのものを大幅に減らそうという取り組みも検討されている。
⚫︎参考記事: 【静岡】「時短、そして、エコ、さらにはコスト削減」Re-con ZERO Spray・長岡生コンクリート
「生コン製造の一連の流れは全て必ず繋がっている。どれかを改善すれば、必ず全体に影響する」
長年のキャリアを持つ吉岡社長のちょっとしたコメントには真理が透けて見える。
単位水量を調整された残コンは必要最小限(金額ベースで1tあたり500円以下)の高分子・急結材を投入され脱水される。
翌日以降、再生生コンの原料、埋め戻し材、路盤材などの用途に出荷される。
1tあたり500円以上で販売することができれば、すなわち残コンに関わる費用負担を0(あるいは残コンで儲かる)が実現する。
何よりも、時短。
翌朝も標準化された短時間の作業で残コンステーションはセットされる。
ドライバーは余った残コンや残水を所定のピットに排出するだけ。
改質処理はものの5分で終了。
ブロック製作も標準化されているから空いた時間で無駄なく行われている。
残コンステーションは費用(経済性)はもちろんだが、働く人が余計な時間を奪われないことを第一に設計されている。
ドライバー各位は仕事が終われば時間を気にせず3時だろうが帰宅している。
「今度は1級船舶を取ろうと思ってさ」
日が長くなったこともあり、私生活で新しい挑戦をする方もいらっしゃる。
やっぱり、仕事をしていて一番嬉しいのは、仕事の仲間が生き生きと仕事したり私生活をエンジョイしているのを見ること。
僕もそう思う。
成果はもちろん大切。
だけど、成果はそもそもが、組織に集う人々を幸せにするための手段にすぎない。
「生産性も低く何の成果も上がらない作業に大切な会社の仲間を埋もれさせるのが忍びない」
吉岡社長のこの言葉を引き続き大切に、僕も生コンに全集中していきたい。
残コンごときで苦しむのはもうやめよう。
残コンはリスクではなくチャンスだ。
なお、吉岡商店さんにはRRCS(生コン・残コンソリューション技術研究会)で残コン再生生コンのJIS化について協業をご検討いただいている。
⚫︎参考記事: 《プロジェクト》「欧州の統一規格 EN206への挑戦!」完全クローズドループ
上げ膳据え膳、他の誰かではない、自分たち自身で、残コンを打破し、リスクをチャンスに。
生コンラストワンマイルの共同は業界の常識を変革させようとしている。
なお、デモが終わった後も構内のいろんな人を捕まえてあれこれ尋ねるほどの熱心な視察となった。
京丹後市の吉岡商店様御一行様が残コンステーションを視察。心臓部スリット水槽では残水・洗浄水などの汚水が濾され残渣が取り出されることでスラッジの発生を0としている
京丹後市の吉岡商店御一行様の残コンステーション視察。残コンは処理された残渣とブレンドされ単位水量を減じられ、最低限の高分子・急結材を投入されることにより脱水されリサイクルされている
宮本充也